横浜港を大きく発展させた旧横浜船渠ドックが眠る、日本丸メモリアルパーク【神奈川旅行記㉖】

神奈川旅行記2020年秋-㉖

 旅行期間:2020年11月24日~27日(3泊4日)
(The Nippon Maru Memorial Park, where the former Yokohama Dockyard Dock, which greatly contributed to the development of the Port of Yokohama, lies. [Kanagawa Travelogue 26])

船修理が盛んだった場所

ここは横浜市でもかつて大賑わいとなっていた昔の横浜港跡地を再開発して造られた”みなとみらい地区”。幕末以降に海外諸国に開国して貿易を始めた日本には、明治時代以降に多くの荷物が運ばれてくるようになった。そして時代を経る毎に船舶が大型化していき、昔の横浜港だと大きな船を迎え入れる事が出来なくなって、次第に南側の方に新しい埠頭が建設されてこの付近は見捨てられるように使われなくなっていった。

 

 

みなとみらい地区にて

そして1980年代に”横浜市都心臨海部総合整備計画”という再開発が計画されて、それが「みなとみらい21」という名前で進められてからドンドン近代的な建造物が立ち並ぶ新都心となっていったのである。

 

 

みなとみらい21の景観! 動画

 

 

ここは大正~昭和前半までに旧横浜船渠:第1号ドックとして、数多くの船を修繕し、のちには新船まで造船していた場所。しかしそんなドックも時代と共に使われなくなっていき、1980年代に旧横浜船渠株式会社はより広い場所を求めて、もっと南側の金沢区へ移転してしまった。

 

こちらはその旧横浜船渠株式会社が第1号ドックと第2号ドックに入った海水を排水する為に設置した「ドック用排水ポンプ・カバー」である。なお、歴史的な建造物として第1号ドックと第2号ドックは国の重要文化財に今では指定されており、この排水ポンプもその付属品として合わせて重要文化財に指定されているようだ。

 

幕末から明治時代に掛けて、地球上で最も技術の先端を走っていた国がイギリスだった。なのでイギリスから導入された機械などが多く、産業革命が起きたイギリスが当時は世界の中心地だった事が分かる。

 

こちらは後ろに大きな時計が付けられている観覧車があるけど、ここではその観覧車ではなくて、その手前に置かれているスクリューのパーツに注目して欲しい。

 

このスクリューのパーツは近くにある「大桟橋(昔の鉄桟橋)」の足場として水中に沈められていた杭で、最初の1894年の工事の際にはイギリスから505本の鋳鉄製のこのスクリュー杭が輸入されて、大桟橋の下に設置されていたという。1本の杭の長さは16~20mもあり、先端がスクリューの形になっていたのはこの方が耐荷力があったからだという。

 

奥に見えている汽車道の上には、電線のような物が張られているのが見える。こちらは”世界最新の都市型循環式ロープウェイ”として、JR桜木町駅と新港埠頭の間を結ぶ「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマエアーキャビン)の支柱だった。

 

2021年4月開業の「ヨコハマ・エアー・キャビン)」ロープウェイの路線図

2021年4月開業の「ヨコハマ・エアー・キャビン)」ロープウェイの路線図

この横浜を訪れていた際はまだ工事中で運行していなかったが、去年2021年4月に開業となった都市型のロープウェイ。昔はこの道中を特別に運行されていた電車が走っていたのだが、その路線は現在廃線となって今では「汽車道」として遊歩道として活用されているのに、わざわざその上を通るロープウェイを造ったみたい。しかも片道大人1000円(片道約5分)、往復大人1800円となかなか強気な値段設定にもなっている。

(※大観覧車「コスモクロック21」とのセット券販売もあり)

 

 

 

日本丸メモリアルパークにて

古い横浜港の歴史を残しつつ、新しい時代へと突入していく21世紀のみなとみらい地区。そんな場所に都市型ロープウェイを造るのもいいかもしれないけど、その下には汽車道があるので、出来ればもう少し違うルートにチャレンジしても良かったのではと思ってしまうが。。

 

こちらの”ダブル・イナバウアー”の恰好をしている2人の女子像は、『希望 世界へひろがれ若い夢』というタイトルになっている。そんな2人の像の目線の先には先程見えた都市型ロープウェイがあり、そんなロープウェイで世界へ羽ばたいていく希望を持って見ているのかもしれない。

 

この辺りは「日本丸メモリアルパーク」として、かつて旧横浜船渠:第1号ドックがあった周辺が湾岸緑地公園として整備されている場所。そしてその公園内にはそのドックで使われていた物や船に関わる設備や、ドックと共に重要文化財に指定されている帆船:日本丸なども見る事が出来るようになっている。

 

この大きな錨はドイツのハンブルグ港から横浜港との姉妹港提携から、10周年を記念して贈呈された物になっている。ちなみに横浜市とハンブルグ港の姉妹港提携は1992年と、意外とそこまで古くからの友好関係があったという訳ではないようだ。

 

実際に100年程前まで使われていた錨らしいけど、そこまで感慨深い物ではなくて、もっとハンブルグらしさが滲み出る品物の方が良かったのかもしれない。横浜市側からしても保管しておく場所もないし、このメモリアルパークだったら丁度いい置き場という事で置かれていたのかも。

 

こちらは大阪の梅田のメインストリート御堂筋の真ん中にド~~ン!と鎮座しているようなイメージを思い出させてくれる、通気口のような建造物。地下街があるという事は、必ずそこに空気を循環させる為の設備が必要となっている。

 

こちらはその梅田のど真ん中にある「換気塔」で、1963年に建築家:村野藤吾によって建てられた物だけど、似たような物かと思っていたけど用途は同じだけどデザインは全然違っていた。。

 

こちらには国の重要文化財として保存されている旧横浜船渠:第1号ドックの脇に設置されていた、飛んでいるカモメ数匹女子像が一体化していた銅像。

 

そしてこの少女とカモメの像が面白いのは、このように羽ばたいているように見えるカモメが、少女の体と部分的に繋がって1つの作品となっている事だ。だからカメモの像はそれぞれに紐でブラ下げられたり、下から棒で支えられている訳ではなく、それぞれにパッと見には繋がっていると見えないように繋がっているのである。

鎌大仏君
鎌大仏君

オレにもカモメ、付けて欲しかったな・・・

 

 

重要文化財の帆船:日本丸にて

こちらはこの「日本丸メモリアルパーク」のメインともなっている、1930年から1984年まで文部省の航海練習帆船として長年使われていた帆船:日本丸である。ちなみにこの初代:日本丸は1930年に建造されたが、その建造された場所はここ横浜ではなく、神戸で造られているので勘違いしないように。

 

また現在は1984年に建造された、2代目:日本丸がその代役として活躍している。だがここに停留されている初代:日本丸は毎年定期検査を受けており、今でも一応海に向かって運航出来る状態のままだそうだ。

 

大型練習帆船として建造された日本丸には、「海王丸」という名前の姉妹船(兄弟船?!)が一緒に造られている。この海王丸も日本丸と共に今では2代目:海王丸にその役目を譲っており、今は富山県射水市の「みなとオアシス海王丸パーク」に停留され保管されているという。

 

 

ここに停留されている初代:日本丸の船内は見学可能となっているが、勿論入場料は必要となっている。ちなみに大人400円という値段設定であるが、隣に造られている「横浜みなと博物館」(こちらも入場料は単体400円)との共通セット券が600円で販売されているので、両方に興味ある人はセット券を購入した方がお得になるようだ。

 

 

日本丸の船内にはあまり興味を惹かれなかったので見学はせずに、「横浜みなと博物館」だけ見学する事に決める。そして日本丸の停まっている横に、こちらの「上皇・上皇后両陛下の行幸啓記念碑」が置かれているのを目にする。

 

「上皇・上皇后」と説明に書かれていたけど、どの天皇なのか少し混乱してしまう。先日退位した平成の天皇だと思うけど、令和になってから造られた記念碑なのかな? この記念碑の説明文を見ていると、確かに「上皇・上皇后」は平成の天皇の事を差しているようだ。

 

昔から天皇の行幸記念碑というのが全国的に沢山造られており、色んな場所で見かける機会が多い。この天皇の行幸というのは明治時代に江戸幕府から天皇に権力が戻った際に、それを日本国中に知らしめる為に明治政府が後押しして明治天皇の宣伝興行のように全国を巡らせた事に大きく影響されている。江戸時代までは庶民にとって天皇の威光は全然感じられていなかったが、この明治時代の天皇行幸で全国に宣伝して渡った為に、後に天皇に大きな権力を手にする事になったのだ。

 

「横浜みなと博物館」の見学!

さて日本丸の船内には興味が無かったけど、こちらの「横浜みなと博物館」には入ろうと思っていた。しかし単にこの横浜港の歴史などについて興味があったからという訳ではなく、別の動機があったからであるが。。

 

 

こちらは戦前に大きく発展した横浜港の歴史をじっくり学べる場所として素晴らしい博物館なのであるが、個人的にはこの訪問時はそこまで横浜港に興味はなくて、その代わりにこの博物館に併設されている施設の方に興味があったのだが。

 

その併設されている施設というのが「柳原良平アートミュージアム」で、こちらの誰もが見た事のあるキャラクターデザインを手掛けたデザイナーのミュージアムなのである。

鎌大仏君
鎌大仏君

サントリーのトリスウイスキーでお馴染みダね!

 

このデザイナー:柳原良平(1931年~2015年没)は現:京都市立芸術大学を卒業して、当時の「壽屋(現在のサントリー)」宣伝部に入社する。そこでサントリー創業者の鳥井信治郎氏が熱意を籠めて作ったトリスウイスキーの宣伝を担当し、今ではすっかり定番となった”アンクルトリス”のオジサンキャラを生み出したのである。

 

館内には先程外で見た記念碑に記載されていたように、「上皇・上皇后」が平成29年にここを訪れた際の写真が飾られていた。この天皇という存在も日本史の中では時代によって大きくその影響力が変動し、今では”国民の象徴”という微妙なニュアンスの立場となっている。

ただ個人的にこの写真で気になったのが、上皇陛下がズボンのベルトを付けていなかった所。この写真を撮影した頃はちょっと腹回りの贅肉が増えてきて、「ベルト無しでもズボンがズリ落ちなかったのかな?!」と思ってしまったのである。。

 

そんな楽しみな博物館&アートミュージアムだったけど、残念ながら両方共に館内では写真撮影が禁止となっていた。アートミュージアムは仕方ないけど、横浜みなと博物館までも写真撮影禁止とは正直ガッカリだった・・・。

 

という事でギリギリ入口に入るまでの写真を撮影しておいたが、やっぱり写真を撮って後から見直さないと、ボクの脳みそ内の記憶は殆ど蘇らない事が再確認できた「横浜みなと博物館」であった。。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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