ロシア旅行記:2日目
阪急交通社ツアー「お1人様参加限定:ロシア7日間」
-2020年3月12~18日
雨降りの赤の広場
さてロシア旅行2日目は午後からモスクワ中心部の観光となります。ただ残念ながら天気は雨模様で、あまり観光には適した天気ではなかったけど、再びモスクワに来る可能性は少ないので雨でも楽しむという選択肢しかないのである。
モスクワ市内にて
こちらは映画などでも目にした事のある、ロシアを代表する場所である「赤の広場(Красная площадь)」である。
また色んな映画のロケ地にもなっているこの場所だけど、ボクの頭の中にはトムクルーズ主演の2011年の映画『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(原題:Mission Impossible-Ghost Protocol)の中で、思いっ切り爆破されるシーンが甦ってくる。クレムリン宮殿から逃げきって、観光客を装い「Born in the U.S.A」と書かれたTシャツを身に纏うトムクルーズ。
しかし次の瞬間、大きな衝撃波が起こり、ご覧のようにクレムリンや赤の広場は全壊するのであった。。
赤の広場にて
そんなテレビ画面でしか見た事の無かった世界に足を踏み入れて行く。そしてクレムリンにはプーチン大統領の執務室とかもあるので「この赤の広場はとても厳重に警備されているハズ!」と思っていたけど、外国でよく見るような銃を構えた兵士とかは全然見なかった。
赤の広場ってモスクワに来た事のない外国人からすると怖そうなイメージがあるみたいだけど、とても開放的な場所で全く怖くないわよ!
この奥がクレムリンにある宮殿で、モスクワが首都の時代はこちらで権力者達が政治を動かしてきた場所。左側にはレーニン廟があるけど、近づく事は出来なかった。1924年1月21日に死去した、ロシア革命を主導したウラジーミル・イリイチ・レーニン(Влади́мир Ильи́ч Ле́нин)の遺体が防腐処理されて、この場所に保存されている。ちなみに共産主義の国にはこれを真似して、権力者達の遺体を保管する事が行われるのである。
そして赤の広場の写真で必ずこの2つの建造物が写される程の代表的な、左:聖ワシリー寺院(堀の生神女庇護大聖堂:Собор Василия Блаженного)で、右:スパスカヤ塔(Spasskaya Tower:Спасская башня)である。
モスクワでも最も人気のある、美しい建造物の1つである聖ワシリー寺院。16世紀中頃に建てられたロシア正教の聖堂であり、時のイワン雷帝がモンゴル系のカザン・ハン国を撃破した記念として造られた。当初は普通の聖堂だったようだが、その後増築される毎に屋根が増えていったり、装飾も鮮やかになっていったそうだ。
こちらには大きな時計が付けられているスパスカヤ塔。こちらは聖ワシリー寺院よりも早い1491年頃に造られて、その後度重なる改築などでこのような形になっている。ここは昔は皇帝などの出入り口だったらしく、ロシア遠征をしモスクワ入城したナポレオンも、この入口を入ったんだとか。
ちなみにこの出入口を通る時は馬から降りて帽子を取るというのが慣例だったのだが、ナポレオンはそれをせずに通った時に突風が吹いて彼の帽子が落ちてしまったという。
それ以降、ロシア人からは「ナポレオンは尊敬とフランス皇帝の座を失った」と言われているのよ!
赤の広場の景色 動画
このように一部赤の広場で工事中だったので、スッキリとした広場という感じでもなかった。しかも雨は全然やみそうもない位に土砂降りであったし・・・。
モスクワ市内を走る2階建ての観光バスも今日は雨模様なので、屋根には黄色いシートが被せられているのが見える。それに外国人観光客が少なかった時期なので、全然バス内にお客さんの姿も見えなかった。
グム百貨店で休憩
そして外は土砂降りだったので、雨を避けて休憩とショッピングも兼ねて、赤の広場に隣接する大きなグム百貨店の中に入る。
まさか有名な赤の広場の横に、こんな広大な敷地のショッピングセンターがあるなんて想像もしていなかったので、その豪華な内装とスケールにしばし濡れた体を忘れて、周辺の景色を眺める。
グム百貨店内を進む 動画
そしてこのグム百貨店内でいきなり自由時間となる。約1時間後にこの噴水のある中心部に集合との事。
勿論屋根も完備されていて、このような透明の屋根を見ると、イタリアのミラノにある「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア」を思い出す。
そして寒いロシアなのにグム百貨店内で、アイスクリームを食べている人を沢山見かけた。「何で寒いロシアでアイスクリームを食べるのか??」と思っていたけど、グム百貨店内では至る所でアイスクリームを売っていたからみたい。
このグム百貨店内のお店は世界的なブランドショップやアパレルメーカーの店舗ばかりで、伝統的なロシアっぽいお店が無かったので個人的には全然面白くなく、見所が無くてガッカリであった。ただしこのように階段は今まで多くの人達が行き来した痕が、擦り減っているのが見えてそれは趣が感じられたが。
グム百貨店も1893年に出来た建物みたいだけど、そんな歴史があるとは全然感じさせない内装。
グム百貨店内を見回す 動画
グム百貨店内にあるお店にはこれっポッチも興味が無いけど、これだけの広い空間がこんな場所に存在するとは思ってなかったので驚きの方が多かった場所。
3フロアから構成されているグム百貨店内、中には通路のカフェ・テラス席があったりして、内装は見ているだけでも楽しめた。
グム百貨店内を見つめる 動画
昔はもっとモスクワ市民にとって大事な日用品などが買えるお店とかもあったのだろうけど、民主主義の影響で海外からやって来る観光客が一番集まる赤の広場に隣接した広大な建物なので、ターゲットはロシア人ではなく海外観光客の富裕層となっているのだろう。
この時はコロナウイルス騒動がじわじわと拡がりだしていた頃合いで、中国や西ヨーロッパ諸国などからの訪問者はロシアでは入国規制されていた為に、海外観光客があまりいなかったので閑古鳥が鳴いていたブランドショップばかりだった。
この3月は海外からの観光客が激減した頃だったのよ!
屋内のテラス席なのに、パラソルが設置されているというのもちょっと違和感を感じるような・・・。
そしてトイレを探して歩くも、何とグム百貨店内のトイレは有料との事・・・。勿論清掃が行き届いた綺麗なトイレの使用料は50ルーブル(約80円)でした。ただ後から知ったのだけどこの有料トイレは、ロシア帝政時代のトイレを忠実な再現したトイレだそうだ。。
だからこのトイレを体験したいがために、このグム百貨店を訪れる人がいる位なのよ!
共産主義だったソ連が崩壊し民主主義のロシアになると、急激に西側諸国の大量の資本が流れ込んできて、儲かりそうな場所は次々とこのように昔の面影が消えていったのである。
民主主義のロシアになっても、共産主義時代の事を羨む中高年層が多いそうだ。昔は医療や教育が完全無料だったし、年金などで充分に生活が出来たという。
しかし今では年金が貰える額はほんの僅かで、それだけではとても生活出来ないという。まして外資が入ってきた事もあり物価は上昇を続け、年金生活者は薬すら満足に変えない状態になっているそうな。
急激な社会の変化に喜ぶ人もいれば、困る人もいるのよね!
長年共産主義だった国はそれまで敵国と見られていた民主主義に舵を切った訳だけど、長年続けられてきた体制に年配の人達は付いて行けないようだ。共産主義時代は農作物でも年間計画で生産量が決められていて、指示された量をとりあえず作れば給料が貰えた。
そして逆にいい物を作っても、量を沢山作っても何もメリットが無かったので、自然と仕事に精を出したり努力したりする人間はいなくなった。こういったシステムが共産主義のデメリットで、いくら経っても技術や品質が向上しなくて世界的な競争に巻き込まれると勝てなくなっていくのであった。
そして第二次世界大戦後はアメリカとソ連という2大国の冷戦が始まり、お互いに競い合って月まで到達したり核ミサイルを次々と量産したりしたが、その裏でソ連は国内産業の競争力がなく実質的に経済破綻して民主主義へと移行するのであった。
グム百貨店内にはこのように花を籠に入れた自転車なども、オブジェとして飾られていた。なかなかこういった遊び心というのは、昔のロシア人に無かったものかもしれない。
ソ連自体に造られた車を見れば、それが一目瞭然である。ただ無機質にしか見えない単純な四角形の車にされただけで、画一的でデザイン性に乏しく、車としての機能も乏しかった。だからロシアとしての目立った工業製品は殆ど無く、プーチン政権で経済が上向きになったのは天然資源である原油と天然ガスのおかげ。
だから今のプーチン政権でのロシアも天然資源頼みの政策なので、今後のロシア経済には期待されていない。そしてそれがロシアルーブルを両替する時の、高い手数料に表れているのだろう。
そういった意味でまだ世界中からロシアは、安定した国とは思われていないのよね!
ちょっと面白いデザインのTシャツが売っていた。ロシアのプーチン大統領も約20年間、実質国のトップとして君臨している。ただKGB出身という事もあり、自分の敵対勢力などは秘密裏に暗殺したりしているという噂もある。
海外でも高級ブランド品を買いたい人にはいいかもしれないけど、全くそれらに興味無い人間からすると全然面白くもないグム百貨店でした・・・。
「さすがにグム百貨店内で1時間は過ごせないな・・・」と思ってたけど、冷静に考えたらグム百貨店を出たらすぐそこに赤の広場が隣接しているのだから、わざわざここにいる必要もないという事に気付く。
再び赤の広場にて
という事で再び外に出て赤の広場へと足を進める。するとさっきまで土砂降りだったのが、だいぶ雨が止んできていた。
赤の広場で中心地から眺めた景色 動画
こちらはレーニン廟とクレムリンの壁との間に造られている、ソ連時代の英雄墓域。銃弾を受けた後遺症の影響もあり、ソビエト連邦の行く末を見る事なく亡くなったレーニンの跡を継いだヨシフ・スターリン(Joseph Stalin:Иосиф Сталин)の像も見える。このレーニン廟もソ連崩壊後に共産主義時代が悪という考えが主流になり、それを代表するレーニン廟の撤去の声が上がっているが、プーチン大統領はこれを保存すると表明して、国内から批判を受けたそうだ。
時代によって英雄の評価が、ガラッと180度変わるので大変よ!
こちらがグム百貨店の赤の広場に隣接する側の景観である。こうやって外側だけ見ていると、先程中で見た新しいモダンな内装など、全然イメージ出来ないのであるが。
夜になるとこのグム百貨店もライトアップされるのだけど、個人的にはそれもちょっとイマイチ好きになれない電飾だった・・・。
70mを超す高さのスパスカヤ塔は、聖ワシリー寺院よりも造られたのは古いけど、最初の頃は時計から上の部分は無くて今の半分くらいの高さしかなかったそうだ。
スパスカヤ塔で鳴る鐘の音 動画
大事な門を通過する時には馬を降りて帽子も取って進むのが、どこの国でも礼儀であるようだ。しかし飛ぶ鳥を落とす勢いだったナポレオンはロシアを甘く見ていたのか、礼儀を欠いて帽子が飛ばされたという。
この聖ワシリー寺院の屋根は均一ではなく、いびつな形と独自の高さとデザインで造られているのでとても興味深い建物である。だいたいはバランスの取れた建造物を造りたくなるものだと思うけど、ここは1つの大聖堂を中心として、周囲に8つの小聖堂が集まっているとの事で、このように中央を取り囲んだ形式になっているそうだ。
この周辺は1990年に『モスクワのクレムリンと赤の広場』として世界遺産に登録されている。ちなみに「クレムリン(Kremlin)」というのは、丘の上の城壁で囲まれた要塞などを表す言葉で、パルテノン神殿で言う「アクロポリス」みたいなニュアンスの言葉だというイメージで捉えればいいかもしれない。だからこの聖ワシリー寺院があるのは城壁の外なので、ここはクレムリン内ではないという事である。
こんな旅はまた次回に続きます!
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