スリランカ旅行記:4日目
クラブツーリズムツアー「お1人様参加限定:スリランカ6日間」-2020年2月6~11日
仏歯寺の仏舎利
キャンディにて
さてここはシンハラ王国(古代スリランカ人の独自の王国)でも最後の王朝が形成されていた、キャンディの街。そんなキャンディの街でも近くに王宮があり、権力の象徴ともされていた「仏陀の歯(左犬歯)」がこの建物の奥に奉納されているのである。
仏歯寺内にて
この建物は1590年に仏歯がキャンディの地へと運ばれてきた時に、造られた建物。そしてこの中に散りばめられた宝石が装飾されて金色に輝く7重になった器の中に、その仏歯が保管されているという。
そんな仏歯(仏陀の犬歯)を拝もうと、沢山の仏教徒がスリランカ中から訪れるのである。この時も参拝客が朝早くから押し掛けていた。
そんな仏教徒の一行がこの仏歯が奉納されている建物の前で並び出したので、それに便乗して一緒に列に並んでみた。
普段から自分では神を信じないし、キリスト教やイスラム教のような世界的な宗教観も受け付けないので、無宗教だと思っていた。しかし日本で生まれてから40年も住んでいると、知らぬ間に日本古来から受け継がれている仏教&神道の考えが知らず知らずに身に付いてしまっているようだ。
ボクがこうやってさり気なく仏教徒の団体に割り込んで記念撮影をしていると、それを見かけた奥様が「ワタシもそうやって、写真撮りた~い!」と言い出して、同じ場所で写真撮影を楽しんでいた。
仏舎利はそれまでにスリランカに渡った物もあったが、この仏陀の左犬歯である”仏歯”は、アヌラーダプラ王朝時代の303~331年頃に、在位していたキルティ・スリー・メーガヴァンナ王(Kirthi Sri Meghavarna)の時代に運ばれてきたものである。
メーガヴァンナ王は在位9年目に南インドのカリンガ王国からヘーママーラ王妃を迎える。カリンガ王国に何故か保管されていた仏歯は他国からの侵略を恐れたカリンガ王が娘に託して、スリランカへ持ち込ませたものであったという。
仏歯が保管されている建物 動画
そんな仏歯が祀られた建物を囲むように、後から造られた建物が周りにある。この天井も金箔を使った刺繍が入っており、約100年程前に造られたものだそうだ。
ただその4世紀前半に持ち込まれた仏歯はキャンディではなく、当時の都だったアヌラーダプラの仏塔に保管される。それ以来、常に王朝としての権力がある街に保管され続けている。
ワシの犬歯もいつの間にか、勝手に権力の象徴となってしまったようじゃ・・
そして仏歯をお参りするのは一般的には2階から拝むようだ。という事が後ろの階段を登って、上に向かう。
その途中に壁に飾られていた、こちらのレリーフは仏歯がスリランカにもたらされた時のメーガヴァンナ王とその妻であるヘーママーラ王妃を描いたものである。一説によると南インドを離れる際にヘーママーラ王妃は、仏歯を奪われないようにと髪の毛の中に隠して船に乗り込んだという。
こちらにもスリランカ仏教の、歴史的なワンシーンが表されているんじゃ!
そしてこちらのガラスの中に入れられている籠のような物は、実際に”エサラ・ペラヘラ祭(Esala Perahera)”で使われる仏舎利(仏歯)を入れる籠である。
410~411年の間に実際にスリランカに滞在していた中国人僧侶「法顕(ほっけん)」は、アヌラーダプラで行われた当時のペラヘラ祭を見学して、それを旅行記に記していたという。この法顕という僧侶は399~414年までの15年間に渡り、仏教の起源を求めてインド地方からスリランカなどを旅にして、それをキッチリと旅行記に纏めたという”旅行記の先駆者”と言っても過言ではないだろう。
それに比べるとこんな旅行記など、雛(ひよっこ)みたいなもんじゃ!
何せ今から約1600年も前の頃である。今みたいにどこでも道路がそれなりに整備された時代ではなく、広大な砂漠に入り込めば方角も分からずに干乾びて死んでしまう時代である。
そんな時代に僧侶が書いた旅行記が、未だに受け継がれているのにも驚く。
仏歯の建物の前では先程の仏教徒の団体が、座り込んでしまっている。仏教徒であれば多少のわがままも許してくれるのだろうか?!
そして我々は2階へと登って行きます。2階部分はこのように後付けされたような造りになっています。
仏歯寺内の景色 動画
仏歯寺の2階部分にて
そしてこちらは階段を登った2階部分です。参拝に訪れた一般教徒達はこの2階でお祈りを捧げるようです。
仏教徒は長く祈るからか、このように床に座り込んだり、倒れ込んだりしてまで祈る姿をよく見かける。
そして仏教のお祈りには欠かせない蓮の花。これらの花は遠くから持ってくる訳ではなく、近くの境内にも売られています。
ただここに奉納されている仏歯は、残念ながら見る事は出来ませんでした。一応こちらには、申し訳程度にその仏舎利を入れた容器の写真が飾られています。
そして仏歯が奉納されている場所の目の前には献花台が設置されて、次から次へと人々がやって来て花を添えて祈りを捧げて行きます。
仏歯寺2階の景色 動画
こちらの奥にスリランカ人が今まで仏陀を崇めてきた、信仰の塊である仏歯が収められているという。そんな仏歯は昔から多くの人々が見に訪れて、中国からやって来た僧侶たちが自国に持って帰ろうとした事件も起こったという。そしてそんな人々からの盗難の危機にあった仏歯は、常に偽物が用意されていたという。
みんな形あるものが欲しいようじゃ!
そんな仏歯が奉納されている場所の前で座り込む人達。神の力が宿ったとされる仏陀の形見に、自分達の神様の姿を見出そうとしているのだろうか?!
仏歯はスリランカの権力の象徴でもあったので、スリランカ統治を狙ったポルトガル軍も仏歯を狙った。そして見事に仏歯を奪ったと思っていたポルトガル軍が入手したのは、偽物の仏歯だったという。ただ何を持って本物とされているかは不明な仏歯である。別にDNA鑑定した訳でもないだろうし、今までに多くの人達に所有権が移って行った中で、最初にスリランカに伝来した時の物とは変わってそうな気がするけど・・。
今では仏歯よりも仏歯を入れている容器の方が、神々しくなっているようにも見えるけど・・・。
歯自体は今も昔も、所詮同じ歯なんじゃ!
ペラヘラ祭に仏歯自体をゾウに乗せて運ばすのは、実は昔から行われていた事ではなくて、まだ近年になって行われた事だという。
日本人にとっては”三種の神器”的な扱いになっている、スリランカ人にとっての仏歯である。そこには本物かどうかよりも、それと思われる品物が存在していると思う事の方が重要なのかもしれない。
次々と訪れる参拝客たちは後を絶たない。朝早くから熱心な人達が大勢集まって来る場所。
仏陀もまさか後年になって、これだけ神様のように祀られるとは思っていなかっただろう。実際に仏陀が悟った境地によると、他人に祈っても意味はないのだから。
まあそれぞれにやりたいようにすればいいんじゃ、正解なんてないんだから!
こちらにはアヌラーダプラの寺院などで見かけた、階段の手前両脇に設置されていたガードストーンに彫られていた「蛇王(ナーガラジャ)」の現代版が見られる。ちなみにこの中に「pallemale viharaya」と呼ばれる、岩を削って作った仏像が置かれているそうだ。
という事で仏歯寺2階の見学はこれで終了。実際に1日3回行われる”プージャー”の儀式の時には、先程の仏歯が収められている扉が開いて、黄金色の容器を見れるようで、その時には大勢の人でごった返すそうな。
1階に戻ると仏歯が収められている建物の周辺には仏教徒が沢山集まって、祈りを捧げている姿が見える。
それにしても昔はこのような象牙を獲るのに何もルールが無かったので、多くのゾウが象牙欲しさの人間の欲の為に命を落としていったのだろう。
仏歯が保管されている建物の屋根裏には、このように色んな絵も描かれています。それだけ信仰の中心にあった場所なのである。
さっきボクが一緒に写真を撮った人達は未だに正面から祈りを捧げているようだ。足が正座で痺れてしまったのか?このように微妙に足を崩して座っている人もチラホラと見かけた。
再び仏歯が保管されている建物を眺める 動画
そんな建物の裏に回ってみると、黄金色のゾウさんが置かれている。この黄金色のゾウさんには、何か意味があるのだろうか? 神様の使いのゾウなので、このように黄金色に塗ったのだろうか?
ここから仏歯が収められている建物の裏側を眺めると、壁に日の丸のようなデザインが入っているのが見える。これは日本の国を表したものなのだろうか?ちなみにこの日本の国旗である”日の丸”がこのデザインに制定されたのは19世紀中頃なので、もしこの建物に描かれているのが日の丸だとしたら、その時代以降に描かれたものだろう。
反対側には邪気を払うムーンストーンが置かれている。さっき見たように色付けされているのは何とも安っぽく見えるので、こちらの石を彫った物の方がやっぱり重厚に見える。
そして階段もこのようにそれぞれの段に彫刻がされているのである。
この仏歯が収められた建物もこうやって反対側から見ると、結構古そうな建物に見える。周りの建物は後の時代に造られているので新しく見えたけど、こうやって反対側から見るとその歴史が垣間見れる。
まだ2階部分の方が新しそうに見える。
仏歯寺の礼拝堂内にて
そして奥の階段を登って進んで行った先には、こちらの礼拝堂があり、沢山の仏像や仏教に纏わる名場面の絵画が飾られている場所である。
こちらの仏像の右手が下に向かって下がっているポーズは、「降魔印(ごうまいん)」または「触地印(そくちいん)」と呼ばれるもの。仏陀が悟りを開こうとしていた時に、悪魔の誘惑を振りまいてきた”マーラ(悪魔)”を追い返す為のポーズだそうだ。そしてそんな悪魔から逃れる為に、その後仏陀は神聖な菩提樹の下に身を寄せるのである。
そんな仏陀の像が色んなポーズで、色んな材質で造られた物が多く置かれている礼拝堂である。
こんな旅はまた次回に続きます!
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