北海道庁と共に明治時代に建てられた、クラーク像が鎮座する札幌時計台

北海道/札幌旅

 旅行期間:2020年9月1日~4日

 

明治時代に拓かれた札幌

札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)を進む

さて札幌旅の3日目が始まります。今日は今回の旅をアテンドしてくれる札幌市民のメグちゃんとは昼から合流予定で、午前中は別行動に。という事で札幌市内をちょっと散策してから、昔から巨人軍の試合が行われている札幌の外れにある円山球場へと訪れる事にした。

 

なお、こちらは札幌駅の南側からススキノ方面の地下に造られている「札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)」という近未来感溢れる地下道。この通称「チカホ」は2011年に地下鉄「さっぽろ駅」~~「すすきの駅」を結ぶ、全長約2kmという日本で最も直線距離の長い地下道。雪が多い北海道では天候に左右されなくて、地上を歩くと道路の信号待ちなどに邪魔されて快適に歩けないのを解消してくれる、とても便利な地下道。

メグちゃん
メグちゃん

この地下道が出来て、札幌市内の地下鉄ライフがとっても便利になったのよ~!

 

 

札幌市内を散策

北海道庁の前にて

そんな快適な地下道を進んでやって来たのは、札幌市内の中心部にある「北海道庁旧本庁舎」。地元民からは通称「赤れんが庁舎」とも呼ばれるこの北海道庁:旧本庁舎は、明治時代になって未開拓の土地であった北海道を開拓する為に送り込まれた”開拓使”が北海道の行政の集約地としていた場所である。なお今ではそんな機能は新しい北海道庁へ移っており、今では市民や観光客に愛される歴史的建物となっている。

 

 

北海道庁前の正門

今では明治時代に造られた赤レンガの歴史的な建物であり、札幌市民にとって愛着のある建物は今では”国の重要文化財”として保管されている。なおこの庭には自由に立ち入りできるがこれは日中だけで、夜はこの門が閉められるのでこの庭を訪れたい人は日の昇っているうちに来る必要がある。

 

北海道庁旧本庁舎にて

北海道庁の正面

この北海道庁旧本庁舎の中庭は、このように植木などが非常に手入れが行き届いている。北海道内でもこれ程に重厚な明治期の建造物はそう無いらしく、観光客が多くやって来る場所となっているようだ。そんな北海道庁旧本庁舎内は元々2019年から内部リニューアル工事の予定だったが、オリンピックが2020年に開催される予定に合わせて、そのリニューアル工事をSTOPして内部の見学を続けていた。

 

というのも2020年に行われるハズだった東京オリンピックは、夏に開催されるのでそんな真夏時期のマラソン環境が選手の健康に対して危惧されていた。それに対しての策が「マラソンだけは比較的涼しい北海道の札幌で行う!」だった。なので改修工事に入る予定だった北海道庁旧本庁舎だけど、2020年夏にオリンピックのマラソンが札幌で行われる事になったので、それに合わせてリニューアル工事を遅らす事にした。しかし実際に2020年の夏を迎える頃には、全世界に拡大した新型コロナウイルス感染の影響で、そのオリンピックは1年延期されてしまった。。

だからこの訪問時は、見学できる状態だったんですな。。

忙しいクマ
忙しいクマ

人間も新型コロナウイルスの前では弱かったな・・・

 

北海道庁の正面1

こちらの北海道庁旧本庁舎は1888年に造られたものであるが、1909年に実は火災にあって屋根や内部などは焼失してしまっている。ただそんな火事でも外壁の250万個とも言われる赤レンガは無事に残っており、その建物の煉瓦は再利用された。そして1911年に復元工事が行われたが、元々はアメリカ風のネオ・バロックスタイルで設計されていた建物が、ドイツ風ゴシックスタイルに生まれ変わった。なお、この建物最初のアメリカ風のネオ・バロックスタイルは、当時の建造物は主だった外国人技師によって設計されたものではなくて、海外に留学経験のある日本人技師によって設計されたものである。

 

北海道庁の建物

そしてその火事の後は西洋風の屋根が無い時代もあったが、今見られる屋根は1968年の復元工事によって昔の姿を再現されたものである。その翌年1969年にこの建物は、国の重要文化財として指定されるのである。そんな再現された開拓使当時の屋根の正面には、開拓使のシンボルだった「北極星マーク」が入れられているのが見える。

 

北海道庁の周囲の景色

北海道庁旧本庁舎はこのように札幌市内でも中心部にある為、周りは高層ビル群に囲まれている。しかし同じような年代に造られた札幌時計台と比べると、周りにこのような広い中庭があるので、あまり建物が圧迫されておらず大きく見えているのでもある。

 

北海道庁の説明板

このように年代に応じて形を変えてきた北海道庁旧本庁舎。古い建物の宿命でもある火災による焼失で屋根を失ってしまったが、今では昔以上に立派な屋根を兼ね備える建物となっている。

 

 

北海道庁敷地内の池

そしてこの広大な中庭には、植木だけではなくてこのように池なども造られている。最近は夏場も結構暑くなってきている北海道だけど、このような池があるから夏場は涼しく感じれる場所ともなっており、札幌市民の憩いの場にもなっている北海道庁旧本庁舎であった。

 

北海道庁の正門から出る

ただ北海道庁旧本庁舎の中を見学しようと思っていたが、午前9時開館だったけどその5~10分前から開くかと思ったら開かずに、時間ちょうどにしか開きそうになかったので次の目的地に向かう事にした。

あと5分だけ待てば見学できそうだったけど、タイミングが悪いような感じがして・・・

メグちゃん
メグちゃん

結構イラチなの??

忙しいクマ
忙しいクマ

短気は損気やで!!

 

北海道庁前の延びる大通り

この北海道庁旧本庁舎内には開拓使当時の資料などが展示されていて、しかも無料で見学できるので見学する価値は大いにあった。しかし今日は札幌市内の外れにある、円山球場まで行くつもりにしていたのであまりゆっくりとする時間は無かったので飛ばす事にした。

 

次は札幌時計台にて

札幌時計台に到着

そんな5分も待つ事を我慢出来ずに向かったのは、こちらも明治時代に札幌市内に建てられた、観光客に人気の「札幌時計台」である。この札幌時計台が札幌に建てられたのは1878年と、さっきの北海道庁旧本庁舎よりも約10年程古い。しかし現在の建物の景観はこのように周りに続々と建てられたビル群の影響によって、高さ約20mの建物は残念ながら存在感があまり無くなってしまっているのである。。

 

重要文化財【札幌時計台】

 

住所:北海道札幌市中央区北1条西2丁目
営業時間:8時45分~17時10分(年始のみ休館日)
電話番号:011-231-0838
入館料: 大人200円(高校生以下無料)

 

 

 

札幌時計台の正面

2日連続で夜に前を通ったが、夜は札幌時計台の建物がライトアップされていて目立っていたが、日中はそんなライトアップがされていないので、うっかりすると見逃してしまいそうになる時計台であった。

メグちゃん
メグちゃん

たまにここ通ると、気付かずに通り過ぎる時もあるもんね~!

 

札幌時計台の1階部分

札幌時計台の入館料は200円と安く、観光客がよく来る場所にしては意外と安く感じる。しかし実際に訪ねてみると、そこまで色んな物が置いてあったり、内部からはそんな感激するような物がなかったりと感じる場所かもしれない。そんな札幌時計台の1階部分は、開拓使によって開拓された北海道の歴史が展示されている場所となっている。

 

 

札幌時計台の1階部分にあった窓

この札幌時計台というのは実は愛称であって、元々は「旧札幌農学校演武場」という北海道大学前身の旧札幌農学校の、訓練用の場所だった建物である。今ではすっかり時計のイメージが定着している時計台だけど、元々は旧札幌農学校の生徒達を鍛える建物として造られたものである。

 

札幌時計台の1階部分にあった、北海道歴史の展示

「旧札幌農学校演武場」として1878年に建てられた建物は、そんな風に使われていた時代があったとは思えないような印象の、今では時計台という物に生まれて変わっている。そしてこちら1階部分には北海道が開拓された明治時代に関する資料が、所狭しと並べられている。

 

札幌時計台の1階部分にあった、北海道歴史の展示1

そしてクラーク博士が初代校長先生を勤めた旧札幌農学校の卒業生でも、一番有名なのがこの「新渡戸稲造」である。旧札幌農学校に第二期生として入学した新渡戸稲造であるが、あの有名なクラーク博士は1年契約で来日してその授業を受けたのは第一期生のみだったので、新渡戸稲造自身はクラーク博士との関りは実は無い。そして新渡戸稲造が有名なのはその著書『武士道』(Bushido)が世界的なベストセラーになった事よりも、1984~2007年まで発行されていた五千円札の肖像画に採用された人物だったからではなかろうか。

 

メグちゃん
メグちゃん

確かに5000円札以外に、どういう人物だったかは全然知らないね~!

 

札幌時計台の1階部分にあった、北海道歴史の展示2

新渡戸稲造は旧札幌農学校一期生で後の”北海道帝国大初代総長”となる佐藤昌介とは、同じ盛岡の同郷だった事もあり彼に誘われて旧札幌農学校に入学する事になる。そしてその後は今の東京大学である帝国大学へ入学するが、そのレベルの低さにガッカリして農業先進国であるアメリカに渡米する。そしてジョンズ・ホプキンス大学やドイツの大学へ行き、農業経済学の博士号を取得するのである。

 

札幌時計台の1階部分にあった、北海道歴史の展示3

こちらの壁にはボロボロになった星が展示されている。北海道で昔から象徴的だった、この”北極星マーク”は開拓使のシンボルとして使われていたので、昔ながらの建物などでは未だに目にする事が出来る。なお、この時計台の建物にはこの星マークが合計17個も付いているという。

 

札幌時計台の2階へ進む

この札幌時計台は高さ約20mの2階建ての建物なので、1階部分を簡単に見学した後は2階へと進む。

 

札幌時計台の2階へ進む1

この建物は1878年に元々建てられた歴史ある建造物であるが、その後に何回かリニューアルされているので、このように僅か2階の建物ながらエレベーターも設置されている。

 

 

時計台の2階「時計台ホール」にて

札幌時計台の2階

2階に登ってみると1階部分の歴史展示コーナーみたいな、ごちゃごちゃした感じではなくて、このようにすっきりとした教会の内部のようなホール造りとなっていた。こちらのホールは今では結婚式などにも使う事が出来るようで、営利目的でなければ6,000円から貸し切りも出来る場所だという。(約200㎡、定員150名)

 

札幌時計台の2階にあった文字

こちらの「演武場」と書かれている書は、岩倉具視が書いた物のレプリカである(本物は先程の北海道庁旧本庁舎に保管されているそうだ)。岩倉具視というと明治維新に貢献した公家の人物であるが、”岩倉使節団”として木戸孝允大久保利通伊藤博文などとヨーロッパ視察に行った事で有名な人物である。

 

札幌時計台の2階に鎮座するクラーク像

そして昔はこの2階部分が歴史ホールとして展示物などが置かれていたけど、その後は全館が歴史ホールとなっている。そしてそんな2階のホールの端っこには、このホールをベンチに座って眺めている像が見える。

 

札幌時計台の2階に鎮座するクラーク像1

こちらのベンチに座っている像は、札幌ではお馴染みの 「ウィリアム・スミス・クラーク(William Smith Clark)」氏、通称:クラーク博士である。元々はこの札幌時計台には存在していなかったクラーク博士の像であるが、今ではこの時計塔を管理している「エムエムエスマンション・マネージメントサービス」という会社が2017年10月に寄贈した、まだ新しいクラーク像である。

メグちゃん
メグちゃん

へ~~こんな所にもクラークさんの像が出来たんだね~!

 

札幌時計台の2階に鎮座するクラーク像2

このクラーク博士の像は銅像ではなくて、エポキシ樹脂製という比較的軽い素材で作られているという。ほぼ実物大に造られており、身長は約180センチ程の大きさとなっている。この時計台も外側から見るとその風貌が歴史を感じさせるけど、意外と建物の中に入ってしまうとそんな歴史感が感じられなくて、イマイチ歴史的な建造物としてパンチに欠ける建物。そんな少々味気ない観光名所の2階に、すっかり札幌名物ともなってしまったクラーク博士の像を設置したのである。

 

札幌時計台の2階に鎮座するクラーク像3

ただ旧札幌農学校:演武場として造られたこの建物は、クラーク博士がアメリカに帰国した後に造られたもので、実はクラーク博士にとってはあまり縁が無い建物でもある。だから旧札幌農学校繋がりというだけでこのクラーク像が置かれているけど、今までこの時計台を訪れて物足りない想いをしてきた観光客に比べると、2017年10月以降に来た観光客はクラーク博士像の写真を新たに撮れるスポットという認識になって、以前よりは少々満足度が高くなっているようだ。

 

札幌時計台で使われていた時計の針

こちらにはここで実際に1881~1976年まで使われていた、アメリカ産の「時計の針」が展示されている。元々この札幌時計台には当初時計盤が設置されていなかったが、ここにやって来た開拓使副長官:黒田清隆の発案で時計盤が設置される事になる。それまでは大きな鐘が設置されていて、定期的に音を鳴らす建物という印象だったようだ。

 

 

札幌時計台で使われていた時計の針1

そしてそんな時計台が設置されるに伴って導入されたのが、アメリカのハワード社製の機械式塔時計である。なおこちらは今も使われている機械式塔時計と同時代に造られた時計だそうだ。だから今札幌時計台で現役として動いている時計とは、全く同じではないけど兄弟分にあたる時計である。

 

札幌時計台で使われていた時計の針2

この時計台の凄さは約100年以上も前に造られた時計が、電力を使わずに今でも現役で動いているという所。だから数年前に北海道で発生した大地震によって大規模な停電となった時も、この時計はちゃんと動いていたという。ただし地震の影響によって、この振り子に余計な力が伝わって、正確な時間からはズレてしまったそうだが。。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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【札幌旅行記①】クラーク博士の記念碑がある旧島松駅逓所からスタート
2020年9月に訪れた、北海道は札幌メインの旅行。久しぶりに到着した新千歳空港で旅友の出迎えを受けて、まずはクラーク博士の記念碑を見学しに行きます!
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