南海天王寺支線跡(2023年6月)-4
訪問:2023年6月
リトル・チャイナ?!
かつて大阪市内で天下茶屋駅~天王寺駅間を繋いでいた、「南海電鉄:天王寺支線」。
その痕跡を辿っていくと、天下茶屋駅から萩之茶屋の三角公園を経由して、飛田本通り商店街周辺にやって来た。
飛田本通り商店街周辺の空き地!
飛田本通り商店街周辺にも、このように金網フェンスで囲われた、不自然な空き地を見つける。
今は「太子公園」となっているエリアも、かつて南海天王寺支線の今池町駅~飛田本通駅区間の路線跡である。
そして近くのフェンスに設置されていた扉には、一瞬「バンクシー作品??」と思ってしまうような、少女の絵も描かれているのが見える。
ホンマのバンクシー作品やったら、もう明日には消えてるデ!
南海天王寺支線の廃線跡は天下茶屋駅から辿ってきたけど、その敷地内が公園として開放されているのは、このエリアが初めてであった。
なお、この手前の「太子公園」と、この奥にもある「山王みどり公園」は、浮浪者対策として日中のみの解放となっていて、夜間は扉が閉められて入れないようになっている。
猫は夜でも入れるみたいやな!
その線路跡は動物園前駅から南側に延びる、アーケード商店街「飛田本通り商店街(動物園前商店街とも)」のど真ん中を貫いていたのだった。
この道は何度も歩いた事があったけど、ここでもこの空き地や公園の存在なんて、これまで全く気にして来なかった場所だ。。
そしてこの商店街の間の奥に、南海天王寺支線の「飛田本通駅」が存在していた場所でもあった。
この「飛田本通駅」は1900年に開通した際には無かった駅で、1984年に天下茶屋駅~今池町駅間が廃止となった際に、残った今池町駅~天王寺駅の間に同年にわざわざ新設された駅だった。
【前面展望】 南海電鉄天王寺支線(3) 今池町ー天王寺
ただ、1つ手前の今池町駅からは殆ど離れておらず、飛田本通駅のホームから今池町駅が見える程近かった。
南海天王寺支線の電車が動いている動画を見ても、確かに今池町駅を出発して、僅か40秒ほどで次の飛田本通駅に到着していた。。
今池町駅を出発してすぐ「次は飛田本通駅です、お待たせしました!」という車内アナウンスが笑える(笑)
1984年に今池町駅~天王寺駅区間だけとなって、途中に停車駅が無くなった南海天王寺支線。
その為にちょっとでも利用者を増やそうと、複線だった線路を単線と変更して、その空き地を利用して造られた「飛田本通駅」。
こちらは飛田本通り商店街でもある「動物園前一番街」で、ここを北に向かうと「メトロ:動物園前」の駅がある。
南海電車の駅と路線が消滅した為に、一時は活気が無くなってしまった商店街。
しかし、ここ数年の間に”中国系カラオケ居酒屋”の店が大量に出店し、夜に通るとアチコチから大音量のカラオケを歌うオジサンの歌声が響く活気のある通りと化している。
「動物園前2番街」を南に散策!
こちらは飛田本通り商店街を分断する南海天王寺支線跡の南側にある、「動物園前2番街」。
この目の前に「飛田本通駅」が存在していたのであるが、廃駅となってから約30年が経過するので、その存在を知っている人も少なくなっていそうだ。
この飛田本通り商店街には、服や散髪屋など昔の商店街の歴史を伝えるお店もあるけど、それ以上に圧倒的に”カラオケ居酒屋”の割合が多い
しかも、その殆どの店員のお姉さんが「中国系」なのである。
日本人は「中国系」と聞くとあまり良いイメージを持たない人が多いけど、個人的には短期間だけミナミの中国系ラウンジで働いていた事もあって、全く悪い印象は受けない。
それと、それだけ中国系”カラオケ居酒屋”が増えるという事は、この辺りをテリトリーとする人達の需要を満たしているという裏返しでもあるからだ。
こちらのアーケードは、飛田本通り商店街から飛田新地の北側に沿って東西に延びる「新開筋商店街」。
個人的には、人通りの多い飛田本通り商店街よりも、シャッターが閉まっている店も多いけど、その分レトロな雰囲気を醸し出している「新開筋商店街」の方が”大阪らしさ”を出しているように感じる。
この飛田本通り商店街に中国系カラオケ居酒屋が増えたのには、「キタ(北新地)」や「ミナミ(難波)」に比べて圧倒的に土地代が安いからだろう。
その分、中国から出てきた女の子達が簡単にお店を営業する事ができる。
それにこの周辺はアパートなども安く借りれて、働くお店まで近いのも利点だろう。
またこの近くに住み着いているオジサン達も、1人で酒を飲むよりも、若くてそこそこ愛想があって可愛らしい女の子のお店で酒を飲みたがる。
そしてカラオケを歌って、その1日のストレスを発散して、あまり料金的に高くつかないという事で利用客も増えていったのだろう。
ミナミで中国系のラウンジに行くと、セット料金だけで1万円を超えてくるのが相場となっているが、この飛田本通り商店街のカラオケ居酒屋では、ガールズバー的なお店なので2000~3000円程で済む。
勿論ラウンジは女性が横に座って接客してくれるお店なので、ガールズバー的なカラオケ居酒屋とは、全然サービス度合いが違うのであるが。。
ただ2023年現在には200軒近くの”中国系カラオケ居酒屋”がこの飛田本通り商店街にあり、店舗家賃もコロナ前と比べてだいぶ上がってきているそうだ。
それと夜のミナミに通っていたお客さんの中にも、安く飲めるこの西成に移ってくる人もそこそこにいるという。
西成に人が増えるのは、いい事やデ!
こちらは飛田本通り商店街と、今池駅との間を結ぶ、東西に延びる「今池本通り商店街」のアーケード。
大阪市内には色んな場所にアーケード商店街が残っているけど、これだけ怪しい色に輝くカラオケ居酒屋の看板が並ぶ光景と、大声で熱唱するオジサンの声が響く飛田本通り商店街はとても珍しい存在ともなっている。
ただ、この西成区には暴力団事務所もまだ多く存在している為に、商店街の壁にはこのように「居酒屋で覚醒剤を売るな!」などの文字も見られた。
この旅行記ブログでも度々登場する”エロ坊主おじさん”は、この西成区が大好きで、大阪に訪れる際には必ず新今宮駅前の安宿に泊まって、この周辺で酒を飲むのだという。
西成は安く吞めて、飛田もあるから最高やけ!(笑)
そんな飛田本通り商店街を南に進んで行くと、アーケードがこれ以上先は無くなっている端に出てくる。
そのアーケードの端には、こちらの「飛田食堂」という、西成らしい”食堂 兼 酒飲み屋”も見られる。
最近は街中に全国にチェーン展開する飲食店ばかりが見られる時代となっているが、このように”西成らしい”雰囲気を醸し出す飲食店の存在はとても重要である。
そしてこの飛田本通り商店街アーケードの切れ目を左に曲がって進むと、有名な『飛田新地』という花街がある。
ここは有名な場所なので敢えて説明はしないけど、この『飛田新地』の存在が「南海天王寺支線」と「南海平野線」に大きく関係している。
こちらは今から約100年近く前の航空写真であるが、南海天王寺支線の「今池町駅」と「飛田本通駅」(※1984年に開設)、南海平野線の「飛田駅」が、この『飛田新地』を取り囲むようにして造られているのがよく分かる。
大正5年(1916年)に難波新地から移転してきた花街は、周辺に電車駅が造られた事もあって、大きく賑わう事になったという。
電車の流れが、人の流れを作るんや!
”エロ坊主おじさん”も大阪に来た時には、必ずこの飛田新地に立ち寄ると、いつも嬉しそうに話している。
オレは飛田新地の売上に貢献しとるけ!(笑)
なのでこの辺りをテリトリーにしている大阪人からすれば、この飛田本通り商店街を歩く”浮つく青年集団”を見かけると、すぐに「アイツら、飛田に行くんやな!」と直感的に判るようになる。
ちなみにこの飛田本通り商店街を抜けて、更に南側にある商店街を、スマホ片手に見ながら歩く”怪しい外国人観光客男性”を見かけた。
そして、その外国人観光客男性はこの先を左にス~~っと曲がっていって、花街に消えていったのである。
なお、この西成区の新今宮駅近くは難波に近い割に、ホテルの宿泊代が安い為に、近年は外国人旅行客が多く押し寄せる場所にもなっている。
そしてこの商店街跡のように寂れた通りを歩いて行くと、この先にも金網で囲まれた”怪しい空き地”が見えてくる。
この場所こそ、「南海平野線:飛田駅跡」であり、この周辺にもかつて電車が走っていた路線跡の雰囲気が残る場所となっている。
飛田駅跡は、後日の「南海平野線編」で説明するデ!
※電車好きでもない人間が調べた内容なので、間違っている情報や追加情報などがあれば、コメント欄にてご指摘頂ければ幸いです。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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