東京旅(2022年11月)-4
訪問:2022年11月
世界の国際港!
世界の経済を軒の下で支える”物流”という地味な世界。
仕事で物流業界と関わった事のある人なら、その大変さを理解していると思うが、なかなかにハードワークな業界でもある。
物流博物館の見学!
物流ネットワークは血液内を流れる赤血球などにも似ており、色んな物が色んな役割でそれぞれに活発に動き回っている世界である。
そして現代社会はこの機動力のある物流業界の力を得て発展してきたので、今更これらの物流が消え去ると、何も出来なくなる程に脆弱な社会でもあると言えるのかもしれない。
昔と違って物流業界にも徐々にデジタル化の波が押し寄せているが、今でも大半の物流会社は昔ながらのアナログなシステムで営業している所が意外と多い。
しかし21世紀には”IT業界のドン”と言えるAmazon社が物流業界にも進出し、その強大なITパワーを活かして事業を進めているので、いずれアナログだけに頼っている物流会社は淘汰される可能性が高いように思う。。

Amazon社は本当に恐ろしい会社さ・・・
こちらの大きな鯨を連想させるような大型船舶の模型は、製造した自動車の新車ばかりを専用に運ぶ「自動車専用船」である。
ちなみにこういった貨物輸送の船舶は特に規格品があるという訳ではなく、実は1台ずつのオーダーメイドで製造されている。
というのも大型船舶は何を載せる船かによって、船の設計が全く異なるからだ。
なので発注した当時は世界を震撼させるような「巨大戦艦:大和」のような存在だった船も、その数年後の完成した時代にはすっかり時代が移り変わっていて、あまり活用されずに消えていくという事も多々あるんだとか。。

先を読む力が大事でござる!
コンテナは船だけでの輸送ではなく、こちらの「コンテナ列車」での輸送にも対応しており、世界中で環境負荷が少なく時間も正確な輸送が行われている。
今では40フィートや20フィートのコンテナボックスが主流となっているが、当初のコンテナは世界全国でそれぞれの物流会社にとって都合の良いサイズが造られていた。
その為に世界に運搬すると汎用性が低く、コンテナの大きな問題となっていた。
そこで世界的にコンテナボックスのサイズを統一化する運びとなったが、これもそれぞれの思惑があって簡単には進まなかったものの、最終的にはコンテナサイズが統一化された事によって、物流網は一気に発展していく事になる。
こちらは「日本国内貨物輸送量」の推移が表されているグラフで、見事にバブル崩壊頃が頂点となっているのが分かる。
バブル期をピークとして、減り続けた2010年代以降はほぼ横ばいで推移しており、経済的には特に落ち込む様子は見られないが、2020年はコロナ禍の影響で流石に減少したようだ。
こちらは貨物を運搬する手段毎の輸送量推移表で、”環境に負担が少ない手段を!”とか言いながら、利便性の高いトラック輸送が大きな割合を占めている事が分かる。

人間は便利な手段を、一番好む人種でござる!
そんなトラック輸送もひと昔前に比べて、運転手側にも1日辺りの”最大拘束時間”や”最大運転時間”や”連続運転時間”などにも規制が作られている。
トラック運転手というと、ただ単にトラックを目的地に向かって運転するだけではなく、荷物の積み降ろしも行ったりと、その関わる業種で大きく変わるのである。
また納品時間の厳守が厳しい業界などでは、納品地の近くでトラックを停めて待機していると、周辺住民から苦情が来て遠くで待機せざるを得ないなど、トラック運転手の仕事も結構大変なのである。。

最近の人間は、何でもかんでも文句しか言わんさ!
そして地下の展示室には、このような大きな港とその周辺の貨物ターミナルの様子を再現した模型が展示されていた。
物流の要ともなっている港のバックヤードには、このように貨物を運ぶ手段の基地が整備されている。
普段はあまり港に行く機会の少ない一般人も、”物流”などに意識を持って港を訪れると、このように細かく整備されたターミナルには舌を巻く事だろう。
最近興味を持ったのが、こちらのコンテナを積み降ろしする機械「ガントリークレーン」である。
What’s名古屋港 港の花形「ガンマン」
現代の巨大な港には必需品なガントリークレーンで、大きなコンテナボックスをいとも簡単に積み下ろしする優れた機械だが、一般人は近くに立ち寄って眺める事ができないのが残念であるが。。
そんなガントリークレーンのバックヤードには、コンテナ置き場があるけど、最も効率の良い輸送は直にコンテナ車の荷台に積み下ろす事である。
最近は高級品の輸送なども増えている為に、運送費の高い航空機貨物輸送も増えている。
物流を自社でも動かすAmazon社も、航空貨物事業「Amazon Air(アマゾン・エアー)」を進めて、航空会社の買収などを進めている。
今の時代は「GAFAM」と称される事が多い、アメリカのITテック大手会社5社がリードする社会となっているので、余計に変革が大きい時代を迎えている。
そして世界の物流界では、実は日本の存在はアジアでも小さくなっていて、21世紀の現代では”断トツで中国が1番”となっている。
それと”港湾別コンテナ取扱個数ランキング”では、日本の港はシンガポールや韓国や台湾にも負けており、既に”アジアの覇者”という過去の栄光も見られないのが現状となっている。。
ヨーロッパでも、かつては”世界最強のイギリス艦隊”が貿易も支配していたが、港の大型化に出遅れた為に、オランダのロッテルダム港に主役の座を奪われて、没落してしまっている。

繁栄した国ほど、時代の変化に乗れずに没落してしまうのさ!
北米では昔からの港町であるサンフランシスコが没落しているが、ロサンゼルス港やシアトル港が大型化してその座を保っている。
しかし、コンテナ船の競争と共に、これの発着地である港の競争も激化しており、現状に胡坐をかいているとあっという間に没落してしまう時代なので、油断はできないのである。
現代に見られる大型港の背景には、その裏で多くの廃れていった港跡が存在しているのでもある。
そして現状、とても繁栄している港だからと言って、これからの時代もず~~っと栄えていくという保証もない。
その為に一歩間違えれば、自分達が蹴落としてきた”廃れた港”と同じ運命を辿る可能性もあるのだ。

「明日は我が身」ってヤツさ!
そしてここに展示されていた貨物ターミナルの模型も、何とボタンを押せば、このようにガントリークレーンなどが動くようになっていた。
なかなかに手間暇と費用を掛けた”動く貨物ターミナル”だったので、次に東京に行く際は是非寄ってみても面白い場所だと感じた物流博物館であった。
こんな旅はまた次回に続きます!
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2022年11月上旬に訪れた、2泊3日の東京旅です。