信州松本旅行記2022年3月-37
旅行期間:2022年3月上旬(2泊3日旅)
幸村一色の上田!
ここ長野県上田市で江戸時代に上田城を居城としていた「上田藩」は、真田家が転封されてから仙石家/藤井松平家の2家によって、5~6万石の領土として治められてきた。
だが現代となっては、色んな小説や大河ドラマの影響で上田藩の大半を治めていた仙石家/藤井松平家の両家の歴史が表面上消え失せ、今では完全に”真田幸村推し”の町となっている。
大河ドラマに便乗しての宣伝が、一番効果あるんだな!
上田城周辺にて
こちらは1994年に昔の姿に復元された、「東虎口櫓門」1階部分の天井。戦後と違って最近の日本では、このような歴史ある昔の城を復元する際に、なるべく鉄筋コンクリート造りではなく、当時のままの木造建築物で甦らせるムーブメントが増えてきている。
こちらは本丸の外側に造られている内堀で、この上田城では堅い石垣に守られた場所では無く、このように堀を削った際に出る土砂を土塁に転用した「掻揚土塁(かきあげどるい)」が防御の主流となっている。
そして二の丸橋を渡って町の方に進んで行くと、交差点を渡った角に「上田市立第二中学校」という、塀が昔のデザイン風になっている学校が見えてくる。
この上田市立第二中学校は戦後に開校した中学校だが、校舎は最近建て替えられた為にこのように近代的な外観をしていた。
この中学校が建っている場所は、江戸時代の1813年に当時の上田藩主だった「松平 忠学(まつだいら たださと)」が設立した藩校『明倫堂』の跡地である。
その後、明治25年(1892年)に明倫堂の建物は本丸跡へと移築され、料亭として使われる事になる。そして今から約40年前に取り壊されてしまっており、現在ではその建物を見る事が出来なくなっている。。
今では本丸と二の丸の辺りが『上田城跡』として認識されているが、江戸時代の城は更に三の丸などもあったりして、もっと面積が広かった。
上田城跡から東側の上田市役所などがあるエリアが「三の丸」となっていた場所で、上田藩の御殿が置かれていたのも本丸ではなく、この三の丸であった。そして徳川軍の大軍を撃退した『上田合戦』の舞台は、さっき見てきた本丸ではなく、この三の丸周辺で行われていたそうだ。
そして今となっては”真田幸村推し”となっている上田市なので、町中には『真田十勇士』に登場するキャラクターの像が色んな所に設置されていた。
【ファミコン】真田十勇士 動画
『真田十勇士』というと、個人的にはファミコン世代だった事もあって、1988年に発売された同タイトルのロールプレイングゲームを思い出す。。
『真田十勇士』の小説は基本的には架空のストーリーと登場人物になっているが、その中には実在した武将などがモチーフになっている登場人物もいるようだ。こちらの看板に描かれていたのは「望月六郎(もちづき ろくろう)」という、主に爆弾造りが得意だった武将である。
この上田城があった上田市は、長野県内では長野市、松本市に次いで3番目に規模の大きい都市となっている。上田市の人口は約15万人で、標高は市内中心部でおよそ450mとなっている。
そして道を歩いていると、脇にこちらの「明治天皇行在所趾」という大きな石碑が見えてくる。この石碑は大正9年(1920年)に設置された物だが、明治天皇がやって来たのは明治11年(1878年)の事のようだ。
明治11年に”北陸巡幸”の一環として上田の町にやって来た明治天皇が、この場所にあった「上田街学校」という3階建て西洋建築物に宿泊したという。
ちなみに今となっては歴史的な西洋建築だった上田街学校は、明治31年(1898年)に焼失してしまい、その責任を取って当時の校長は自殺してしまったという。なお、その自殺した校長:久米由太郎は、大正~昭和前半に活躍した小説家「久米 正雄(くめ まさお)」の父親であった。
そういえば、鎌倉に久米正雄の銅像があったな!
この上田市では”市の花”が「桜」となっている事もあって、デザインマンホールに桜の花が採用されていた。
仙石家や藤井松平家の家紋ではなく、六文銭家紋もだな!
上田城跡の東側にある、上田駅まで延びる道は一部が「国道141号」となっている。その道路の両脇には色んな商店が立ち並んでおり、昔に賑わっていた雰囲気を感じさせる商店街となっていた。
この上田市はかつての『北國街道』が通る城下町として栄えた地域で、今もその江戸時代当時の町並みの一部が保存されている所もある。江戸時代には各大名に2年に1度課されていた”参勤交代”によって、その大名行列が通る街道沿いの町が大きく発展する事になった。
そして上田駅へと向かう道を歩いていると、また色が付けられた像が見えてくる。こちらは「根津 甚八(ねづ じんぱち)」という、真田幸村の家臣で影武者としても活躍した武将である。
ただ「根津 甚八」という名前を聞くと、この真田十勇士に登場する武将ではなく、映画などに出演していた俳優の根津甚八を思い浮かべる人も多いかと思う。実は本名は「根津 透」となっていて、劇団に入団した際に真田十勇士の根津甚八の名にあやかって芸名として名付けられたという。
日本国内の銅像の歴史は、明治時代から始まる。最初はヨーロッパのように誰もが尊敬する偉人の大きな銅像を、更に大きな土台の上に設置して、その人物の威厳を更に高める目的で多く造られていった。しかし、最近ではそんな過去の偉人を対象にした像ではなく、観光客向けにした像が多く造られるようになってきている。
このように近年では誰もが知っている漫画やアニメのキャラクターの銅像が多く造られている。そしてその大きな特徴は人々と同じ高さに設置されていて、手で簡単に触れられて、更には一緒に記念撮影できるようになっている。
銅像も時代に応じて、その姿を変えていっているんだな!
そしてとある商店の前には、こちらのドーベルマンのような像も置かれているのが見えた。最近のペットとして飼われている犬は、このように服や被り物を着せられている姿を多く見かけるようになってきた。
人間と違って、長い体毛で全身を覆われている動物は、何も纏っていない状態で毛皮を着用しているようなものなので、このような服を着る必要性がないのであるが。。
こちらの像は「三好伊佐入道(みよし いさにゅうどう)」となっていて、兄弟で真田幸村に仕えた僧兵である。この姿を見ていると「武蔵坊弁慶」をイメージする人も多いけど、昔は大きな勢力だった寺院内で、独自に守護兵を雇っていた為に、このような僧兵は普通に多く存在していたという。
そして上田駅前の正面ロータリー付近に到着すると、こちらの大きな水車が見えてきた。それと共に鰻の蒲焼のいい匂いが漂ってきたけど、こんな駅前のロータリーで鰻の美味しそうな匂いがしてくるなんて、ちょっと不思議に思えた。
上田駅よりも鰻の美味しい匂いに反応してしまって、その匂いの正体を探るべく周囲を見回してみた。すると、駅前ロータリーの脇に「若菜館」という、明治30年頃に創業された老舗鰻料理屋があったのだ。
『鰻屋は煙で喰わせる』やな!
地下用水路の空間を漂って、駅前まで匂いが飛んでるじゃん!
そんな美味しそうな鰻の匂いに耐えながら、駅前に設置されていた大きな水車を眺めると、その手前に用水路のように水が流れている光景が見られる。この用水路は「桝網用水(ますあみようすい)」という明治時代から昭和まで、上田の町で産業などの動力として使われていた水路だった。
上田駅前にて
そしてこちらは上田駅舎であるが、外観には「JR上田駅」よりも大きな”六文銭マーク”が目立っている。
なお上田駅は1888年に開設された駅で、今では「JR東日本:北陸新幹線」、「しなの鉄道:しなの鉄道線(旧JRの信越本線)」、「上田電鉄:別所線」の3路線が乗り入れる駅となっている。
そして駅前にあったこの狛犬のような像は『石刻獅子像』という、この上田市と提携都市になっている中華人民共和国の浙江省「寧波市」から、提携10年を記念して2005年に寄贈された石像となっている。
こちらの景色は上田駅の北東側「お城口」であるが、「上田駅前ビル:パレオ」(左側)と、隣接するビジネスホテル「相鉄フレッサイン」(右側)の大きな建物が見られる。この駅前付近は北陸新幹線駅が設置される事に決まってから再開発事業が行われ、2003年に開業したビルとなっている。
そして駅前のロータリーには、お決まりの当地の偉人の銅像が置かれている事が多い。この上田駅ではここでも「真田幸村」となっていて、凛々しい騎馬像が設置されていた。
昔のヨーロッパで造られた銅像もこのように馬に跨った騎馬像が多く造られてきたが、馬に乗れるのはそれなりに地位の高い人間の特権を象徴しているという。
この真田幸村の騎馬像は『上田城築城400周年』となった1983年に、「田村 興造」という東京出身の彫刻家によって造られた作品となっている。
騎馬像は人間単体の銅像よりも、製作費が高いんだな!
そしてその真田幸村の騎馬像の背後には、このように六文銭マークが入った赤い旗風の時計なども設置されていた。上田の町は上田藩を長く治めていた仙石家や藤井松平家を捨てて、今では真田家、しかも知名度が全国区の「真田幸村」一本に絞っている様子が感じられる光景でもある。
特にこれから”観光立国”へと成長していく道を目指す日本にとって、このような色んな逸話が生み出された稀代稀な武将が、地元にとっては欲しくて仕方ない存在である。その為に、ちょっとでもその土地にゆかりがあれば、それを最大限活用して、その土地の英雄に祭り上げられてしまう事が全国的に多々起きているのであるが。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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