九州縦断旅:鹿児島編
旅行期間:2020年8月中旬~下旬
最後の力を振り絞って走る!
さて九州旅で訪れた鹿児島の桜島。現地で借りたレンタサイクルで桜島一周を目的に動きだした今日、なんとか半周を回り地元の人のススメもあってちょっとだけ脱線して垂水地区に寄り道。そうして今は15時30分頃でレンタサイクルを返す最終時間の17時が近づいてくる。
桜島サイクリングの終盤戦
普段からある程度自転車に乗っている人からすると、残り約16kmだとそんなに時間が掛からないのだろう。けども普段は全く自転車に乗らないし運動もしない、本厄年(1979年生まれ)の人間からするとなかなかキツイ残り道。だけどこのように自然豊かな景色を見れるし、走りながら感じれる風も気持ち良くて、清々しい気分でペダルを漕げるので気分は最高であった。
この残りのサイクリングルートはこのようになっている。桜島に着いてサイクリングしだした元気な頃だったら特に問題のなさそうなルートだけど、ここに来るまでの急勾配の坂道などのアップダウンでかなり体力を消耗してしまっている。さらに自転車に乗るの自体が数カ月ぶりで、ふくらはぎや太腿の筋肉もここまでこき使われると思っていなかったようで既に根を上げている状態でもあった。。
自転車の返却時間を過ぎるとプラス1万円の出費となるので、死に物狂いでペダルを漕ぎます!
再び桜島内に突入!
さて先程渡ってきた牛根大橋が見えてきます。ただこの牛根大橋も桜島側から来ると緩やかな下り坂となっていて快適に来れたのですが、帰りの桜島方向へ向かう際は緩やかな上り坂となっている。
その微妙な傾斜はまるでボクを桜島に入れたくないように、イジめているかのようだった。。
ワシのイジメはそんなレベルではなく、もっと強烈ド~~ン!
さっき通った時は緩やかな下りだったので全然気にならなかったけど、緩やかに上り坂となっている全長381mの牛根大橋の通過時間は今回の方が倍ぐらい掛かっているイメージだった。同じ橋を通過しているのに、行きと帰りでは全然違う橋に感じた。
人間ってメンタルが変わるだけで、全然見方も変わっちゃうんだねブヒ!
「緩やかな登りだけど足を着かずに一気に渡り切ってやる!」という意気込みで牛根大橋にチャレンジしたけど、結果は惨敗・・・。早々に自転車から降りて押すハメに。。
その代わりに牛根大橋の桜島側の袂に、このように平成12年に埋められたというタイムカプセルの記念碑が置かれているのを見つける事が出来た。余裕で牛根大橋を渡っていたら、こんな記念碑などにも目が行かなかったのであろう。そう思うと、自転車を押しているからこそ、この記念碑を発見できた訳である。
そんなもん、誰も見んド~~ン!
このサイクリングをしていたのは8月の真夏だったので、周りには同じようにサイクリングをしている人の姿を全然見なかった。平日というのもあったけど、すれ違ったのは桜島に住む中高校生のようなチャリンコに乗った3人の若者だけだった。
目指すゴールの桜島ビジターセンターはこの青看板にもある通り、国道220号線と合流する国道224号を真っ直ぐに行けば辿り着く。あとは一本道のこの道路をひたすらに走るだけ。ただ情報によるとこの先もまだまだアップダウンが続くとの事。。
そして大隅半島側と陸続きになった為に、今では桜島と大隅半島との分岐点となっている場所「桜島口」に差し掛かる。約100年程前までは、ここの陸地が繋がっていなかったとは想像もできないような場所である。
引き続き国道224号線を西に向かって進んで行くと、このように「溶岩道路」という看板が見えてくる。この辺りは桜島の南側にある有村町付近で、大正大噴火や昭和時代にも溶岩が流れてきた場所。そんな溶岩の上に造られている道路だから、このような「溶岩道路」という名前になっているのだろう。
一応ボクの頭の中ではこれから展望台などで寄り道しなければ、ギリギリ自転車の返却時間(17時)までには何とかゴール出来るハズだと考えていた。しかしもし返却時間を過ぎて施設が閉まっていたらプラス1万円の出費となるので、自分を追い込んでペダルを漕ぐ。
しかし無情にも前方に見えているように、ある程度の坂道が続くのであった。。
昼食を食べたチャンポン屋「椿の里」やさっきアイスを食べた「マミーズカフェ」などで休憩したからといって、体の疲労が消えて完全回復する訳ではない。ちょっとした上り坂に直面するだけですぐに下車してしまう程に、足は疲れている。しかしそれに負けずに逆に「その分、海などの景色を沢山見れる」と脳で前向きな考えに置き換えて、足から脳へ送られてくる”疲れた信号”を誤魔化してみる。
そんな作戦は、全く無意味な抵抗でしたが・・・
しんどくても一歩ずつ前に進むでごわす!
そうやって体に鞭を打ちながら進んでいると「有村溶岩展望所」という案内板が見えてきた。この有村溶岩展望所は大正大噴火や昭和溶岩で流れ出た溶岩痕の景観もよく見えるし、桜島の南岳(昭和火山とも)もよく見える人気の展望スポットらしい。さらには海岸方向へ流れていった大正大噴火や昭和時代の溶岩が形成した新たな陸地や、それ以前の安永時代(1780年頃)の溶岩痕地などを見比べる事が出来る場所。
この展望所は他に比べて、人間が沢山来ているド~~ン!
桜島内でも人気の展望台であるけども、こちらはそんな悠長に見物している時間はない。とりあえず駐車場に入ってみるけど、そこそこに進まないとそのような景観が見えない感じだったので、ここは断腸の思いで見学を諦めて自転車に乗って進む事を決断する。
桜島で配布されていたパンフレットによると、この桜島という火山は正確には1つの火山ではないそうだ。北岳と南岳に分かれていて、約26,000年前に誕生してから約5,000年前まで活動していた古い火山の北岳と、そのマグマの噴出口が移動して約4,500年前から活動し出した新しい火山の南岳。この辺りから見えるのは南岳側の斜面である。
人間と一緒で火山も長い歴史の中で、生まれ変わっていくド~~ン!
桜島内では木々が生い茂って緑豊かな場所も見えるけど、このように火山灰や溶岩が一面に拡がっていて植物が無毛地帯になっている箇所も見かける。こういった景観は活火山の近くだから見る事が出来るものだけど、桜島に住んでいる人からしたら火山灰が降っているのは日常茶飯事だから特に気にしないという。
おいたちが普通に吸っている空気を、気にしないようなもんでごわす!
しかし活火山のある地域に住むという事は、他の地域に住んでいる人達には考えれないような苦労もある。この排水路のような路も川ではなくて、大雨が降った際に起きる土石流を被害が最小限になるようにと誘導する為のものである。溶岩が流れ出てきてあまり植物が自生していない火山斜面に降った雨が、地中に吸収される事なくそのまま斜面を駆け降りて砂や石なども巻き添えにして土石流として転がり落ちてくる桜島。
こういった排水溝を色んな箇所に造っており、そんな工事現場を行き来するダンプカーを沢山見かける。ただ積載量が重たいダンプカーが走ると、道路沿いの建物にその都度震動が及ぶので地元住民たちは嫌がるけど、工事をする事によって地元住民らの快適さを向上させている訳なので我慢をせざるを得ないのかもしれない。
そして国道224号線を更に西上していくと、このように途中から道の端が工事中のゾーンに突入する。この2020年8月の約1ヵ月前には、この九州地方(特に南部)では豪雨が降った影響で、この辺りの道路も土砂崩れが発生していたようだ。ちなみに工事用の柵の支えには鹿児島ではなく熊本の人気キャラクターであるくまモンの顔が入っている。
ただ逆に「鹿児島のキャラクターって、何が思い浮かぶ??」と聞かれても、何も思い浮かばないような・・・
鹿児島といえば、おいどんでごわす!(怒)
大正大噴火の記念碑
そして足の疲れを騙し騙しでペダルを漕ぎ続けていると、道端にこのような約100年前に発生した「大正大噴火」の記念碑が設置されているのを見つける。ここはちょっと休憩も兼ねて、写真を撮ってみる事にする。
このような”先人のおしえ”というものはとても大事である。そんな”先人のおしえ”の中にもあるように「過去の歴史を見ても、必ず再び大爆発がいつか訪れる。その時に向けて備えを忘れてはいけない」という内容が彫られている。何事にも言える事で、どんな事でも些細な変異など予兆があるもの。特に火山の大爆発にはその前に余震や小さい爆発が立て続けに起こった後に、大爆発が訪れる。それを見逃さずに避難する事を忘れずに生活をしなければいけない。
所詮人類は地球に住まわせてもらっている身なので、驕らずに生きないといけないという事!
亭主関白じゃないけど、”火山関白”な家庭に居ると思えド~~ン!
約100年前に起きた大正大噴火の際には、約50人前後が巻き込まれて亡くなったそうだ。その犠牲者の命を今後桜島に生きる人達が引き継ぎ、それを未来の子供たちに受け継いでいく必要がある。このように道端に設置されている石碑などは車で走っていると見過ごしてしまうけど、このようにゆっくりと自転車を漕いでいるからこそ、こうやって見る事が出来る。
という事で桜島一周サイクリングは、個人的にオススメです!
残り時間が1時間を切った、16時20分頃になるとだいぶ火山の南西側までやって来ていたので、このように火山の北岳(左側)と南岳(右)を一緒に見れるポイントに差し掛かる。ちょっと分かりにくいかもしれないけど、古い火山と新しい火山の山肌を比べると右側の新しい火山の方が山肌が比較的見えているようだ。まだ溶岩が流れ出してから時間があまり経ってないので、その分大きな植物がまだ生えていない為である。
今いるのは「春松橋」の袂。残り時間はあと40分位だけど、ここまで来たら残り道はあと僅か。せっかく桜島の火山がよく見える場所までやって来たのだから、残り時間に気を付けながら今見える景色を楽しむ事にする。
鹿児島市街側から桜島を眺めてもだいたい同じ顔しか見る事が出来ないけど、このように桜島を一周するとそれぞれの場所で違った角度から桜島の顔を眺める事が出来る。未だに活動を続ける活火山という事で「いつ大爆発が起こるかもしれないから、怖くて近づけない・・・」と思う人もいるけど、実際に桜島内には4,000~5,000人が住んでいるのでそこまで危なく思う必要はない場所である。そして観測技術の進んだ現代では、万が一大噴火が起こりそうな予兆があれば、それを警報してくれるシステムも構築されているので必要以上に怖がる心配はない。
こちらの展望台のような建物には「SABO」とアルファベットが見える。こちらは「桜島国際火山砂防センター」という建物で、「砂防(さぼう)」という桜島でよく見かけた土砂災害を防止する為に設置されている溝などの構造物の総称でもある。なお建物内には砂防や桜島での土砂災害などについてお勉強が出来る資料館が設置されており、なんと無料で見学が出来る。
時間がもう少しあれば、立ち寄って勉強したかった場所です・・・
また次に来る機会に、寄って勉強すればいいでごわす!
さっきまで用水路とか溝とか表現していた、このような水が流れていない川のような構造物は「砂防(さぼう)」という表現が正しかったようだ。それにしても幅が広い砂防だけど、新しい火山の南岳側がある地域はより多くの土石流が発生する為に、これだけの広さが確保されているのだろう。
人間もなかなか知恵を絞って、どんどん成長していきおるド~~ン!
そして橋の欄干には、このような桜島火山のイラストのレリーフのようなものが設置されている。しかも噴煙の部分は白く塗装がされているので、少し凝ったデザインである。このように道端で何気なく見かけるデザインも、これが出来るまでの間にデザイナーや自治体や建設業者などの人々の間で、色んな打ち合わせを重ねて創り上げられたものである。だから一応デザイナーの息子であるボクは、こういった道端の片隅にある、見過ごされてしまいガチなデザインの1つ1つにもなるべく注視している。
こんな何気ない橋にも、色んな人達の苦労が隠れているのでね!
こういった面倒くさいタイプやけ、一緒に旅すると中々先に進めないけ!(怒)
途中の火山展望台などの見物を我慢したおかげで、ゴール地点まで残り10分もあれば到達できるエリアまでやって来た。この時点で残り時間35分程と余裕が出来ていたので、この近くにあるという長渕剛をモデルにした巨大な桜島溶岩を使った像を見に行く事にした。
途中にあった「西郷岩」にて
そんな長渕剛の溶岩像を見に行く途中に、このような「西郷岩」という石碑が見えてきた。よく「ゴジラ岩」とか「馬の背」や「亀岩」などと呼ばれる物があるけど、ここ桜島は鹿児島県なので鹿児島を代表する人物の名前が付けられている岩のようだ。
この一番上に立つ大きな溶岩の塊がその「西郷岩」だったけど、ちょっとこの角度的には西郷隆盛の横顔のようには見えなかった。。
もう少し左側から見たら横顔っぽく見えるらしいけど、残念ながらそこまで粘って撮影する体力が残っていなかった・・・
おいどんはもっとよか男でごわす!
赤水展望台広場「叫びの肖像」にて
そんな西郷岩などを見ながら進むと、やっと「赤水展望台広場(叫びの肖像)」と書かれた案内板が見えてきた。そして何とか寄り道する時間がありそうなので立ち寄る事にする。
住所:鹿児島県鹿児島市桜島赤水町3629-3
ここは「赤水展望台広場」という場所の横に、このような彫刻作品が造られている。なおこの像の材質は勿論普通の石ではなくて、桜島だけあって巨大な溶岩の塊を削って作られたもの。
このモニュメントは鹿児島市出身の有名なシンガーソングライターである長渕剛が、ここ桜島で2004年8月21~22日間(21時半~6時半頃まで)に行った「桜島オールナイトライブ」を記念したモニュメントである。そのコンサートでは約75,000人を動員した大規模のコンサートであったが、ここでコンサートを開催するにあたっては関係者はとても苦労したという。
「故郷の鹿児島でコンサートをしたい!」と宣言した長渕剛はスタッフと共に鹿児島を早速訪れて、桜島でのコンサート開催を決める。この桜島旅で最初に訪れた桜島港近くの「溶岩グラウンド」辺りが、交通の便もいいし、トイレなども近くにあるので立地的には好都合であったが、長渕剛はそれを拒否してこの場所で行う事を決める。
この広場までは桜島港フェリーターミナルから、徒歩20~30分掛かる。そしてトイレなどの施設も殆ど無いし、まずコンサートするに当たってこの周辺を整備する必要があった。しかしこの桜島内は国立公園に認定されるので、自然を傷付けるような工事は無理で、コンサートが終わった後は自然が回復できる程度までの整備しか行えなかったという。
しかしそんな困難を乗り越えて70,000人を超える大観衆をこの桜島に引き付けて、オールナイトライブを見事やり遂げた長渕剛とその関係者。そんな困難なコンサート開催の偉業を称えて、この場所にこのようなモニュメントが設置されたのであった。
俺はやりたかったんだ
だからやった
それでいいんじゃないかな
失敗したら、また前を向けばいいだけだ
by 長渕剛
こんな旅はまた次回に続きます!
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