熊本&鹿児島旅行記2021年12月-7
旅行期間:2021年12月頭(2泊3日旅)
停電しても大丈夫!
こちらは熊本県南部の山間に江戸時代に架けられた、「通潤橋(つうじゅんきょう)」という水道橋だった石橋。国内では見られる事が少なくなった石橋の水道橋だが、今でも立派に現役として使われている。
通潤橋にて
そして下からだけではなく、通潤橋の脇の高台に登ってきて、どんな仕組みで水が送られているのかを見てみた。約6km離れた笹原川から水路によって運ばれてきた水は、ここの「取入口」から約7.6m下を斜めにして水が落ちていく。
そして通潤橋内に造られた配水管を通って川を渡り、対岸で今度は高さ約6.5mを駆け上って「吹上口」から排水される仕組みになっている。この水が橋を渡って流れていく仕組みには動力は一切使われておらず、「逆サイフォンの原理」とも呼ばれる仕組みが使われているとか。
通潤橋を眺める! 動画
取入口にはこの水門を調整するようなバルブも備えられていて、橋の修繕などを行う際に通潤橋内への給水を止める役割がありそうに見えた。なお、ここの水門で流れてきた水を止めると、脇に造られている滝のように水が流れ落ちる”ソロバン滝”に水が逃げていくので、ここで水が溜まって溢れるという事もなさそうだ。
そして取入口の前には、水路に乗って流れてきたゴミが橋の中に入らないように柵も造られていた。ここまで水を運んでくる水路はパイプのように蓋がされていないので、枯れ葉などが入って水路を流れてやってくるようだ。
以前は通潤橋の上を自由に歩けたらしいけど、この訪問時は2016年の地震と2018年の豪雨の影響で橋の安全性に問題が出ていた為に、通行禁止となっていた。
なお、通潤橋の修復工事が行われた2022年現在は、人数制限などがありながらも放水日に合わせて、通潤橋の上を有料で歩く事が出来るようになっていた。
私も、通潤橋の放水を見たかったんだよね・・・
落っこちたっちゃ自己責任なんで、そん辺ヨロシク!
過去にスペインを訪れた際に、古代ローマ時代に造られたという石橋の水道橋を歩いた事があるけど、国内で石造りの水道橋はまだ渡った事はない。
ちなみに前回熊本を訪れた際に、通潤橋までは辿り着けなかったけど、その代わりに「明正井路の六連橋」という大正時代に造られた”日本最大級の石橋水路橋”に、たまたま辿り着く事が出来た事を思い出す。
私は「通潤橋」の方に行きたかったんだよ!
この場所は中世頃にこの地を支配していた阿蘇氏の居城「岩尾城跡」だった所で、その城跡もダッシュで向かってみたけど、特に見るべきものがなくて、トボトボと引き返してきた・・・。
車でかなりの時間がかかる山間の奥地に、これだけの大きな石橋が造られて、かなりの人手が導入されただろうと推測する。工事を開始して約1年8ヶ月の期間を経て完成した通潤橋には、周辺住民の多くが駆り出されて建設に携わったようだ。
今では考えられないような人手オンリーの労力が掛けられて完成した通潤橋。この水道橋の完成で、100ヘクタール近い水田が開拓される事になり、この橋の建造を主導した布田保之助はこの辺りで神様として崇められる人物となったという。
普段都会に住んでいると、昔の人達がこんなに山奥地まで開拓しに行って、更に水の確保に多大な努力をしていたなんて、想像にも付かない世界だった。しかし、このような観光名所ともなっている場所を実際に訪れると、その橋が造られた背景や、その地方での生活環境なども知る事が出来て、とても勉強になるのである。
私も行きたかったな~~!
そろそろ夕方16時を過ぎた頃合いとなって、空の青空が徐々に色を変えてきている光景が見られてきた。今日はこれから鹿児島市内まで移動しないといけないのだが、高速道路を使うと早く辿り着けるけど、意外と高速道路の料金が高かった事から下道を選んでしまって、後で後悔する事になるのであるが。。
熊本から鹿児島市への移動は、絶対高速道路を使うべきですよ!
こちらは「八朔祭り 大造り物 山都を世界に広めるモン!」という、この熊本県の山都町で江戸時代から行われ続ける、”五穀豊穣”を神様に祈る祭『八朔祭り』を宣伝するくまモンの人形だった。
『私たちの祭り探検:熊本県・山都町 矢部の八朔祭』
通潤橋で花火ば打ち上げたりもするたい!
そして道の駅の脇に設置されていた「通潤橋史料館」は、このように営業時間を過ぎていたので閉館となっていた。16時過ぎで閉まるには早いように思うけど、このような山奥では15時30分までしか開いていなかったようだ。。
そして隣の道の駅は幸いにもまだ営業していたので、ちょっとだけ寄り道してみた。このような自然溢れる山奥では、地元で採れた美味しい野菜などが沢山売られているので、歳を取ってから野菜の美味しさに目覚めたボクとしては、珍しくアレもコレもと買いたくなってしまうのである。
色んな野菜などのお土産も沢山販売されていたけど、まだ旅の初日という事もあってお土産を買うにはまだ早過ぎた。なので本当はもう少し買いたかったけど、我慢して栗羊羹だけ購入したのであった。。
「小笹円形分水」の見学!
そして通潤橋を見学したついでに、その上流に造られている「小笹円形分水」も訪れてみた。ここは通潤橋にも運ばれていく笹原川の水を、喧嘩が起きないように正しく分配する為の装置として造られた場所だった。
この「小笹円形分水」は昭和31年(1956年)に造られた施設で、笹原川から水路で引かれてきた水を通潤橋だけではなく、他の地域にも平等に行き渡るように仕分けする目的があった。日本はまだ水が豊富に湧き出る国なので、このような水の取り合いで戦争にはなっていないが、海外では水に乏しい国が多く、水の取り合いを命懸けて行っている所もあるのだ。
そしてこの小笹円形分水という施設は、ここも電力無しに、このように円形の輪の中から水が自動的に溢れ出してくる仕組みとなっている。
小笹円形分水を眺める! 動画
こちらは笹原川から引かれてきた水路に沿って、流れてやってきた水。水路内には落ち葉が溜まっているけど、そんな落ち葉などのゴミは排除されて、小笹円形分水にはゴミなどがない水だけが流れていく仕組みとなっている。
それにしても、このような山奥の場所で、次から次へとこのように水が整列しているように均等に溢れ出して、更にその外側に流れていく光景は今まで見た事がなかっただけに、感激してしまう光景でもあった。
小笹円形分水を眺める!② 動画
現代社会は便利になり過ぎた反面、何でもかんでも電力を使う発明品頼りになってしまっているけど、そういった便利な社会も電力を無くしては何も出来ない。そして特に2022年のようにエネルギーの主要原産国が戦争を始めてしまうと、エネルギー代が高騰して電気代も高くなってしまうと、全ての物がそれに釣られるように値段が上がって、にっちもさっちもいかなくなってしまう。
イギリスでは2022年10月に、家庭でん電気/ガス料金が8割値上げされとる・・・
しかし昔の人達はそんな電力が開発/使用される前から、卓越した発想力を持って、豊かに生きるすべを創り出していた。このようなエネルギー価格が高騰した2022年を教訓に電力離れをするのかと思っていたけど、人々は石油や天然ガスなどの化石燃料に頼らない、他の代替えエネルギーに依存を深める道を選択してしまうのであるが。。
そんおかげで太陽光パネルが、山一面に設置されて環境破壊が進むったい!
水が多い時期には誰もそこまで文句を言わないけど、水不足の時期になるとこのようなみんなが必要とする水の分配で揉める事が多かったのだろう。そこで平等に水を分配する為には人の判断を排除して、自動的に決められた配分量が分けられるシステムを開発する事になった。
最近のスポーツを見ていると、昔はミスジャッジらしい判定があっても審判に抗議して終わりだったが、最近ではビデオ判定が導入されて、審判の下した判断が覆される事も多々あるようになっている。また野球の世界ではアメリカのメジャーリーグで、テスト的に審判のストライク/ボールの判断を人間ではなく、機械が行うようにしてミスを無くそうという試みが行われている。
そして小笹円形分水で平等に水を分配するキーとなっているのが、このコンクリートの仕切りである。予め計算された量を分配できるポイントに、たったこのコンクリートの仕切りを設置するだけで、誰も文句を言えない分配が出来てしまうのである。
こちらは小笹円形分水の真ん中付近から、湧き出てくる水の様子である。毎分1.2立方メートルの水が自動的に溢れてくる設計となっており、勿論電力は一切使われていないのである。
小笹円形分水に溢れ出てくる水! 動画
このように単純なシステムの円形分水施設であるが、”言うは易く、行うは難し”のように、開発された背景ではそれなりの苦労もあった事だろう。しかし、今では誰もこの小笹円形分水を監視している人間もなく、その分水の平等性が見ただけで分かる素晴らしい施設となっていたのであった。
こんな旅はまた次回に続きます!
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