北海道/札幌旅行記
旅行期間:2020年9月1日~4日
全自動の機械化されている最新の工場
さて札幌にある「白い恋人」というお菓子で有名な石屋製菓、その一大拠点でもある宮の沢にある「白い恋人パーク」。そんな工場でテーマパークでもある場所で、『プレミアムファクトリーコース』というプロジェクションマッピング映像を楽しめて、かつ【チョコトピアファクトリー】と名付けられている製造工場の見学できるコースを選んで体験中です。
白い恋人パークにて
『プレミアムファクトリーコース』は1500円のお値段で、【チョコトピアファクトリー】という工場見学のお値段は600円。だからさっき見たプロジェクションマッピング映像とその後にあった、芸術品とも言えるカップが展示されている博物館の値段は実質900円。プロジェクションマッピング映像も制作にはそれなりに費用が掛かっているので、一般的にはいい値段がするのである。
【チョコトピアファクトリー】の見学
そして階段を登ると、ここから【チョコトピアファクトリー】という石屋製菓の心臓である製造ラインが見られる場所にやってきた。この「白い恋人パーク」は一大テーマパークのように華やかな雰囲気で、異国情緒漂う場所になっているが、その中でも一番重要なのは製造ラインである。売れる商品が無ければこういった商売も成り立たない。だからそんな商品を作る場所は製造メーカーにとっては一番大事なのである。
ただテーマパーク化された白い恋人パークでは、単に製造ラインだけを見る工場見学ゾーンではなくて、壁にはここの社員さん達の心が表れているかのような展示がされている。まずはチョコレートの元にもなっているカカオの実から、それがチョコレートとなるまでがこのように具現化されて展示しているのが見える。
チョコレートというものはカカオの実から造られるものであるが、今のような固形物で甘いチョコレートとして食べられる事になった歴史というのは、まだここ約150年程前からの事である。15世紀に南米を支配したスペイン人が通貨代わりに重宝されていたカカオに目を付けて、それを持ち帰ったのがチョコレートの原点である。しかしその際はカカオの実を磨り潰したものを水に溶かして飲んでいただけで、全然味が無くて不味くて薬のように飲みにくいものであった。
そんなカカオの実も時代を経て研究が進み、19世紀に入るとカカオの実から採れるココアパウダーとココアバターの分離に成功する。この時に分離されたのが今でも飲まれる「ココア」の始まりで、砂糖などを加えて一気に飲みやすくなったのである。そしてその後にカカオの実を磨り潰したものに使われていなかったココアバターと砂糖を加えて、固形となった”食べるチョコレート”がやっと開発される。それから更にチョコレートを食べやすくする為に、幼児用粉ミルクを加えて「ミルクチョコレート」が開発される。
さて過去に製造過程で大きな不具合を出して、店頭に並んでいた商品を全て回収するという事態にまで追い込まれた石屋製菓だけに、今ではどのような工場体制になっているかを興味を持って見てみる事にする。こういった食品工場などは基本的に最新鋭の設備などを導入していたり、企業秘密などの工程があったりでなかなか見学する事が出来ないので、一般人からすると貴重な体験である。
製造工場といっても元々今まで印刷業関係で働いてきたボクにとっては印刷工場などは多く見てきたけど、このような食品を製造する工場は基本的に立ち入った事はない。パッケージ業界でも特に医薬品と食品関係は他の業界に比べると圧倒的に品質が厳しくて、ちょっとした印刷時にどうしても出る問題も納入時には許されない方針を取っている。だからと言ってその分高くパッケージを買ってくれる訳ではないので、薬品や食品に首を突っ込み過ぎるパッケージ会社はあまり利益が無い状態となっているのが現状である。
ここの見学ルームでは主力商品の「白い恋人」と「バウムクーヘン」が製造されているけど、今日は残念ながら「バウムクーヘン」の製造はお休みで片側のみの稼働となっていた。1日最大60万枚ほども製造できる能力を持つ石屋製菓であるが、今では北広島にも工場が造られているので、ここだけでそれらが全部造られている訳ではないので注意。
白い恋人パークの製造ライン 【動画】
そんな製造ラインが見学できる通路の反対側にある壁側では、機械化された製造ラインにあまり興味を持てない子供達向けに、このような可愛らしい人形たちによるチョコレート造りのラインが設置されている。製造ラインを見たい大人と違って、機械には興味がない子供たちを喜ばせる取り組みがここでは用意されている。
ビール工場の製造ラインとかをこのような見学通路から見学した事があるけど、ビール工場はアルコールを作っている場所なのでどうしても大人の為の見学ラインになっている。しかしここ白い恋人パークでは子供達が多くやって来る場所でもあるので、色んな世代にも幅広く喜んでもらおうという姿勢がこの見学通路に見えているような気がする。
個人的にはこのように正確無比に考えられないようなスピードで、白い恋人のお菓子をシュリンクしてパッケージに詰めて梱包していく作業に見惚れてしまう。元々はパッケージメーカーで働いていた事があるだけに、やっぱりこういった工場などでも「どんな風にしてパッケージが使われているのか?!」という視点で見てしまう職業病が久々に目を覚ましてきたのである。
ただ上から製造されているラインを見ても少々遠くて、かつ処理スピードが速すぎて全然チョコレートが造られているという事があまり実感できない。お菓子製造業という企業がどんどん発展していくと、生産効率を上げてかつ品質向上を図るためには機械化の導入が必須となってくる。しかしそうなると工場見学という重要なファンサービスがおろそかになってしまうというジレンマが発生する。
ただ一般の見学客からするとそこまで真剣に製造ラインをじっくりと見たい訳ではなくて、このような感じの速さで商品が梱包されていくという流れが見られるだけでほとんどは満足なのであろう。余程じっくりこの工場ラインを見たい人は、多分ライバルメーカーや同業者だけなんだろう。
食品業界というのは商品が口に入る物なので、その商品の管理は衛生的に徹底されているのが大前提。特に食品のパッケージでは致命的なクレームである「血痕の付着」や「毛髪などの異物混入」が、一番よく発生する問題なのである。だから過去に大きな問題を起こした事のある石屋製菓では、「白い恋人」がパッケージに梱包されている工程はこの画面中央のように囲いで覆われていて、全く人手が触れれないようになっている。
白い恋人パークの製造ライン2 【動画】
そんな梱包スペースでは人間には考えられないスピードで、機械が正確に商品を梱包していく。正確な作業にも関わらず髪の毛を落としたり血が出ない機械にほぼ全ての工程を任せているのである。だからこの部分の囲いは異物混入を防ぐというよりも、人の侵入を防ぐ為の囲いになっているとも言えるのである。
生産する物の品質と生産効率を向上させる為には、逆に人間が手を触れる機会を減らして、機械にさせればいいという考えの最新鋭の工場である。ただしそういった完全に機械化されて、ただ量産的に造られているお菓子を見ていると、逆に味気が無くなってしまうようにも感じる場所であった。一応生産ラインに立って商品の流れなどを見ている人間も居るには居たけど、あまりやる事が無いからか、遠目に見ていると結構お喋りをしているようにも見えた。会社が大きくなればなる程に、色んな所から綻びが出易いので、また同じ失敗を繰り返さないようにして欲しいと願う瞬間でもあった。
1度ある事は、2度目もあり得る!
ただ主に白い恋人の大ヒットの影響で、これだけの”白い恋人御殿”が造れた訳で、そういった意味ではたった1つのお菓子と言えども侮れない存在である。そしてそんな白い恋人の更なるファンを増やそうと、このように工場を一大テーマパークのように大改造して、観光客を取り組んでいる姿勢はこれからも当分石屋製菓の成長が続きそうな予感が感じられる。
ただし石屋製菓もこの2020年に起きたコロナ禍の影響は深刻で、北海道にやって来る観光客達が主にお土産に買って帰るお菓子だけあって、予想よりも大幅に売り上げが下がってしまった。特に最近では海外からのインバウンド客もアテにしていただけに、その売上不振は想像以上だったようだ。
しかしそこはやり手の石屋製菓だけあって、ただ手をこまねいて新型コロナウイルスが落ち着くのを待っているだけではなかった。この記事にもある通り、中国やアメリカでのネット販売にも進出して、日本に来て買ってもらう事が出来ないのであれば、ネット通販で買ってもらうという戦略を打ち立てた。このようなコロナ禍でもそんなピンチを逆に活かして、このような世界に進出する機会となっている。
世界的に販売数が増えていくか、今後注目ですね~!
単なるクッキーで挟んだホワイトチョコレートのお菓子だけど、侮るなかれの品である。コロナ禍が落ち着いた後に世界的に”白い恋人禍”が起こるかもしれない。
だから人間はどんどん肥満化していくのね!
こちらの壁にはバウムクーヘンが製造される流れについて、簡単にアニメの絵で説明書きがされている。しかしここでは敢えて言語が英語メインで書かれていて、外国人観光客を意識した物のようにも見える。
「バウムクーヘン」というお菓子はヨーロッパでは伝統的なお菓子で、日本では「Baumkuchen」というドイツ語で呼ばれている事もあって、ドイツのお菓子というイメージが強い。それにはドイツの菓子職人である「カール・ユーハイム」(Karl Joseph Wilhelm Juchheim)という人物が、主に日本でバウムクーヘンを作って販売した事が大きく影響している。なお現在も日本で有数のバウムクーヘン・メーカーでもある「ユーハイム社」は、この菓子職人の名前が付けられている会社である。
バウムクーヘンは鉄芯に生地を巻き付ける為に、普通のオーブンではなくて、専用のバウムクーヘン用オーブンが必要になる。
2019年末にリトアニアに行った際には、このバウムクーヘンの原型になったと言われている”シャコティス(Šakotis)”というお菓子を実際に見た。今の日本で食べられているようなバウムクーヘンじゃなかったけど、その原型と言われている由縁が分かる食べ物だった記憶が残っている。
そんなドイツから入って来たバウムクーヘンは日本では一般的なお菓子として全国的に流通しており、その国内流通量はドイツの流通量をはるかに超えてしまっているという。日本人は敗戦後に貧しい時代を過ごした事もあってか、より甘いものを求めるようになったからかもしれない。
単なるお菓子ではなくて、今では芸術品ともなりつつあるお菓子。この工場のように大量に画一的に生み出されていくお菓子がいいのか、それとも昔ながらに伝統的な作り方で仕上げられているお菓子がいいのか。その答えは21世紀を通して明らかになっていくかもしれないし、永遠に答えが出ないのかもしれない。
お菓子の製造ラインと言いつつも肝心の生地などが造られている工程は、このように大きな機械で覆われている為に全然見えない。だから正確には製造ラインを見学するというよりも、お菓子の梱包ラインを見学すると言った方が正しい表現なのかもしれない。
そんな【チョコトピアファクトリー】の工場見学をじっくりとした後は、奥にある階段で上の階に登っていく。この上の階には【チョコトピアマーケット】という色んな体験などが出来る販売スペースとかもある場所に繋がっている。
そんな階段スペースにこのように来場者の人達を退屈させないようにという配慮がされていて、壁一面にアイスクリームやお菓子などのイラストが描かれている。ただ単に来場者を楽しませる意味というよりかは、この後に待ち受けている売店群でお土産を購入してもらう為の戦略かもしれないが。。
そんな階段の段差正面部分には、このようにポルトガルの街ではよく見かけた”アズレージョ”のタイルが張られているのが見える。日本からするとヨーロッパという大きな地方を一括りにして表現される言葉が使われているけども、その国1つ毎に異なった文化を持っている。そういう意味では特定のヨーロッパ国に焦点を当てたテーマパークではなくて、ヨーロッパ風な総合的な雰囲気イメージを創り上げていた工場である「白い恋人パーク」。
という事で主な工場見学はこれで終了して、これからは【チョコトピアマーケット】というカフェやレストランがあったり、売店などがある魅惑のゾーンへと突入していきます!
こんな旅はまた次回に続きます!
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