ロシア旅行記:4日目
阪急交通社ツアー「お1人様参加限定:ロシア7日間」
-2020年3月12~18日
ラファエロとミケランジェロの作品
さてロシアで最大で世界的にも最大規模の美術館でもある、エルミタージュ美術館(Hermitage Museum)に来ています。ロシアの観光でも楽しみにしている、世界三大美術館とも称される世界中の絵画などの美術品が収められている場所です。
エルミタージュ美術館にて
エルミタージュ美術館には主にヨーロッパの絵画などが多く収集されています。その中でもやっぱり数が多いのが、ルネッサンス期にイタリア芸術が花開いたイタリア絵画です。
「ラファエロの回廊」にて
次の部屋は回廊自体がヴァチカン宮殿内に造られた「ラファエロの回廊」(Loggia di Raffaello)を再現して造られたもの。本家のヴァチカン宮殿内の「ラファエロの回廊」は基本的に観光客は立ち入れないけど、ここエルミタージュ美術館では原寸大の再現された美しい回廊を眺める事が出来る。
こちらはルネッサンス期の巨匠である、ラファエロの回廊を完全コピーした場所よ!
ここエルミタージュ美術館ではネズミ駆除の為に、実際に猫を飼って管理している。しかし通常時は屋根裏や地下室にいる為に、基本的に観光客の目には触れないそうだ。だからこの猫ちゃんも勿論絵である。
こちらの回廊は本家の大きさをそのまま原寸でコピーしているので、全く遜色ない造りとなっている。
天井には聖書にまつわるシーンを描いた天井画がなんと52枚も描かれている。”ラファエロの聖書”とも呼ばれるこの絵は、キリスト教の誕生である天地創造から、最後の晩餐で終わる連作となっているそうだ。この様に天井画が4枚と窓が1点の部屋が1セットとなり、合計13部屋造られている訳だ。
ラファエロの回廊の景色 動画
とても豪華な部屋となっていて、この回廊自体が大きなラファエロの作品ともなっているのである。
「ラファエロの間」にて
こちらの部屋は「ラファエロの間」と付けられているだけに、早死にしたルネッサンス期の天才画家ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)の絵画が展示されているようだ。
イタリアのルネッサンス全盛期の中でも特に有名なのが、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、そしてこのラファエロである。彼は37歳という早さでこの世を去ったが、それにしては多くの作品をこの世に残している。
どうやらこちらの豪華な枠の中に入れられているのが、ラファエロが描いた絵画のようだ。
by ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)
こちらの作品もこのエルミタージュが買い取る前の所有者である、コネスタービレ伯爵の名前が付けられている。1504年頃の作品だが、思った以上に小さいもの。
小さい丸い円の画風は「トンド」と呼ばれるで、その円が絵の構図と調和しているという。
この絵はまだラファエロが生まれ故郷のペルージャにいた頃に描かれたものなので、背景はその自然豊富な故郷の景色が表現されているそうだ。
みんな写真に撮りたい派ばかりのツアー参加者さん達。なので順番を守って、ラファエロの絵画の写真撮影をします。今回のエルミタージュ美術館見学では、中国人団体観光客や西欧諸国の観光客グループが殆どいなかったので、こういった写真撮影もゆっくりと行う事が出来ました。
普段ならもっと大勢の観光客で溢れていて、写真撮影にも時間がかかるのよね!
by ジョバンニ・ディ・パオロ(Giovanni di Paolo)
こちらは15世紀に活躍したシエナ派の画家であったジョバンニ・ディ・パオロの作品。
これの裏側に展示されていた、先程見たラファエロの作品と同じような構図だけど、こうやって見比べると四角のフレームよりも円形のフレームの方が柔らかい印象を感じるような。。
それぞれの絵画には、このように作者やタイトルなどが親切に説明されています。後で絵画を見返す場合はこういった説明を全て写真に撮っておくべきなのですが、後でその絵画の細かいレポートを提出する必要とかがないと、なかなかそこまでマメに撮れませんね。。
こちらにはもう1枚ラファエロの作品が展示されていて、先程の絵よりサイズは大きそうだ。元々は他にもラファエロの作品を所有していたのだが、共産主義のスターリン時代に外貨稼ぎの為に外国に売られたという。。
by ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)
こちらの絵は珍しく、天使が居ない代わりにイエス・キリストの父親であり、聖母マリアの旦那である聖ヨセフが描かれている。しかしこれを見ている限りはヨセフは初老の老人のようにも見える。
新約聖書によるとダビデの血を継ぐ王の血統は、キリストの母親であるマリアではなく、父親であるヨセフの血縁である。しかし処女のまま神の子を妊娠したキリストは、普通に考えるとダビデの血を引き継いだヨセフのDNAを全く引き継いでいないので、イスラエル王の血縁者ではないのである。
仏教の開祖である仏陀は生まれた時に、いきなり言葉を発したという。しかし幼き神の子であるキリストは、特に喋ったという伝説はなく、怪しげな老人ヨセフの顔をじ~~~っと眺めている。この絵だけ見ているとヨセフとマリアは夫婦というよりも、親子に見えてしまう。。
by ジュリオ・チェーザレ・プロカッチーニ(Giulio Cesare Procaccini)
こちらは1610年前後に描かれたとされる、ジュリオ・チェーザレ・プロカッチーニというミラノのイタリア人画家の作品。
今回の美術館見学で一番興味を示していたのは、今回最年長の”元衣装屋さんで趣味で絵を描くオジサン” 。元々は東京都内で衣装屋を営み、トラックに乗って都内を駆け回り、あの人気アイドルグループ「A〇B48」の衣装も担当した事があるそうだ。
しかも一度衣装引取に行き、間違えて着替え中の楽屋に入ってしまい、こっぴどく怒られたというエピソードを嬉しく話していた。。
そんなオジサン直筆の作品がこちらである。こちらは勿論パトロンなどのスポンサーは無しで、自分の好きに描いたものなので、オジサンの普段の欲求が表れた作品なのかもしれない。女性の裸体を描いた作品はこの美術館を見学していると、いくらでも見る事が出来る芸術なので全然ヤラしくもない。
しかし古代ローマ時代に床に細かい石をくっ付けて造ったモザイク画から芸術が始まり、このようにタペストリーに絵のようなデザインを入れて仕上がるように作り上げたのは何とも凄いと思う。こんな絨毯にこれだけの細かい模様を入れるなんて、想像にも出来ない。
このように部屋中にも装飾があり、高い位置だから装飾に手を抜くという事はせずに、徹底的に芸術を追求して造り込むのが真の芸術家である。
by ロレンツォ・ロレンツェッティ
こちらには遊び疲れてしまったのか? お魚の上に豪快に体重を預けて寝ている子供の像がある。実はこちらはイルカと仲良しの少年が、海で溺れてしまい、背中に乗せて陸地を目指すが少年は死んでしまい、更にイルカまで死んでしまうというダークな結末のお話だそうだ。。
こちらはまだ高校生位だけど、嬉しそうにタバコを初めて吸う瞬間の少年の姿のようにも見える。。
by ベンヴェヌート・ティシ・ダ・ガロファロ(Benvenuto Tisi da Garofalo)
こちらはイタリアのルネッサンス後期の画家ガロファロが、1530年頃に描いた作品。
エルミタージュ美術館の見学だけど、限られた時間で見たい物を全部見ておきたい場合は、やっぱり事前に何がどこに置いてあるかを調べておかないといけない。ボクはそんな計画的なタイプではないので、適当に彷徨って出会えた芸術作品だけを見てきたけど、後から美術館のガイドブックを見ていたらまだまだ見ておくべきものがあったのに気付いた。。
だからエルミタージュ美術館内の地理感覚は全然掴めないままに、現地ガイドさんの後を付いて歩くだけであった。
「ラファエロ派のホール」にて
こちらの間にはラファエロの弟子達がギリシャ神話の神々を描いたフレスコ画が、壁に展示されているハズの部屋だったけど、残念ながらそのフレスコ画は展示されていなくて、壁には絵画の空間が虚しく空いていた。。
by バッチョ・バンディネッリ(Baccio Bandinelli)
「あ~~ら君たち、残念だったね。その絵は今は修復中なのよ~~~!」とでも言いたそうな、ちょっと意地悪な感じでニヤリと笑っているような像。。
by ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo Buonarroti)
こちらの像はイタリアのルネッサンス全盛期の3大巨匠でもあり、ダビデ像やピエタ像やシスティーナ礼拝堂の天井画などでも有名なミケランジェロ・ブオナローティの彫刻作品である。
そんな「うずくまる少年」を真正面の下側から見上げてみた。てっきりこの辺りを向いている視線のように見えたけど、残念ながらもっと足元の方を見ているようだ。
こちらの彫刻作品はまだ未完成らしいけど、芸術の専門家から見ると少年の体の強靭さや内面に籠った鬱っぽい状態とが合わさった複雑性を感じ取れるそうだ。
芸術センスのないボクからの目線だと、「テーブルの足に右足の小指をぶつけて、骨折してしまったオカンを思い出す像」である。。
「うずくまる少年」を観察する 動画
色んな絵画が飾られているけど、高名な画家はその額にも拘って作っているハズ。ただそんな力作の額まで評価される絵画って殆ど無い。というのも所詮絵画の重要性はそのキャンパス上にあり、額無しでも評価されるものだから。
by アレッサンドロ・アルガルディ(Alessandro Algardi)
こちらの胸像は1640年頃に造られた物で、さしずめ「マントはこうやって使うのが正解です!セーラー服のようにより効果的に音を集められるのです!」と言いたげなように見える。。ちなみにこちらのモデルとなった人物は、ローマ教皇インノケンティウス10世の義姉(教皇の兄の嫁)で、「影の女教皇」とも言われる位に権力を握った女性でもあったという。
by アレッサンドロ・マニャスコ(Alessandro Magnasco)
こちらはイタリアのジェノバやミラノで18世紀前半に活躍した、後期バロック画家のアレッサンドロ・マニャスコの作品。
by アレッサンドロ・マニャスコ(Alessandro Magnasco)
こちらの作品も上と同じアレッサンドロ・マニャスコのもの。
「大天窓の間」にて
この「大天窓の間」は天井がドーム型になっていて、大きな天窓が空けられており、太陽光が明るく降り注ぐ場所。この部屋にはイタリアやスペインの大きめの絵画が飾られている。
大きな絵画には天井から差し込む太陽光が、最も鑑賞するにふさわしい環境と考えられているので、ここに大きな絵が集められているそうだ。
そして中央には孔雀石の壺やシャンデリアのようなライトまで置かれている。
by ジュセッペ・クレスピ(Giuseppe Maria Crespi)
確かに今までの場所と比べると、作品の大きさが全然違って大きい絵画ばかりが飾られている。
by ジュセッペ・マゾウリ(Giuseppe Mazzuolla)
こちらの像はギリシャ神話に出てくる、容姿端麗だった男の子「アドニス」が猪に殺されるシーンである。
アドニスは2人の女神から愛されたが、2人共に欲が出てきてアドニスを巡って収集が付かずに裁判所へ判断を委ねた。すると1/3は女神アフロディーテ、1/3は女神ペルセポネー、残り1/3はアドニスが1人で過ごすとの判定となった。
しかし女神アフロディーテは、アドニスの1人の時間までも独占してしまう。それに怒ったペルセポネーは、女神アフロディーテの愛人で軍神でもあるアレスに告げ口する。すると怒った軍神アレスは狩りに出たアドニスに、猪に姿を変えて突撃しアドニスの投げた槍を交わしてアドニスを突き殺した、という。
by ルカ・ジョルダーノ(Luca Giordano)
この絵はバロック後期のイタリア人画家ルカ・ジョルダーノの作品。こういう絵画を見ると大昔の古代ギリシャ神話時代から争いはあった訳だから、今更急に無くなる物でもないとしか思えない・・・。
by ベルナルド・ストロッツィ(Bernardo Strozzi)
こちらは「胸像作りに勤しむ御婦人方」って感じの雰囲気がする絵。それぞれに理想の男性像が違うので、なかなか像作りが進まないように見える・・・。ちなみにこちらの絵はジェノバ生まれのバロック絵画の画家であるベルナルド・ストロッツィのもので、彼は修道士として司祭をしていた時期もあったそうだ。
by ミケーレ・ジョバンニ・マリエスキ(Michele Giovanni Marieschi)
こちらはイタリアのヴェネチアのリアルト橋を描いた作品。年々水没していくヴェネチアの街だけど、街を取り囲むように大きな堤防を造っての沈下を防ぐ、約7,000億円を掛けた”モーゼ・プロジェクト”と呼ばれる一大プロジェクトが行われているそうだ。
by ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール(Giovanni Antonio Canal)
カナレットとも呼ばれたアントーニオ・カナールの作品で、彼の画風は写真のように繊細に描かれている物が多い。
というのもカメラの元にもなっているカメラ・オブスクラ(camera obscura)というピンホール現象を利用した機械を活用し、そこに写った景色に紙を当ててナゾッり、絵画の下絵を作っていたとされている。
こんな旅はまた次回に続きます!
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