現存天守の中で最も標高が高い、五層六階の松本城天守閣に足を踏み入れる【信州松本旅行記6】

信州松本旅行記2022年3月-6

旅行期間:2022年3月上旬(2泊3日旅)

木造天守の醍醐味!

松本城 本丸内から眺める天守2

背景に北アルプス山脈が見えて、更に威厳を放つように見えてしまう松本城の複合型天守閣

戦国時代後半には、関東に移封された徳川家康を監視する城だった松本城も、その徳川家康が江戸時代を支配する事になった為に、徳川家の譜代大名が治めていた城でもある。

 

【松本城】

住所:長野県松本市丸の内4番1号
営業時間:8時30分~17時頃(※年末のみ休み)
電話番号:0263-32-2902
入場料:大人700円/小中学生300円

 

 

 

松本城の天守閣内を見学!

松本城 天守閣内 内観

大天守の北側には「乾小天守」という、三層四階の櫓が建造されている。

しかし現在では、この乾小天守が耐震基準を満たしていないという事で、残念ながら内部見学は中止となっていた。。

 

松本城 天守閣内 小さな階段

という事で大天守の入口で靴を脱いで、こちらの小さな階段を登って、大天守の1階フロアへと進んで行く。

乾小天守が見学できないのは残念だけど、立派な大天守の内部が見学できるだけでも、充分に幸せなのである。

 

大天守1階フロアにて

松本城 天守閣内 2階フロア

1階フロアに進んで行くと、このように柱が多く立っている光景が見えてくる。

この松本城天守は小さな天守ではなく、五層六階の大きな部類に入る天守なので、その重量を支えるのにこのような多くの柱が必要となっている。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 中央部分

この1階部分は、敵が攻め込んできた際に迎撃する最前線ともなっていたので、石を上から落とす「石落とし」や、敵を狙い撃つ「狭間」などが設けられていて、周囲の景観を楽しむ場所ではない雰囲気が漂っている。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 武者走りの床

そして1階部分の外側は、このように足元が1段低くなっている箇所も見られる。

これは「武者走り」と呼ばれた、戦いの際に武器などを担いで走り回る兵士が走り回りやすいように加工された床である。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 武者走りの床 景色

「武者走り」は内部の床の高さに比べて、約50センチほど低くなっている。

もし武者走りが造られていなかったら、慌てて武器を持って走り回る兵士達が個々に辺り一面を走り回って混乱するので、敢えて一段低くして”廊下”だと判り易いように造られた物のようだ。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鯱真木

こちらの木材は「鯱真木(しゃちしんぎ)という、屋根に設置されている鯱の中に芯材として使われていた物。

この鯱真木は実際に松本城の鯱の芯材として使われていた物で、昭和30年に完成した『昭和の大修理』の際に取り外されたという。

ちなみに、この鯱真木には「天保十四年 四月取替」と墨で書かれた文字が発見されており、「天保十四年(1843年)」頃に取り付けられた物だと考えられている。

 

 

松本城 天守閣内 2階フロア 狭間

この松本城の大天守は戦国時代に建造された建物なので、このように矢や鉄砲を放つ「狭間(ざま)という穴が多く設置されている。

ちなみにこの天守の建物には、矢を放つ為の「矢狭間」が60箇所、鉄砲を放つ為の「鉄砲狭間」が55箇所が設けられている。そして、小さい穴の方が鉄砲を放つ為の「鉄砲狭間」だったという。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 古い壁のサンプル

こちらも『昭和の大修理』の際に切り取られて保存されている、2階フロアの壁の一部分。

戦国時代に建造された天守は、まだ戦乱の時代だったので、狭間などと共に壁も簡単に崩れないように、分厚い壁が設けられていた。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 古い壁のサンプル2

戦国時代後半には鉄砲が主流となってきたが、大砲はまだ殆ど無かった為に、このような分厚い壁で敵の攻撃は殆ど防ぐ事が出来たようだ。

しかし、幕末になると海外から最新兵器がどんどん流入してきて、明治維新後の戊辰戦争では、旧幕府軍が立て籠もる会津若松城は、遠くからアームストロング砲などを撃ち込まれて、あっさりと炎上してしまうのであるが。。

鹿角クン
鹿角クン

所詮、城は戦国時代の骨董品だよ!

 

松本城 天守閣内 2階フロア 天守にあった鯱の像

こちらは昔の建造物の屋根に取り付けられていた「鯱」である。

この鯱は中国大陸から伝来したもので、空想上の海の生物を表しており、この鯱を屋根に取り付ける事によって火事などから守ってくれると願掛けされていた。

おやきマン
おやきマン

鯱を付けても、木造建築物はよく燃えるんだけどね・・・

 

松本城 天守閣内 2階フロア 天守にあった鯱の像2

こちらも 『昭和の大修理』の際に新しい物と交換されて、今では御役御免としてこの大天守内に保存されている。

なお、高さは124cm(雌)~127cm(雄)もあるけど、内部は銅像のように空洞になっていて、さっき見た芯材で固定されていたのである。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 使われていた天守土台柱

こちらの劣化した木材は、天守台の下から発見された「土台支持柱」である。この松本城周辺は、武田信玄治世時代に女鳥羽川の流れを変えて松本城の外堀とした事もあって、湿地帯となって地盤が弱かった。

そんな弱い地盤の上に大きな天守を建造する工夫として、天守台の下にこのような「土台支持柱」を16本組み込んで、”縁の下の力持ち”としていたのである。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 懸魚芯材

こちらは天守などの建物に付き物だった「懸魚(げじょ)という、切妻屋根や入母屋造り屋根の破風部分に取り付けられていた装飾の板部分の芯材である。

藩でも一番格式が高い天守には、それ相当の装飾が必要だった為に、当時としての最高の装飾が施されていた。

 

 

2階フロアにて

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲蔵の板

そして天守2階部分に進んで行く。するとまずこちらの『鉄砲蔵』と書かれた板が見えてくる。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲蔵の説明

この松本城大天守内には数多くの昔の鉄砲が展示されていたが、それらの収蔵品はこの松本市出身の故:赤羽通重氏とその夫人が主に収集した約120挺の火縄銃などが、昭和63年に寄付されてその一部が展示されていたようだ。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 窓からの眺め

この松本城大天守内は勿論エレベーターなどの現代設備は無くて、全て階段で最大斜度角度は約61度になっている。

また天守最上階までは、その急傾斜の階段を約140段も上がっていく必要があるので、足腰弱い人は最上階まで登るだけでシンドイ場所となっているようだ。

オカン
オカン

天守の登城は、歳取ってからはシンドイだけやわ・・・

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲の資料

この松本城大天守内には寄贈された『赤羽コレクション』の展示品が多かったので、”鉄砲の城”のような印象を受けた。

しかしこの松本が鉄砲生産地として大きく栄えた訳ではなく、松本市出身者が多く集めただけのようだ。

 

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲の資料 火縄銃サンプル

戦国時代に伝来した火縄銃という鉄砲が、時代の流れを大きく変えていく事になる。

いつの時代でも人類の歴史が大きく動く背景には、新しく発明された道具が存在している。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲の資料 火縄銃サンプル2

この鉄砲が伝来してくるまでの飛び道具は弓矢や吹き矢などであったが、それよりも大きな威力を発揮する鉄砲の真価を見極めた人物が、いち早く量産を開始して時代をリードしていった。

それまで長い間内乱が繰り広げられても武器はあまり進化しなかった日本国内だが、この鉄砲という存在が大きく戦いのやり方を変えてしまう。

 

松本城 天守閣内 2階フロア 鉄砲の資料2

戦国時代には武田家の騎馬隊などがもてはやされたが、鉄砲が伝来して戦い方が変わっていく最中も、その戦闘手法を大きく変えれなかった武田信玄亡き後の武田家は、逆に時代に乗り遅れた事により滅亡していく。

そして鉄砲を上手く戦に用いた織田信長の台頭で、更に鉄砲が活用されていった。

鹿角クン
鹿角クン

時代の覇者ほど、その後の時代に取り残され易いんだね!

 

松本城 天守閣内 2階フロア 柱

そして展示品だけではなく、木造天守ではこのような柱一本も見逃さずに観察していく必要がある。

こちらの木材の柱は表面がボコボコに削られているが、これは敢えて表面を削った物で、格式の高い建物にはこのような細かい加工が行われていた。

おやきマン
おやきマン

昔は全部手作業だから、えらい手間だったハズだよね!

 

松本城 天守閣内 2階フロア 展示ケース

現代人は昔と比べて比較的簡単に建てれる鉄筋コンクリート造りの家などに住んでいる為に、このような江戸時代に建造された木造建築物に掛けられた大きな人力作業手間を想像できない。

しかし、このような歴史的建造物の内観を見て、その大工たちの苦労を想像しながらの見学も、城見学の醍醐味なのである。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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