札幌の開拓使が造った高級ホテル「豊平館」は、今ではレンタルスペースに

北海道/札幌旅行記
 旅行期間:2020年9月1日~4日

天皇の北の宿

札幌市中央区中島公園内を進む

さて札幌市内の西側にある大倉山のジャンプ台を訪れた後は、札幌市内中心部の南側に位置する「中島公園」という緑が広がっている公園エリアにやって来ました。現地ガイドのメグちゃん曰く「明治時代に高級ホテルとして建てられた、歴史的な建物がある」との事でやって来た場所。

 

札幌市内の中島公園にて

札幌市中島公園内にあるコンサートホール

そんな中島公園は札幌市内を流れる豊平川に沿った形で形成されている。元々は豊平川から放流されてきた木をここまで運んで、ここにある池で保管していたのが中島公園としての始まりのようだ。なおこちらの大きな建物は1997年に建てられた、北海道内では初の音楽専用ホール「札幌コンサートホールKitara」という建物。

 

 

札幌市中島公園内にある天文台

こちらの丘の上に見えている建物は「札幌市天文台」で、1958年に開館したそこそこな年代物の建物。中には大きな望遠鏡を備えており、ペガサス座やアンドロメダ座などを時によっては見る事が出来るそうだ。

メグちゃん
メグちゃん

小学生の課外学習ではよく来る場所よね~!

 

札幌市の中島公園内を進む

こちらの池は「菖蒲池」で昔豊平川に放流された木々が保管されていた池。昔は冬場になるとスケートリンクと化していたそうだが、今ではそれは廃止されており、代わりに池ではレンタルボートで遊べるようになっている場所。これ以外にも日本庭園があったりして、ススキノに近い場所ながら札幌市民のオアシス的な場所となっている中島公園。

 

 

歴史的建造物「豊平館」にて

札幌市の中島公園内にある「豊平館」

そしてこちらの白い壁に薄いブルーで木枠部分が塗られている、洋風の建物が見えてくる。まず本州では見かけないような思いっ切り洋風な建築物だけど、こちらが目的の「豊平館(ほうへいかん)」という明治時代に造られた木造建築物の建物。

 

国の重要文化財【豊平館】

住所:北海道札幌市中央区中島公園1−17
開館時間: 9時~17時(入館は16時30分まで)
毎月第2火曜日休館日(祝休日の場合は直後の平日)、及び年末年始
入館料:高校生以上300円 中学生以下無料
電話番号:011-211-1951
※別途レンタルスペース貸付あり(1H~)

 

 

札幌市の中島公園内にある「豊平館」1

こちらの建物は明治時代に入って北海道の地を開拓する為に送り込まれた開拓使が、まだまだ宿泊施設が少ないという事で1880年に完成したアメリカ式の建築様式が取り入れられた建物。明治時代に入ってすぐに造られた建物だが、北海道に送られた開拓使で重要な西洋文明を取り入れるという基本方針に乗っとり、このような洋風建築様式となった。

 

札幌市の中島公園内にある「豊平館」2

元々は高級ホテルとして造られた建物であったが、建物が完成した翌年に北海道に行幸してきた明治天皇が泊まって、ここの最初のお客となった。その時に2階に明治天皇は3連泊したが、その後は「明治天皇がお泊りになった2階に一般人を泊める訳にはいかない・・・」という事になって、ホテルとしては1階の部屋のみ提供していたという。しかし料金もそこそこに高くて、かつ肝心の部屋数が少ない為にホテルとしては運営が成り立たず、明治天皇が泊まってから約2ヶ月後には民間に無償貸し付けられて、旅館と西洋式料理店が営業される事になったという。

 

札幌市の中島公園内にある「豊平館」の受付

ただこの「豊平館」は明治天皇が泊まった場所として格式が高かったので、のちに大正天皇や昭和天皇も泊まった事のある天皇家ゆかりの建物となる。しかし豊平館はその後、公民館として使われたり、陸軍の占有地になったり、進駐軍が三越の支店を占有した為に代替えとしてこの豊平館で三越が営業していた事もあるという。

メグちゃん
メグちゃん

まあ、何だかんだと色んな人に長く使ってもらえた訳ね!

 

「豊平館」の館内にて

中島公園内にある「豊平館」の入口

それからも色んな紆余曲折を経て、今ではこの中島公園内でレンタルスペース(貸し部屋)としても営業している「豊平館」。そんな3代に渡って天皇陛下が泊まった建物での貸し部屋は、安い部屋だと1時間500円というお値打ちな部屋代で貸切る事が出来るという。

 

 

中島公園内にある「豊平館」の入口フロア

ここは受付で入場料300円を支払って、建物内に入ったロビーである。建物内部も完璧な洋風の内装となっていて、明治初期に建てられた後に何回か補修工事が行われているけど、基本的には大きく内装は変わっていないそうだ。北海道には明治時代に建てられた煉瓦造りの建物が多く今でも現存しているけど、この豊平館は木造建築物である。なお北海道内での洋風木造建築物としては、この豊平館が最も古いとされている。

メグちゃん
メグちゃん

何回も取壊しが考えられたけど、何とか保存される道が選ばれたみたいよ~!

 

中島公園内にある「豊平館」のロビーにある時計

ロビーに置かれていた、こちらの古そうな置時計は日にちまでも表示できるようになっているみたい。こちらは昭和2年(1927年)に真横に新公会堂が出来た際に市民から贈られたドイツ製の時計だそうだ。なお入場したのは16時と遅めだったので、他に訪れている人影はほとんど見当たらなかった。札幌に住んでいる人からしたら、昔からあって当然の建物なのでそこまで興味がないのだろう。

 

中島公園内にある「豊平館」のロビーにある階段

このベルベットが敷き詰められて金具で留められている階段は、明治時代に建設された当時の様子を再現したものだという。徳川幕府になってから約260年間の間に鎖国が行われて、西洋文化があまり入って来てなくて独自の文化を築いた日本だったけど、その門戸を開けて10数年後にはこのような完全な西洋式をコピーして取り入れる国に生まれ変わっていたのである。

 

 

中島公園内にある「豊平館」のロビーにあるシャンデリア

そして照明は勿論シャンデリアである。この豊平館にある8組のシャンデリアは、4組が建設当初から使われているもので、残り4組も近年の改修時に修理されて使われているもの。どうりで元々は金色だった感じのシャンデリアだけど、部分的には黒くなっているのが見える。なおこの館内で使われていた照明はロウソクではなくて、ロウソク型ガス灯が使われていたという。大正11年(1922年)にのちの昭和天皇が行幸した時に、この照明が電灯に変えられたという。ただし使われているシャンデリアはガス灯時代の物なので、よ~~く見るとガスのコックが付いているという。

 

中島公園内にある「豊平館」のロビーにあるシャンデリアの根元部分

この2020年の3月にロシアに行った際のサンクトペテルブルグにあるエカテリーナ宮殿を見学した時にも見た、シャンデリアの天井部分に漆喰で模様を表現した形が残されている。こんなシャンデリアを吊るしている天井にもこだわるのが、ヨーロッパ貴族だったのだろう。

 

「百合」の部屋にて

中島公園内にある「豊平館」のロビーに百合の間

ロビーを入って左側に曲がった所の北側にあるのが、こちらの「百合」の部屋である。なおレンタルスペースとしては、定員10名広さ25㎡で1時間500円というお値打ちなスペース。ここはちなみに17時~22時までの夜間に貸し出す部屋となっている。また部屋によっては9時~22時の終日貸し出せる部屋もあるが、開館中の使用は別途入館料が必要になるという。

メグちゃん
メグちゃん

意外と安いのね~、今度1回借りてプチセレブ演じようかしら?!

 

「豊平館」の百合の間にあるシャンデリア

こちらの照明は先程みたいなヨーロッパ風のシャンデリアではなくて、部屋の名前の「百合」のような照明が取り付けられている。全部同じような内装ではなくて、それぞれに変化を付けて内装なども微妙に変えているようだ。

 

「豊平館」の百合の間にあるテーブル

貸しスペースとして部屋をレンタルすると、こんな豪華な部屋で社外会議をする事とかも出来る。そしてケータリングサービスも出来るので、社外会議後に軽く食事会といった親睦会などを行うにはいい場所かもしれない。会議が多い会社とかでは、会議を重ねる為にマンネリ化してくるので、たまにはこういった場所で気分を変えて挑むと記憶にも残り易くていいのではなかろうか。

 

「豊平館」の百合の間にあるテーブル1

なお豊平館では2階部分は天皇陛下が泊まった部屋などがあって、椅子や家具などに触れない部屋もあるけど、1階スペースは貸し部屋にもなっているので、このようにちょっと座って少々寛ぐ事も出来る(他のお客さんに邪魔にならないように・・)。

メグちゃん
メグちゃん

似合う?!(笑)

 

「豊平館」の百合の間にある椅子

椅子にはこのように「この席は使用しないでください!」と張られていたので、テッキリ全ての椅子やテーブルに触れてはいけない物だと勘違いしていた。これはあくまでもコロナ禍の影響で、隣り合って座らないようにという注意の張り紙であった。

 

 

「豊平館」の百合の間にあるカーテン

このカーテンは当時使われていたという、明治時代になってフランスに修行しに行った日本の職人達が持って帰った西洋の織機を使って量産化に成功した、西陣織りの生地が使われているという。西陣織については500年程前から盛んになり、江戸時代前半には最盛期を迎えたが、その後に京都で大火事が発生してその際に西陣織の職人達が離散してしまい、西陣織りの文化は廃れてしまう。それが明治時代に入って、西洋の助けを借りて復興し、更に進化していくのであった。

 

「豊平館」の百合の間で見られる映像

そして百合の部屋の奥には「豊平館と多様な文化」という映像コーナーが用意されていた。特にこの時点では豊平館に対して、そこまで興味を持っていなかったので、とりあえずこの動画を眺める事にする。

 

「豊平館」の百合の間で見られる映像1

先述したように豊平館は戦争の影響も受けて姿をどんどん変えていき、1956年には建築から70年以上が経過していたので、取り壊して新しくその場所に市民会館を建設する案に固まった。しかし市民の歴史的な建造物を残したいという声が届き、取壊しにはならなかったものの、元々この建物があった札幌時計台とさっぽろテレビ塔の間位(今の市民ホールがある場所)から、この中島公園に移築される事になる。

 

「豊平館」の百合の間で見られる映像2

こちらの「時計台の鐘が鳴る・・・・」という歌詞は、作詞/作曲:高階哲夫というバイオリニストが1927年のコンサートで思いついた『時計台の鐘』という名前の歌である。時計台に絡んだ歌詞で札幌市民にとっては、お馴染みの曲だという。

メグちゃん
メグちゃん

てっきりこの歌全国でも有名かと思っていたけど、札幌ローカルだったのね~!

 

「葡萄」の部屋にて

「豊平館」の葡萄の部屋

お次の部屋は同じく1階にある「葡萄」という、他は植物ばかりの名前だけど、ここだけはフルーツにも取れる名前が付けられていた。ただ厳密にはこの「葡萄」はブドウ科の植物であり、その植物から採れる実を食べているので、これもれっきとした植物の名前である。

 

「豊平館」の一部屋

この部屋は先程の百合の部屋に比べると少し広くなっており、重役用の会議に向いていそうな重厚な椅子が置かれている。なおこの「葡萄」の部屋は、レンタルスペースとしては定員10名広さ36㎡で1時間720円となっていて、百合の部屋に比べると広くてもあまり高くないので、プチセレブ生活にはいいかもしれない。

メグちゃん
メグちゃん

アッチ1時間、コッチ1時間でもいいね~!

 

「豊平館」の一部屋の壁

何も壁に飾っていない部屋よりも、このように絵が1枚飾られているだけで、部屋の雰囲気が柔らかく感じるような気がする。絵を見るだけで勝手にその風景のイメージが脳内に想像されるので、特に落ち着けるような雰囲気の景色などが描かれている絵程に、その飾られている場所は和むのであろう。

 

「豊平館」の一部屋の景色

こんな部屋が1時間720円で借りれるとなると、1~2時間の利用だけでも使えるので、読書好きな人が敢えてここで読書してみるとかも面白いかもしれない。ボクの場合は読書しているとドンドンと眠たくなってくるけど、ここだったら読書しても眠たくならないだろう。

忙しいクマ
忙しいクマ

いや~~多分起こす奴おらんから、すぐ寝てしまうで~!

 

 

「豊平館」の一部屋の景色1

そんな訳で目を離したスキに椅子にもたれこむメグちゃん。さっきの映像コーナーでは、めちゃくちゃ眠たかったそうだ。

メグちゃん
メグちゃん

ちょっとだけ、寝かせて・・・Zzz

「芙蓉」の部屋にて

「豊平館」の芙蓉の部屋

続いて同じく1階にある「芙蓉」の部屋。レンタルスペースとしては定員10名広さ25㎡で1時間500円と「百合」の部屋と同じ広さと値段設定になっている。

 

「豊平館」の芙蓉の部屋1

部屋の名前に「芙蓉」とある通り、シャンデリアが芙蓉の花っぽい形をしているのが見える。建物が完成してから約140年が経過しても、いまだこのように人々に愛される「豊平館」の見学はまだまだ続きます!

 

こんな旅はまた次回に続きます!

よければ下記ブログ村のボタンをポチッとお願いします!

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 旅行ブログ 国内旅行へ

↓↓↓↓北海道札幌旅行記:初回↓↓

【札幌旅行記①】クラーク博士の記念碑がある旧島松駅逓所からスタート
2020年9月に訪れた、北海道は札幌メインの旅行。久しぶりに到着した新千歳空港で旅友の出迎えを受けて、まずはクラーク博士の記念碑を見学しに行きます!
タイトルとURLをコピーしました