三浦半島の三崎港近くの「まるいち食堂」で、大トロも入ったマグロ盛り定食を味わう!【神奈川旅行記㊳】

神奈川旅行記2020年秋-㊳

 旅行期間:2020年11月24日~27日(3泊4日)
(At Maruichi, near Misaki Port on the Miura Peninsula, you’ll find a tuna set meal that includes otoro! [Kanagawa Travelogue 38])

三崎といえばマグロ!

神奈川県旅3日目は三浦半島の南側までやって来て、その南端に位置する城ヶ島を散策した後に、海を挟んだ向かい側にある三崎というマグロの水揚げ量が多い事でも有名な「三崎港」の町にきました。そしてそろそろ12時となったので、せっかくなのでマグロの刺身を食べたいと思い、この町をウロつく事に。

 

 

三浦市の三崎にて

この三崎というと大正時代に魚市場が造られてから漁業で大きく発展した町だが、マグロの水揚げ量でも全国有数の港までなったものの、近年は海外から大量のマグロが輸入されてきていてその打撃を受けて、だんだんと錆びれていっている地方の田舎町となっている。

 

今は日の出通りから”入り舟すずらん通り”なる場所を適当に歩いているけど、シャッターが閉まっているお店も多い。ひょっとしたら居酒屋として夜にだけ営業しているのか、それともコロナ禍で観光客が大きく減少した為に閉めているのか、それとも数年以上も前から閉まっているお店なのか?

 

昭和後半には冷凍庫を備えた遠洋漁業の船が開発された事もあって、より遠洋にマグロを獲りに行く事が出来るようになって、更にマグロの水揚げ量が増えて昭和後半は栄えた三崎の町。しかし次第に海外の船も多くなっていき、冷凍技術が向上し、また輸送賃もより効率的な手段が使われる事によって、海外で水揚げされたマグロが国内に多く流入してきた為に年々マグロ漁の売り上げは減少傾向にある。

 

適当に三崎の町をブラブラと歩いているけど、マグロの水揚げ港の町だけあって、そこら中でマグロを扱っているお店が見られる。最近になって寂れてきた三崎の町も町興しを行い、その目玉にマグロ料理を持ってきて売り出しているので、それに便乗しているのか、それともマグロしか観光客の目を惹く物がないのか?!

 

こちらは「食堂」とは書かれているけど、見ている感じには魚屋っぽい雰囲気のお店。どうやらここは一応魚屋だけど、ここに置かれている魚を選んで、隣にある魚屋の食堂で捌いて料理をしてくれるようだ。

 

その魚屋の隣にあった食堂がこちらの「まるいち食堂」で、順番待ちも出来ている位に人気のありそうなお店だった。いつもだったらお店の前で待っている人が見られるようなお店には、並ぶのが面倒くさいので入る事は少ないけど、そんなに待たなくても入れそうだったので、今日は珍しくこのお店に決めたのである。

 

このお店は60年程の歴史を持つ老舗鮮魚店が経営しており、当然ながら毎日魚市場から新鮮な魚を仕入れている。60年前というとちょうど三崎港の全盛期に突入した頃から始めたお店のようで、それから約60年の間に酸いも甘いも経験してきたような鮮魚店なんだろう。

 

そして鮮魚店と食堂の間では、お店の人が大きなマグロを切り分けている姿も見える。普段はこれぐらい大きなマグロの塊を近くで見る機会がないだけに、お店の人に断って近くから写真を撮らせてもらう。

 

マグロの刺身というと「赤身」「中トロ」「大トロ」が一般的によく食べられる部分だが、マグロの体の中心部分に最も多くあるのが赤身である。だからマグロの刺身の中では赤身が圧倒的に安く食べれるが、一匹の中でその部位が少ない中トロ、そして大トロとなる程に希少価値が出て、価格は高くなってくる。

朋ちゃん
朋ちゃん

このまま、かぶりつきた~~い!

 

この「まるいち食堂」は三崎港付近のお店の中でもそれなりに人気店らしく、昼時などはやっぱり多少は待たないと入れないらしい。またコロナ禍の影響もあって席数を減らして営業しているので、余計に入りにくい状態になっているそうな。

 

【まるいち食堂】

住所:神奈川県三浦市三崎3-5-12
営業時間:11時~19時頃(※定休日:水曜日)
電話番号:046-881-2488

 

 

こちらはまるいち食堂さんの前に置かれていた腰掛け用の椅子だったけど、マグロではなくて、鯛の絵が描かれていた。まるいち食堂では隣の鮮魚店で事前に自分の食べたい魚を選んでおけば、魚代+250~500円/匹の調理代で捌いたり煮たりもしてくれる。

 

 

マグロ盛り合わせ定食を味わう!

この時はタイミングよく、お店に来てから約5分ほどの待ち時間で店内へと通される。こちらの部屋は2つのテーブルが用意されていて、もう1つのテーブルには先客のオジサン1人が陣取っていた。なおそのオジサンは隣の鮮魚店で魚を別途オーダーしていたようで、マグロ以外にもお魚を食べて、それでビール1本も飲んでお会計6,000円ぐらいを支払っていた。。

昼間から6000円も払えるなんて・・・

 

さてこちらはお店のメニューの定食の欄。やっぱり三崎ではマグロを食べないといけないけど、マグロ尽くの【まるいちマグロ3点盛り定食】(税抜1500円)を注文する事に。定食にはご飯とアラ汁と小鉢などが付くけど、この料金から更に消費税10%が付く。なので本当だったらここでビールも飲みたいけど、ここはグッと堪える事にする。。

エロ坊主オジサン
エロ坊主
オジサン

王子も結構ケチやけ!(笑)

朋ちゃん
朋ちゃん

私から見れば2人ともケチだけど、種類の違うケチね!(笑)

 

待つ事7~8分で、マグロ定食の刺身が運ばれてきた。こうやって見ると真ん中の大トロが他の部位よりも値段が高いのは知っているが、このように大きさも小さいのがよく分かる。大トロ単体だったら分からないけど、こうやって横に比較される物があるとその違いが一目瞭然なのである。

 

マグロの部位 一覧図

マグロの部位 一覧図

そしてこちらはマグロの部位一覧図である。普段マグロの刺身を食べる時は勿論自分で捌く訳ではないので、その大トロがドコの部分かなんて気にして食べる事はない。ちなみにマグロという魚は縄文時代の貝塚からその骨が発掘されている事もあって、大昔から人類は食べていたと考えられている。

 

しかし昔は今みたいに冷凍技術など無かったので、獲った魚は直ぐに食べるか、燻製にするしか方法が無かった。特にマグロは獲った後に常温で保管しているとすぐに黒くなる事から、”真っ黒(マグロ)”と呼ばれるようになったとか。

 

そんな直ぐに黒くなるマグロの部位の中でも、この大トロ部分は直ぐに腐ってダメになってしまうので、昔は人気が無くて缶詰用にしか使われる事が無かったという。だから江戸時代のお殿様とかは「マグロの大トロを贅沢に食べていたんだろうね!」と思ってしまうけど、当時のマグロは庶民の中でも最下層向けの食べ物だったので、昔のお殿様は今のような大トロの味を知らずに生きていた訳である。

鎌大仏君
鎌大仏君

マグロはそういう意味では、大きな出世をした魚だね!

 

赤身は昔から比較的庶民には食べられていた部位だけど、醤油が普及した事によって寿司のネタとしても使われたり、”醤油ヅケ”として保存食にされたりもした。今では冷凍技術が進歩した事により赤身が多く獲れる事もあって、引っ張りだこの人気のマグロは世界中で獲り合いにもなっている。

 

こちらはアラ汁で、こういったお吸い物も港のある町の食堂らしさを感じれる一品。日本人は魚など全部の部位を食べきるような文化を持つ人種だが、戦後の食糧が貧しい時代に生きたおじいちゃん世代は魚を綺麗に食べていた。だがボクらのそれなりに贅沢な時代に生まれた世代は、魚の骨の間に挟まっている部分などはあまり綺麗に食べる事が出来ずに、たびたびそれを皮肉を籠めて指摘されていたのを思い出す。

 

そしてやっぱり定食では欠かせない米である。この米に対しての異常な食文化を持っているのは日本人だけで、他の国の人からすれば、このご飯を見てもそこまで気にする程の食べ物ではないのかもしれない。しかし、このご飯に大きく反応してしまう自分が日本人であるという事を、再確認させてくれるご飯であった。

 

 

定食にはアラ汁とご飯以外にも、こちらの漬物小皿と小鉢も付いてくる。何気ない小鉢とかだけど、こういったお店の心意気が感じられる一品などが付いている方が、味わいだけではなく、そのお店の雰囲気や店のこだわりなどを感じれてホッコリするような気分になれる気がする。

 

 

三崎で味わうマグロの刺身! 動画

 

 

大トロは胸ヒレの付け根部分に位置する部位で、牛肉で言うと霜降り肉のように脂がタップリと乗っている部分。だから好き嫌いの個人差はあるけど、日本人のDNAというかメディア操作によって、このような霜降り部分を有難く思う食文化が日本人の頭に浸透している。でも江戸時代にはこの大トロなどが嫌われていて、猫のエサに与えても”猫も嫌がる”程にみんなに敬遠されていたとは思えない今である。

朋ちゃん
朋ちゃん

江戸時代に戻って、大トロを買い占めたい~!

鎌大仏君
鎌大仏君

当時は冷凍庫が無いから、殆ど腐ってると思うけど・・・

 

今は昔に比べて冷凍技術が大きく進歩している為に、水揚げ漁港近くの鮮魚店でマグロの刺身を食べるのと、漁港から離れた都市部で食べるマグロの鮮度もそう大差ない時代になってきている。しかし、人間の脳みそという物は結構適当で”水揚げされた港の近くで鮮度の良い状態で食べれる”と思い込んで食べるだけに、人間という生物はその印象を操作して港近くで食べる刺身をより美味しい物だと錯覚してしまうようだ。

 

だから冷凍技術が今みたいに進んでいなかった昔から生きている年配の方々にとっては、よりそう思ってしまう傾向がある事だろう。だから観光客程にその訪問先で地元の名物料理を味わって、それが美味しく思えるのかもしれないけど、そこにはそういった人間の脳が錯覚を起こす”バイアス”も含まれている事を忘れてはいけないだろう。

 

とかゴチャゴチャ言いながらも、マグロ刺身定食を綺麗に完食する。この「まるいち食堂」も人気店らしく、ボクが店に入った後も続々とお客さんが入店してきており、20代ぐらいの若い集団はマグロの盛り合わせ造りを豪勢に頼んで、「ウワ~~、スゲェ~~~!大トロ、ヤバッ!」とか嬉しそうに声を挙げているのが聞こえてきた。。

 

それにしても隣でモクモクと魚料理を食べていたオジサンは1人で6000円ぐらいの会計だったけど、昼間からこれだけのお金を支払えるなんてそれなりの富裕層なのか? それとも単に浪費家だったのか? 見た目には富裕層っぽいオーラは全く感じられなかったけど、意外とそういう人がどこかの会社の社長だったりする事もあるようだが。

 

このように「まるいち食堂」では単にマグロだけではなく、他の色んな魚なども自分で選べるので、マグロの刺身だけを出す定食屋とは一味違ったお店である。ここで選んだお魚は刺身以外にも焼いたり煮付けにもしてくれるので、魚好きにしたら色々頼みたくなるのも仕方ないかもしれない。

 

現代は多くの鮮魚が流通しているが、それに大きく影響を与えているのが魚の下に敷かれている氷だったり、冷凍技術だったりする。だから食べ物も昔と比べると、より美味しく食べれる時代となっていて、現代に生きる我々はそれだけでも幸せなのだと感じるのである。

ブッダ君
ブッダ君

ワシも現代に生まれて、マグロの刺身を食べたいんじゃ!

 

マグロの刺身を味わいながらも、三崎口駅まで向かうバスの時刻表も確認しつつ、乗り遅れないように考えながら昼食を食べ終わる。この右側奥に見えている大きな建物は「うらりマルシェ」という魚市場とお土産屋が一体化している施設で、ちょっとお土産を見たい気持ちもあったけど、バスがやって来る時間まであと5分程だったので、自重して諦める事に。

 

 

こちらは城ヶ島に向かう時にも車内から見えた、京急バス「三崎港」のバス停。1本乗り逃がすと約30分程待たされるので、バスで城ヶ島や三崎港に来ている人は、前もって計画的にどのバスに乗って帰るかは調べておいた方がいい。

 

 

そのバス停近くには、このような昔の覆面プロレスラーだったミル・マスカラスのような絵が外壁に描かれている、お洒落なお店を発見する。こちらのお店は「カフェ:雀家」という、アウトドア業界ではそれなりに雑誌やテレビなどにも出た事のある有名人が営むお店だった。

 

 

その「カフェ:雀家」の御主人は、東京の都会生まれだが、わざわざこの三崎を気に入って移り住んだようだ。昭和後半の時代にはマグロの水揚げが増えて繁栄して、その後に衰退していった町でもあるが、その町の魅力はいつの時代でも人を惹きつける。

単に「昔はマグロの水揚げが多かった場所」でこのまま消えて行くのか? それとも”新しい21世紀の三崎”として多くの人々に愛される町として存続していくのか? これからの三崎がどうなるかが楽しみになった、今回の訪問であった。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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