北海道/札幌旅
旅行期間:2020年9月1日~4日
無料の展望台からの眺め
ここは明治時代に建てられた「旧札幌農学校:演武場」として使われていた建物跡で、今では「札幌時計台」として市民や観光客に親しまれている。なおこの建物は元々あった場所から、区画整理で道路の邪魔になった為にこの場所に移されている。だからこの建物が最初からここに建っていた訳ではないという。
札幌市内にて
こちらに置かれている時計盤は、この札幌時計台に飾られている「時打重錘振り子式四面時計」と同じサイズのもの。時計台の建物内に入ってしまうと、中からは時計盤を眺める事が出来ないので、わざわざこのような同じサイズの時計盤を調達して展示してくれているみたい。
札幌時計台にて
ただこの時計自体も約100年程前に造られた、結構な歴史のある時計だそうだ。元々はアメリカの工場に取り付けられていたものを、わざわざここの時計台へと移設されたもの。
「時打重錘振り子式四面時計」という名前にもあるようにこの札幌時計台は単なる時計だけではなくて、鐘と連動していて定期的に一定の時刻を迎えると自動で鐘を衝いて音を鳴らす仕組みになっている。というのも初期は鐘しかなかったこの建物で、鐘を鳴らす時間が一定化していなかったので当時開拓使副長官だった黒田清隆が、鐘を鳴らす時間を正確にしたかった為にこの機械を導入する事に決めたのである。
振り子付きの時計 動画
「時打重錘振り子式四面時計」の時計盤の裏側には、このような構造となっていて、これには電力などは一切使われていない。それでも時刻を正確に刻んで、かつ製造されてから100年以上経っても未だに動いている代物。ただそれだけ長く動いている陰には、この時計を定期的に綺麗に管理している人のおかげでもあるのだが。
そんな機械の裏ではこのように時計盤が、機械化されて動いている仕組みを直接見れるようになっている。時計盤裏の仕組みなんて普段はなかなか見る事が出来る機会がないので、ここ札幌時計台では貴重なものが見られるようになっていた。
そしてそんな電力を使わない時計台が何故動いているかというと、さっきの振り子・・・ではなくて、このような大きな重りが重力によって下がっていく力を利用しているのである。
昔の人は頭いいね~!
こちらは「時計台の仕組み」が分かり易く図解されているもの。吊り下げられた重りがどんどん下に下がっていく毎に、時計盤後ろの機械に力が発生し、それで振り子を一定の動きで動かして時を刻み、そして一定の時間が訪れると鐘を鳴らすようになっている。
なお1つだけ問題があるのだが、それは動力に使っている重りは人手でまた上にあげないといけない事。なので電力などは使わない時計台も、人力はいつまで経っても必要になるという事。時計を刻む用の重りは約50kgで、鐘を鳴らす用は約150kgもある。その重りを巻き上げる為に使うのがこちらのハンドルで、50~150回程回して重りを週に2回引き上げる作業が未だに必要なんだって。そんな一手間が掛かる作業の時計台なので、今では自動で重りを引き上げる装置が使われている所が多いけど、ここ札幌時計台は昔ながらのやり方がいまだに使われているという。
そんな時計塔も一時は埃を被って動いていない時期があったそうだ。しかし札幌の時計塔を愛する時計職人達の努力で、昔の時計は復活して未だに時を刻み続けている。
この札幌時計台は国内で稼働している”日本最古の時計塔”として、歴史と共に国の重要文化財に指定されてもいる。昔は鐘の音色が近所に響いていたが、今では大きなビル群に囲まれてしまっているので、そんな鐘の音色は近くでしか聞こえないという。
今の時代ではすぐに使い捨てになるような電化製品が増えているけど、昔の時計装置は摩耗する歯車部分を取り換えれば充分に動くシステムになっている。時計台の内側にはなかなか入る機会がないけど、ロンドンの有名な時計塔のビッグ・ベンも、裏ではこのような歯車で正確に時を刻んでいる。
こちらの両脇に見えている柱は、この時計塔で使われている重りが落とされる木枠である。右には時計を刻む重り:約50kg、左は鐘を鳴らす重り:約150kgが中に入れられている。こういうアナログな設備を見ると、今のハイテクが進んでしまった社会も停電などで電気が使えなくなってしまうと脆いので、まだまだ生き残っていく設備であると感じる。
そんな日本国内でも貴重な時計塔の設備を見れる、歴史的な博物館でもある札幌時計塔。ただこの時は開館後直ぐに訪れた事もあって、全然観光客の姿は見かけられなかった。札幌市民からすると「時計台は見る物であって、入る物ではない」という認識の場所だという。。
札幌区役所の展望台にて
さて札幌時計台を後にして向かうのは、札幌市内の景色を一望できる展望台である。なお札幌と言えば「さっぽろテレビ塔」というタワーが昔から人気の展望台となっている。そして最近では札幌駅横に出来たJRタワーの上に造られた「JRタワー展望室 タワー・スリーエイト」も、高さ160mからの景色を見る事が出来るので新しい展望スポットとなっている。しかしそれぞれの展望台に入場するには料金が発生するので、意外と展望台としては穴場な「札幌市役所」へと向かう。
こちらはそんな札幌市役所のロビー。全国にある市役所でも県庁所在地の大きな都市に造られている市役所では、建物の上が展望台として開放されている所も多くて、無料でかつ観光客が少ないので穴場な展望スポットでもある。ただ市役所というと”役所仕事”にいつもイライラさせられるというように、あまりいいイメージを抱かない場所なので、余計に展望台に訪れる人が少ないのかもしれない。
確かに札幌市役所の展望台には、行かないよね~!
こちらは札幌市役所の19階に造られている「札幌市役所 展望回廊」。高さは約85m程の建物の屋上に造られている展望台なので、さっきの「さっぽろテレビ塔」や「JRタワー展望室 タワー・スリーエイト」に比べるとやや低いが、それでもこの展望台は無料だからありがたい!
写真中央に見えるのが、高さ160m程ある頭一つ飛び出た感じの「JRタワー」である。札幌駅を中心に再開発された複合施設の代表的なビルとして、その高さと共に札幌市内の象徴ともなりつつある建物。ただ札幌駅自体はあまり高さが無いので、札幌駅を目指す時には横に造られているこのJRタワーが目印になっていいかもしれない。
そして「さっぽろテレビ塔」や「JRタワー展望室 タワー・スリーエイト」の展望台からは見る事が出来なくて、この札幌市役所の展望台でしか見れないものは、こちらの「札幌時計台の屋根」である。このように上から見下ろすと、まるで札幌時計台が模型のように小さくも見えてしまう。今では四方を大きなビルに囲まれてしまっているので、そんな時計台の建物はこの札幌市役所でしか見れなくなってしまっているのだ。
こちらは札幌市役所から、札幌駅のある北側を眺めた景色。北海道で最も栄える札幌市内の中心部だけあって、このように大きなビル群が立ち並んでいる。そのような景色を見ると左に小さく見える札幌時計台が、ちょっと不自然にも見えてしまう。その為に札幌時計台を郊外に移転する案もあったが、反対の声が出て今まで通りこの札幌市内中心部に置かれているという。
今回は札幌市内を始めて訪れたのであるが、やっぱり目を引いたのがその規則正しく碁盤の目のように区画整理されている街並みだった。そして特に珍しく思ったのが「札幌市〇〇町」という地名ではなくて、「南3条西11丁目(札幌市役所)」という通りの番号が記された地名となっていた事である。だから「南〇西〇」という地名ばかりの札幌市内なので、逆に本州に住んでいる人間からすると別世界に来たような感覚を受ける場所でもある。
そうね~確かにそれは札幌アルアルかもしれないね~!
そしてこの市役所展望台からは「さっぽろテレビ塔」が近くにあるので、その全景がよく見える。展望台の高さは、ここと同じくらいの約90mとなっているさっぽろテレビ塔。さっぽろテレビ塔の展望台に入ると札幌市内の景色は見えるが、さっぽろテレビ塔は見えない。しかしこの市役所展望台は札幌市内の景色も見えるし、更にはさっぽろテレビ塔の全景まで見えるのである。
しかも無料である!!
札幌市は全国でも第4位の人口を誇る大都市で、しかも北海道内の人口でも約3~4割を占めている。雪深いイメージのある北海道だけど都市化した札幌の街では、年々ヒートアイランド現象の傾向が高まっている。その為に近年では最低気温がどんどんと上がって来ており、今では冬の代名詞でもある”さっぽろ雪まつり”の雪が近くで採れずに、遠くから取り寄せないといけないハメになっている。
もう札幌には昔の面影は残ってないよ・・・
ただこの札幌市役所展望台はこのように屋上の屋根がないので、温かい時期は直接外気と触れ合えて気持ちいい場所となっているが、雪が降る時期はここにも雪が積もるので閉鎖されてしまうのである。だからここも屋根を付けておけば、年中使える展望台となっていたかもしれない。。
札幌市内の景色を見下ろす 動画
こちら南東側の先には、小さく札幌ドームも見えている。こちらにはさっぽろ羊ヶ丘がある場所で、その部分はビルなどが無い景色が見られる。
そんな札幌市役所ではこのように売店などもあって、ゆっくりする事も出来る。地元の人達からするとゆっくりしたいような場所ではないかもしれないけど、観光でやって来た人にはちょっとひと休憩出来る屋内の場所となっている。
意外といい展望台だね~、今度行ってみようっと!
このさっぽろテレビ塔も昔は充分高かった建物であるが、今となっては周囲には大きな建物が乱立しているので、あまり目立たなくなってしまっている。なので新しい高層テレビ塔の建て替え話があったが、それも最後には運営会社職員の横領事件が発覚して、立ち消えになってしまった。なので当分はこの札幌市内で”古き良き時代に建てられたテレビ塔”として、今後も見る事ができるようだ。
こんな旅はまた次回に続きます!
よければ下記ブログ村のボタンをポチッとお願いします!
↓↓↓↓北海道札幌旅行記:初回↓↓