奈良旅行記⑥
旅行期間:2020年9月8日~9日
奈良市内をブラつく鹿たち
さて奈良県にやって来たけど、今回の奈良旅行で一番の目的である奈良ホテル宿泊のチェックイン時間にはまだ早いので、平城京跡を見学した後は徒歩で奈良駅の方まで向かう事にする。という事で平城京跡の南側を走る、こちらの「奈良県道1号:奈良生駒線」に沿って、東に進む。この道路の反対側に見える建物は100円均一ショップとして普段大変お世話になっているダイソーの店舗である。この「ザ・ダイソー 奈良三条大路店」という店舗では、平城京の近くだけあって通常の建物ではなくて、ちょっと和風っぽい建物の外観となっていた。
と言ってもスターバックス程の、地域に溶け込んだお洒落感はないけどな・・・
奈良市内にて
そして奈良県道1号線に沿って東へと歩いていると、こちらの「平城京左京三条二坊:宮跡庭園」という物が見えてきた。日本庭園は全国どこでも見られるが、ほぼ同じような景色ばかりなのであまり興味が無かったけど、奈良ホテルのチェックイン時間までの時間潰しも兼ねて寄り道する事に。
この史跡は平城京時代に離宮として使われていた痕跡がある日本庭園で、国の特別史跡と特別名勝の両方に指定されたという、全国的にも珍しい程の希少価値がある日本庭園だという。
「平城京左京三条二坊:宮跡庭園」にて
この「平城京左京三条二坊:宮跡庭園」に立ち寄ったのも、ここの見学が無料だったから。昔は料金を徴収していたような痕跡があったけど、今は9時~17時の間は解放されているようだ。左側に見える小屋は料金所だった建物みたい。
この庭園は昭和50年頃に行われた発掘調査によって発見された史跡で、今見られる景観はその後に復原された景観である。発掘調査をするまでは見た目にはその形跡が殆ど失われていた庭園でもある。その奈良時代には周囲には高い建物などあまり無くて、離宮としてリラックスできる場所だったのだろうけど、今の時代では高いビルなどに囲まれて見下ろされてあまりリラックスできない場所となっていたが。。
庭園内部には水がチョロチョロと流れるS字型の小川が造られていて、僅かにだが水が流れていた。そして奈良1号線の向かい側には、大きなショッピングセンターが造られており、21世紀の現代には日本庭園という景観を楽しめる場所では無くなってしまっている「平城京左京三条二坊:宮跡庭園」でもあった。
そんな周囲の景観によって雰囲気が損なわれている庭園であるが、ヒートアイランド現象が起きている都市部分などではこのような水や緑が溢れる場所は気温を下げる役目をしていて、かつ無料で入れるのでちょっと時間があった時用の散歩ルートにもいい場所かもしれない。
なおこの奈良時代の日本庭園跡の復原にもかなり手間暇が籠められていて、見つかった池に敷き詰められた石などの位置を全て正確に記録してから、一旦取り除いて清掃してから、再び同じあった元の場所に敷き詰められているという。そしてその復原した状況の資料が無くてもいつ復原が行われたのかが分かるように、その工事が行われた年の硬貨が埋め込まれているという。
復原工事ってのも思っているより、大変なんだね・・・
昔は建物の木材などに建造年が書かれたけど、その年の硬貨を入れるのはグッドアイデアやな!
そしてこちらにも平城京があった時代の建物を創造して復原された建物が見える。その復原の経緯を知らないものにとっては単なる建物にしか見えないだろうが、この建物の復原の経緯を知っている人からしたら、その話だけでも1時間はゆうに掛かるのであろう。。
そして復原されている建物の裏側に回ると、このように建物に入る事が出来て、土足厳禁になっているのでここでスリッパに履き替える場所となっていた。この庭園入口の小屋には人の気配を感じなかったけども、定期的に人が見回りに来て管理しているのだろう。
この復原された建物内は流石にエアコンや扇風機は取り付けられていなかったけど、このように窓は開けられていて、周囲は芝生や水が流れる庭園だけあって、そこまで暑くは感じなかった。
なおこの「平城京左京三条二坊:宮跡庭園」は昭和59年に復原整備されて一般公開されていたが、敷地内部に痛みが出てきたので平成24年(2012年)に約30年振りに改修工事が行われた。 そんな改修工事はこの2020年の6月に完成したばかりだったので、ここを訪れた時は工事が完成して公開されてからまだ3ヵ月程しか経っていなかったので、これだけ綺麗な感じになっていたようだ。
この庭園内を流れる小川は奈良時代の人達によって造られたものが、地中に埋まっていたおかげでその石の配置などが綺麗に保存されていたのもあって、当時のまんまに再現されているという。そして川沿いに小石を敷き詰めてあるのも、当時の人達が感じていた美意識がそのまま表れているものだという。
そんな奈良時代の日本庭園跡を見学した後は、再び東に向かって歩く事にする。すると「佐保川」という一級河川が見えてきた。奈良市内を流れる佐保川であるが、最終的には大阪方面へと流れる大和川と合流するという川。
そしてこの佐保川の両脇には、この写真の奥に見える方に桜並木が川沿いに昔から植わっているので、春には多くの桜見物客で賑わう場所になるようだ。だからか護岸工事されたブロックのような場所も、この桜を眺める絶好のスポットとして造られていたものかもしれない。
奈良駅周辺にて
そしてまだ暑さの残る9月上旬の時期ながらも、徒歩で平城京跡から奈良駅周辺まで歩いて向かう。「ようこそ奈良へ!」と文字が入っている高架は、JRの奈良線と大和路線の高架路線である。
この子はいつもワタシがシンドイと言っても、無理やり歩かせるんですよ!(怒)
奈良市内の中心部に近づくにつれて、段々と車の通りも増えてきて、周辺の建物などにも寺などが多く見えてくる。こちら道の反対側に見えたのは、建物の2~3階部分に造られていた黄金の仏像。
そして近鉄奈良駅周辺に辿り着いて、この辺りでオカンの履いていた靴の靴底が剝がれ出してきたというアクシデントが起こる。
この辺で靴底を張り付ける接着剤を買いたい!
と騒ぎ出すオカン。
するとちょうど通りかかった、奈良市内でもメインの人気なストリートである「小西さくら通り商店街」で偶然に文房具屋を発見する。そこでご満悦な顔をして靴底を貼る専用ボンドを購入したオカンであるが、ボクも以前奈良に来た時に靴底が剥がれる同じアクシデントが起こったけど、所詮ボンドでくっつけてもすぐにまた剥がれるだけなので、新しい靴を買う事を勧めた。
ええねん、とりあえず靴底がくっついたら!
と言って、ボクの忠告を聞かないオカンでした・・・
そして商店街の道を進んで行き、奈良ホテルを目指していくと、テレビでもお馴染みの”高速餅つき”で有名な「中谷堂」のお店が見えてくる。普段であれば観光客などが買い物して賑わう人気店であるが、コロナ禍のダメージを思いっきり受けた中谷堂では、全然買い物客の姿も無くて、勿論高速餅つきも見る事が出来ずにひっそりとしていた・・・。
このように2020年に起きたコロナ禍によって、それまでは観光都市として観光客のお財布によって支えられていた街などは様変わりして大打撃を受けていた。関西でも特に経済都市というよりは観光業が大きくウエートを占める京都市や奈良市では、このように以前では考えられない程に寂しい光景が見られるようになってしまっていた・・・。
そして三条通りにある商店街を進んで行くと、ちょっと寄り道してみたいお店があった。それがこの建物の2階で営業していたハズの足袋スニーカー専門店『Shop TABI−JI 奈良・三条店』である。ここは数年前に奈良に来た時に世界遺産にもなっている春日大社の原生林を歩き回った帰りに、ちょうどこの辺りで靴の靴底が剥がれてしまった場所。そしてそのままこの靴底がペロ~~ンと剥がれてしまった靴を履き続けるかどうしようかと考え始めた刹那に、左手に目を向けたらこの足袋スニーカー屋さんが目に入ったのであった。
そしてこの足袋スニーカー屋さんに入って珍しい足袋スニーカーという物に見惚れてしまい、そこで即買いしてしまった。そんな経緯があってお気に入りの靴となった足袋スニーカーを海外旅行の際に履いて行くと、海外の人達からすると珍しい靴を履いているという事で、よく足元を見られる事になった。また同じツアーに参加していた人達からも「珍しい靴、履いているね!」と注目を浴びたのであった。
ただ雨に弱いという弱点があったのですが、今は防水生地の商品も発売されているようでまた欲しくなりました!
アンタ、最近は足袋の靴履いてへんやんか!
そして奈良公園の端に位置する猿沢池という開けた池がある場所に差し掛かると、ここでもスターバックスの店舗を見かける。一時はその雰囲気が好きだったので読書などで立ち寄るのであれば、必ずスターバックスを選んでいた時期もあった。が今ではどこでも混み過ぎていて寛げないし、あまりに店舗が増え過ぎて有難みが無くなっているように感じてしまうようになってしまった。
今ではわざわざ空いている別のコーヒー屋さんに、行ってます・・・
奈良公園にて
そしてスターバックスの店舗に目をやらずに、東側の猿沢池の先に目をやると、穏やかな落ち着く景観が広がっている。「これぞ、奈良!」と感じる景色である。なおこの猿沢池という池は750年頃に造られた人工的な池だそうで、この池には流れてくる川や、逆に出ていく川などが無い。それにも関わらず猿沢池の水の量は常に一定なんだとか。
その話、ほんまかいな!?
そして奈良公園と聞くと必ず連想して思い浮かべてしまうのが、こちらの鹿である。この奈良公園(正式には「奈良県立都市公園:奈良公園」)には過去に鹿が神格化された為に、国の天然記念物に指定されている野生動物として奈良市では手厚く保護されている。そしてこのように角が無い”鹿の角切り”が行われている個体は、春日大社が占有している鹿で野生の鹿とは区別されているという。
奈良公園の鹿を眺める 動画
この奈良公園で沢山見かける鹿は、完全に放し飼いとなっていて、特にそれを細かく見ている監視員などもいない。そしてこの周囲には普通に車が通る道路があり、鹿は平気で道路に飛び出すので車と鹿の接触死亡事故も年間数十件発生しているという。この奈良公園内では約1,000匹以上の鹿がいるというが、年間数十匹が交通事故で死んでいるというのに、注意看板を出す位で大きな対策を取らないのが奈良らしさなのかもしれない。
奈良市民からすると、ここに鹿がいる光景が常識なんだろうな!
ボクらは神の使いとされている割には、意外とその扱いは雑ナラ~!(怒)
奈良公園の鹿は一応野生動物という事になっているけど、生まれた頃からこのような街中で人間を多く見てきて育っているので、人間が近寄っても全く驚く事もない鹿たち。本来は弱肉強食の地球上で命を守る事が一番本能にDNAとして植え付けられているハズなのに、育つ環境によってその意識が薄れてしまうのだろう。
こういう鹿たちを見ていると、改めて「慣れ」が怖いと感じる・・・
そして久々に間近で眺める鹿をじっくりと見ていると、オカンがボクを放ってだいぶ先まで進んでいた。それを追いかけて奈良ホテル方面へと進むと、今度は角が生えた鹿さんを発見する。人間側も鹿とは言えども凶器である尖った角を頭に付けた鹿を見ると、思わず防衛本能が働いてくる。。
繁殖時期の9~11月頃は、興奮状態にあるナラ~!
しかしここの鹿たちは野生というよりは人間に餌付けされているので、人間を見てもビビル素振りもないし、角を使って脅してくる素振りも見せない。ただ近年は人間側が変わってきたからか、鹿関係でも色んな問題が起こっている。今まで以上に鹿の攻撃を受けて怪我をする人が増えたり、鹿を虐待したり殺傷したりという事件も増えているという。またエサやりについても、鹿は基本的に草食動物なので奈良公園内に生えている芝生や枯草を食べる動物であるが、2020年のコロナ禍で観光客が減ったのを受けて視聴者数を稼ぐネットニュースで「奈良の鹿が観光客が減って、お腹を空かして飢えている!」と流した。
そんなネットニュースを見た人達は奈良市に苦情の電話をしたり、本来であれば奈良せんべい以外に餌をあげてはいけないのであるが、勝手にスナック菓子とかを食べさせたりしているそうだ。だからこのネットニュースを見て反応した人達は、「良かれ」という善意によって行動をしているのだろうが、本来は人間の手を加える必要が無い野生動物なので、基本的には無視するのが得策なのだろう。
だからワタシは鹿を無視して、通り過ぎたんや!
奈良公園の鹿を眺め続けてみた 動画
あまりにも一般人によるエサやりが酷くなったからという理由で、一時は「奈良公園での鹿への餌やり禁止!」となった。しかし奈良市側も観光名物でもある鹿せんべいを販売しなくなると、奈良名物が1つ減って周辺の商店の売り上げが下がる事を危惧して、結局エサやり禁止令は一時的なもので終わったようだ。
エサやりが鹿にとって良くない事やったら、思い切って今後も辞めるべきやで!
所詮野生の鹿と言いながらも、人間の都合よく生かされている鹿という事ですね・・・
という事で奈良公園にやって来たので、目的地である「奈良ホテル」まではあと僅かな距離となってきました。奈良公園で放し飼いにされている鹿たちはとても愛くるしいけども、一応野生動物であり人間に教育されている訳ではないので、キチンと礼儀を持って対面する必要性を強く感じた奈良公園であった。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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