大塚国際美術館旅行記 2022年6月-3
旅行期間:2022年6月上旬(当日旅)
長丁場の始まり!
意気揚々と大阪から乗り込んできた徳島県鳴門市にある「大塚国際美術館」。早速約30分ほど展示されている美術品に目を通していくが、広い敷地の至る場所にこのように展示品が見える。
その為に体力を温存して”計画的”に鑑賞していかないと、後半に疲れてしまって、早く帰りたくなる事だろう。。
住所:徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
営業時間:9時30分~17時頃(※月曜定休日)
※ただし祝日の場合は営業し、代わりに翌日火曜日が休館
電話番号:088-687-3737
入館料:大人3,300円/大学生2,200円/小中高学生550円
(※前売券大人3,160円/大学生2,140円/小中高学生530円)
●美術館専用駐車場:無料 450台分あり
B3F「中世」時代作品の鑑賞!
カタルーニャ美術館(スペイン)
古代時代の美術品は主にその土地に伝わる『神話』をモチーフにした作品が多かったが、中世時代になるとこのような『キリスト教』の新約聖書に出てくる一場面が多くなってくる。
というのも「キリスト教」がローマ帝国の国教となってから世界に大きく拡がっていき、そして世界を代表する宗教へと確立されていったからである。また、このような中世時代のキリスト教の絵画が残されているという事は、世界を支配した為に美術品などが破壊者の手から逃れた事も大きく影響しているだろう。
トレチャコフ美術館(ロシア)
ただ勿論キリスト教も順中満帆だった訳ではなく、他の宗教から大きく迫害を受けていた時期もある。その時代にはキリスト教の教会や絵画などが多く破壊されたが、一方でキリスト教徒も対抗馬の宗教を破壊していた。
なんで人間って、自分達を殺し合うのかな?
アヤ・ソフィア大聖堂(トルコ)
こちらはトルコの古都イスタンブールにある「アヤ・ソフィア大聖堂」の、『キリスト』を描いたモザイク画としても有名な作品である。
イスタンブールのアヤ・ソフィア大聖堂は実際に訪れた事があるけど、元々はキリスト教の大聖堂として造られた建物が、後にイスラム教徒に占領されて、イスラム教の寺院に改装されてしまった歴史がある。
イスラム教の寺院に改装された際に、それ以前のビザンチン時代に描かれていたモザイク画やフレスコ画は上から黒く塗り潰されてしまった。しかし、後になってから、その下絵が発見されて、今ではイスラム寺院の中にキリスト教の画が存在するという非常に珍しい建築物となっている。
キリスト教もイスラム教も、元を辿れば同じ神様を信仰しているナルト!
オシオス・ルカス修道院(ギリシア)
中世時代のヨーロッパは、キリスト教が一大勢力としてヨーロッパ中に勢力を拡げていた。そしてそこにイスラム教が攻め込んできて、大きな戦いが起きていくのである。
こちらはギリシアの「オシオス・ルカス修道院」の壁画であるが、ここも実際に訪れた事があったけど、この画を見たという記憶が全く残っていなかったが、その旅行記ブログを見直したら、ちゃんとこの画も撮影していたのであった。。
ブログ作成も備忘録になるんやな!
by ジョット・ディ・ボンドーネ(Giotto di Bondone)
サン・フランチェスコ聖堂(イタリア)
こちらの作品は『小鳥への説教』という、”アッシジのフランチェスコ”とも呼ばれるフランシスコ会の創設者となる「聖フランチェスコ」を描いた作品。
『小鳥への説教』というタイトルだったので、好き勝手に自由に飛び回る小鳥を戒める為に説教をしているのかと思っていたら、実際には全然違っていて、聖フランチェスコが説教を開始したらその素晴らしい内容を聞きたいが為に、小鳥が周辺から多く集まってきたという逸話になっているようだ。。
説教が終わった後に、小鳥を捕まえて食べていたかもね・・・
ちなみにワタシ、焼き鳥はキライです!
by アンゲラン・カルトン(Enguerrand Quarton)
ルーヴル美術館(フランス)
偶像崇拝を禁止していたイスラム教と違って、キリスト教は偶像崇拝を認めていたので、文字が読めない人や意図が伝わらない人にも、このようなキリストの名場面を描いた作品を見せて、その宗教を教えていくというやり方を行った。
そしてそれが功を奏したのか、世界中で多くのキリスト教関連の画が増えていき、それに伴ってキリスト教が世界を席巻していくのである。
クリュニー美術館(フランス)
こちらはタペストリーで作られていた作品だけど、このように大塚国際美術館では精細なカメラを使っての精密写真を撮影して、現品と寸分狂わない「陶板画」へと仕上げている。
B2F「ルネサンス/バロック」ゾーンの鑑賞!
by フラ・アンジェリコ(Fra’ Angelico)
サン・マルコ美術館(イタリア)
そしてB3Fを足早に鑑賞して、上のフロアであるB2F「ルネサンス/バロック」ゾーンに突入する。
するとまずキリスト教の『新約聖書』に出てくる話の中でも特に絵画として人気のある、『受胎告知』が何点も飾られているブースがあった。
「受胎告知」とは、処女だったマリアの元にいきなり天使ガブリエルがやって来て、「アナタは神様の子供を授かったノダ!」という感じの懐妊を告げるシーンである。
ちなみにマリアには夫(聖ヨゼフ)がちゃんといるにも関わらず、神様はまるで”絶対神ゼウス”のように、他人の嫁を懐妊させたのであった。。
昔の権力者は、やりたい放題だな!
by サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)
ウフィツィ美術館(イタリア)
それとこの中世時代以降は、それまで教会などの壁に描かれていた壁画だけではなく、商売で財を成した商人達がその財力を投入して、自分好みの絵を描かせる時代となっていった。
by カルロ・クリヴェッリ(Carlo Crivelli)
ナショナル・ギャラリー(イギリス)
その為にこの『受胎告知』は中世絵画の中でも特に人気が高いエピソードとなっており、それに伴って多くの画家による作品が残されている。このようにキリスト教関連の画も、宗教布教の為に描かれていた時代から、金持ちの自己満足の為に描かれる時代に移り変わっていった。
by レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)
ウフィツィ美術館(イタリア)
そしてこちらの受胎告知は、かの有名な「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の作品である。
※正確には、ダ・ヴィンチの師匠である「アンドレア・デル・ヴェロッキオ」との合作の可能性が高い。
当時の富豪たちが自己満足の為にお金を画家に払って絵画を作らせた為に、その報酬を求めて、多くの人間が画家を志し、また絵画の技術が飛躍していくキッカケともなっていくのである。
ダ・ヴィンチの師匠である「アンドレア・デル・ヴェロッキオ」は、当時イタリアでは有名な芸術家で主に彫刻メインだったが、絵画にも精通していた。しかし、弟子にとったダ・ヴィンチの技術があまりにも優れており、すぐに自分には太刀打ちできない事を悟った為に、しばらくして筆を置いて彫刻作品にだけ集中して製作していったとされている。
芸術の世界では、”センス”がある人間には敵わないナルト!
この『受胎告知』、新約聖書の福音書によっては、マリアに懐妊を告げる記述と、マリアの夫だったヨゼフに懐妊を伝える記述の2パターンが存在している。
ただヨゼフはマリアよりも遥かに年上で初老に近かった事で、見た目にもあまり良くなかったので、多くの富豪はそんなヨゼフが懐妊を告げられる構図ではなく、この若いマリアに懐妊が告げられるシーンを選んだようだ。
どの時代も金持ち親父は、若い娘を好むね~!
そして中世のルネッサンス期の作品になってくると、フレスコ画やモザイク画が減っていき、キャンバス地に描いた油絵作品が増えてくる。時代と共に色んな技術が発展していき、絵画の世界でもこのように順番通り見ていく事で、その違いを肌で感じる事ができる。
by ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)
バチカン宮殿(バチカン市国)
ただルネッサンス期の画家達も自分の好きな絵ばかりを描けた訳ではなく、あくまでもスポンサーとなっていたパトロンの欲求を満たす絵しか描けなかった。また芸術家はエゴや拘りが強いので、強烈な作品を創る人ほど、パトロンからの要求を易々と受け入れずに、反発して自分の意見を主張していただろう。
中世時代に作られた、このような絵画には必ず画家と共に、この絵画の製作費を提供したパトロンの存在がある。自分の拘りを突き通しても、その作品が認められずに消えていった芸術家が多かっただろうと推測される。
by ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)
バチカン宮殿(バチカン市国)
しかし、こちらの作品を描いた「ラファエロ・サンティ」は、若くしてその才能が認められてパトロンの絶大な支援があった為に、多くの作品を残している。
いつの時代にも芸術家という職業は、芸術品のレベルを至高の域まで高めて評価される人間と、パトロンなどの支援者に上手く取り入って沢山の絵画を残す人間と、2パターン存在するのかもしれない。
by フィリッポ・リッピ(Fra Filippo Lippi)
ウフィツィ美術館(イタリア)
そして受胎告知と共に『聖母子』(マリアと幼いキリスト)が描かれた作品も、ルネッサンス期にとても人気のあった構図である。
なお、こちらに描かれている「二天使」は、幼いキリストを脇で抱え上げている2人の子供を指すようだ。
by ラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)
ピッティ美術館(イタリア)
他にも『聖母子』では、このように天使がいなくて、マリアが幼いキリストを抱えた構図となっている作品が多い。やっぱり金持ちの男も、必ずこのような幼少期があり、マリアが発する母性本能に知らず知らずのうちに惹かれてしまっていたのかもしれない。
by ティントレット(Tintoretto)
スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(イタリア)
それ以外にもキリストが殉教する「ヴィア・ドロローサ(Via Dolorosa)」という”苦難の道”を歩いて磔が行われるまでのエピソードシーンも、よく絵画として見られる構図である。ヨーロッパのキリスト教会を訪れると、だいたいこの「ヴィア・ドロローサ」関連の絵が描かれているのをよく見かけた。
by サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)
ウフィツィ美術館(イタリア)
こちらはあまり絵画の世界に興味がない人でも、何かしらのメディアで必ずと言っていい程に見た事のある有名な作品である。この作者:ボッティチェッリはルネッサンス最盛期に活躍した画家だが、”神秘主義”に傾倒していき、官能美などを斬新に描いた為に当時はこの絵が全く評価されなかったとされる。
by サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli)
ウフィツィ美術館(イタリア)
昔の芸術品の歴史を調べてみると、このボッティチェッリの作品のように、画家が生きている時代には全く評価されなかった絵が、作家の死後から数百年が経過して、陽の目が当たって世界的に有名な絵画になったりする事もある。
だから芸術品というのはその時代を生きる人間の芸術性の理解度によって、大きく影響を受けやすいのである。
人間が評価する絵画らしいな!
現代は人工知能AIが、絵画を数秒で製作する時代ナルト!
絵画にあまり興味がない人でも、このB2Fまでやって来ると、ドコかで見た事のある絵画が多く展示されているので、鑑賞が楽しくなってくる頃合いだろう。そして館内には鑑賞に疲れて休憩したい人向けの椅子も置かれていたけど、美術館内だけあって、このような椅子が置かれていた。
椅子に乗ったまま鑑賞できたら、楽なんやけど・・・
次回から、車椅子に乗りますか・・・?!
「モネの大睡蓮」の中庭にて
そして大塚国際美術館内の見学を開始して1時間が過ぎた事もあって、この開放感あふれる「モネの大睡蓮」を再現して造られた中庭に出て、ひと休憩を入れる事にする。
この「モネの大睡蓮」の中庭周辺は、その周囲にあるカフェレストランのテーブルもあって、まだ11時過ぎだったけど、チラホラとここで昼食を食べている人の姿が見られた。
やっぱり、カレーの匂いは強烈に匂うな!
そして今回の大塚国際美術館旅では、格安の高速バスを時間かけて選んだ事もあって、昼食も館内のレストランで食べると”いい値段”になる事を予測していたので、事前にコンビニでこちらのおにぎり🍙を購入していたのである。
という事でちょっとボクらも早めだけど、昼食としておにぎりを食べて休憩してから、再び館内の鑑賞に向かうのであった。
こんな旅はまた次回に続きます!
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