神戸旅行記2020年-④
旅行期間:2020年10月15日~16日
異質な地域
さて先程は奥に見えている新神戸駅の裏側にそびえる、約300mの標高ある山の上にある滝山城跡を見学した後は、それから山道を下ってきてこの場所まで戻ってきました。そろそろ今晩宿泊するホテルオークラのチェックイン可能時間17時が近づいて来たので、ホテルのあるメリケンパークの方向へ進んで行くとします。
この2020年は”GO TO キャンペーン”のおかげで日本全国に割安な料金で旅行が出来たので色々と行ったけど、その土地土地でこのようにその地方独自のオリジナル・マンホールのデザインを各地で見る事が出来た。足元にある地味な存在のマンホールも、そのデザインに地域性を濃縮した内容となっているので、意外と見逃せない存在でもある。
異人館通りを進む!
ただすぐメリケンパークに向かうのではなくて、神戸ならではの洋風建築物が立ち並んでいる景色が見られる「異人館通り」を通っていく事にした。神戸の街は江戸時代末期に鎖国を開いた日本の中でも、神戸と共にいち早く開かれた港で、かつ外国人の居留地とされていたので、明治~大正時代にかけて多くの洋風建築物が建てられたゾーンとなっている。
そんな異人館街となっている神戸の一角でも、この「北野町山本通」がそのメインストリートとなっていて、今では「神戸市北野町山本通伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区となっている中心地でもある。なので道沿いには日本ではあまり見られない洋館が、ズラリと立ち並んでいる光景が見られる場所となっている。
横浜でも同じように外国人居留地となっている場所があるので雰囲気が似ているけど、それは地理的に外国人に開かれた港に近く、かつ江戸や大阪などの都に近かった事も大きく影響しているのだろう。他にも函館や長崎や新潟の港も江戸時代末期に結ばれた日米修好通商条約によって開かれたが、未だにこのような大規模な異人館街を形成しているのはこの神戸と横浜ぐらいかと思う。
ただ神戸港が海外に開港されてから約150年以上経つので、この辺りは外国人ばかりが見られる場所という訳ではなくて、今ではそんな異人館街を見に来た日本人観光客の方が圧倒的に多く見られる場所となっている。しかしこの辺りにはまだ実際に外国人が使っている建物の多くが存在しており、見慣れない教会やモスクなどが密集するエリアとなっている。
大阪人からすると凄く異国情緒漂う、この異人館街。大阪人は根っからのゴチャゴチャとした街並みに慣れ過ぎているので、このような綺麗な場所に来ると少し浮足立ってしまう場所のようだ。
いや~綺麗な建物ばかりで、まるで外国に来た気分やわ~!
こう見えても20回近く海外旅行に行った事があり、訪れた国は30か国を超えるボクとしては実際に海外で色々と見てきた身なので、このような景色を見ても全然驚きはしない。ただし日本国内でこれだけ異国情緒漂う景色を見れる場所も、横浜ぐらいなのでデートとかに来るカップルにはいい場所かもしれないと思う。
ただ買い物とかが好きな人だったら、あっちやこっちのお店に入りたいのだろうけど、もう夕方の時間帯となっていたので閉まっているお店も多かったし、建物を外から眺めるだけの異人館街となっていた。。
この辺りは道沿いに街路樹なども植えられていて、道幅もそれなりにあるしで、上品な街という感じの雰囲気が染み出しているように思える。大阪人の立場からすると、ちょっと自分達が場違いな場所に来ているように感じてしまう神戸の街でもある。
大阪にも勿論高級住宅街と称される場所があるけど、やっぱり神戸に比べると大阪には品位がないと思ってしまう。それだけ神戸には大阪人からすると憧れの気持ちを持ってしまうけど、同じ兵庫県民からしても神戸に住んでいるか居ないかで、全然立場が違うという。
そんな神戸市内のマンホールは、このように豪勢に色付けされたものが配置されている。このように色付けされているだけで、リッチな街というイメージが増幅されてしまう。。
この異人館街は洋風建築物が多いけど、この「洋風」という言葉は西洋というよりも外国全般の事に対しての意味合いが強い。だからこの異人館街にはユダヤ教の礼拝堂があったり、このようなヒンズー教系のような建物なども見られる。
こちらの建物は「バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院」で、インド地方で約2500年程前から根強く伝わる”ジャイナ教”の建物。このジャイナ教はヒンズー教から派生した宗教で、主にインド地方でのみ伝わる少数派の宗教のようだ。
建物の造形などを見ると、このように象などの動物が使われているのを見るだけで、インド地方の宗教だというのが見て取れる。このような象が身近な存在として崇められているのは、インド地方が多いようだ。
この寺院はジャイナ教の信者でなくとも建物内の礼拝堂を見学する事は出来るけど、勿論敷地の中に入ったらジャイナ教の教えを守らないといけない。このジャイナ教ではどんな小さな虫でも殺してはいけないとか、嘘は一切付いてはいけないとか、ヒンズー教ならではの厳格な教えが今でも伝統として語り継がれている。
日本人は知らぬ間に仏教や神道が浸透してしまっている人が多いけど、このジャイナ教など他の宗教は神聖な礼拝堂では写真撮影を禁じている場所も多い。だからこのような場所を見学する場合は、見学させてもらっているという気持ちで、現地の宗教ルールに乗っ取った行動を心がけよう。
そして道を進んで行くと見えてきたレンガ調の建物は、北野交番という兵庫県警の交番の建物だった。だが一見には交番とは思えないような、地元の景観に馴染む建物となっていた。
どうせだったら右側にある「KOBAN」というデザインの看板など無い方がこの街に似合いそうな感じだけど、さすがにこの分かり易い交番を示すマークが無ければ、この建物が交番と認識される確率が大幅に下がってしまうのだろう。そんな仕方なしの看板に見えてしまうのであった。。
この異人館街には今でも外国人が住んでいるので、この界隈で外国人とみられる人達を実際に見る事が出来る。ちなみにこの手前に座ってタバコを吸っていたオジサンも、外国人のように見受けられていたけど、普通に街角でタバコを吸っているだけだったが。。
ただ異人館街とは言えども外国人の家ばかりではなく、この辺りには勿論日本人も住んでいたので和風の家も存在している。しかしこのような大きなヤシの木は、わざわざこの地に持ってこられたものであろう。
そしてこの通りにある歩道橋のポールの上部には、このような近くにある名所ともなっている建物のデザインが刻印されたものとなっている。なおこちらは「萌黄の館」は明治時代に建てられた、アメリカ総領事ハンター・シャープという人物の邸宅だった建物で、その外観が萌黄色(もえぎいろ)になっている事からこのような名前が付いたという。
このような歩道橋のポールにこの異人館街の特徴的な建物が刻印されているというのも、この神戸の街が上品な感じに思わせる。大阪であればこんな歩道橋のポールなんて、安物のポールか柵かしか設置しようと思わないハズ。。
次にあったこちらの「ラインの館」は、近くにあるフランス出身でドレウェル氏と再婚したドレウェル夫人が1915年にこの建物を造らせて約5年間住んだ建物。その後は紆余曲折を経て神戸市が買上げて、近年に耐震補強工事を行い、建物の愛称を募集した所、この建物に住んでいたドイツ人がライン川近くの出身だった事もあってこのような名前になったんだとか。。
日本国内でも南の地方に行くとたまに生えているのを見れるヤシの木だけど、このような関西ではあまり見られない。これもわざわざ遠くから運ばれてきた木なのだろうか。
こちらは「風見鶏の館」は、この近くでチラっと見えた屋根の上に風見鶏が付いている建物。この建物はドイツ人商人のトーマス氏が住んでいた建物で、国の重要文化財にも指定されていて、この異人館街でも象徴的な建物となっているようだ。
この辺りは外国人居留地となっていたからか、区画整理がキッチリとされているので、ゴチャゴチャとした街並みとは違って、真っ直ぐな道がクロスしている街並みとなっている。それとこの辺りにはあまり見かけないイスラム系専門の食料品店などがあったりと、異風なムードが漂う街並みとなっている。
「東亜筋線(トアロード)」と呼ばれる道を進んでいると、その道の脇にこのようなそれなりに歴史ありそうな建物が見えてきた。こちらは「東天閣」という昭和20年から営業している中華料理店だけど、建物自体は明治27年(1894年)にドイツ人のビショップ氏邸宅として造られた物を未だに使っているようだ。
そしてこの辺りには外国人と一言に言っても多様な人種が入り混じっていた地域なので、勿論イスラム教のモスクもあるというのでその場所に向かってみた。するとそんな大きなモスクの手前にあった電柱に、このような「ル・パン」というパン屋さんの広告が設置されているのが見えてきた。
なかなかに面白いパン屋さんのネーミングですね!
こちらは「神戸ムスリムモスク」という1935年に建てられた、日本で最古のイスラム教のモスク。イスラム教がメインの国に行くと、街中で嫌でも見えたりうるさいアザーンが聴こえてくるモスクだけど、意外と日本ではあまり見かける事が出来ないモスク。
でも外国人が沢山入ってきた神戸の街では、ヨーロッパ人やアメリカ人などと一緒にちゃんとイスラム教徒の人達も入り混じっていたのがこの建物を見れば分かる。それ以外にもユダヤ教の人々も神戸に移住しているのだが、残念ながらユダヤ教の建物を見逃してしまったのがちょっと残念ではあったのだが。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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