信州松本旅行記2022年3月-16
旅行期間:2022年3月上旬(2泊3日旅)
アイデア作品の数々!
引き続き、長野県松本市にある、数多くの古時計が展示されている「松本市時計博物館」の見学を行っていきます。
100点以上を超える古時計を集めた本田 親蔵氏も、自分の死後にコレクションした時計が離散する事を考慮して、生前にこのように市に寄贈したのだろう。
「松本市時計博物館」見学!
こちらは18世紀に造られた「広東時計」という、鎖引冠形脱進機&振子付の機械時計。
「広東時計」とは、17世紀から20世紀初頭まで鎖国政策のように外界との貿易を表向き禁止していた中国の”清朝時代”に、海外との貿易を許していた広東港経由で流入してきた時計となっている。
当時の中国でも西洋式機械時計はとても人気で高価な品物であり、時計の機械部分だけを輸入して、外枠などの装飾は中国の職人によって施されている。
こちらの時計は、枠が高級木材の「紫檀材」で、貝殻風の装飾となっている。
こちらは日本で大正時代に製作された「総体振時計」。
女神のような像には仕掛けは無く、時計内部に「振子」があって、その振子と錘(本体)が交差するタイミングで、像を起点に振動するので「総体振時計」と呼ばれているようだ。
こちらは19世紀にフランスで製作された、「総体振の置時計」。
この置時計の本体はブロンズ製となっているので、そこそこに重たい置時計となっているようだ。
こちらは大正時代に国内で製作された普通の置時計に、この博物館に古時計を寄付した本田親蔵氏が自ら、飛球振子を取り付けて改造した「振子飛球置時計」。
このような「振り子」という仕組みがとても面白く、一度動かすと、人為的に止めるまでず~~っと動き続ける。
ただ、現代人はこのようなアナログな原理を開発する事よりも、デジタルの世界内に入り込んで新しいソフトを開発するようになってしまった。
そのようにデジタルのソフト面に注力していくと、今後の人類も、このような素晴らしいアナログ技術の発明品を生み出す力が、無くなっていく事だろう。。
素晴らしい発明家がいたんだね!
振り子で動く時計達! 動画
こちらは時計の下で、ブランコに乗った女の子の人形が「ブラン、ブラン!」と揺れ動き続ける「ブランコ時計」。
この動くブランコ部分が振り子となっていて、その動きから生み出された力で動く時計となっている。
現代のデジタルな世界では、液晶画面などにこのようなアクションを映し出す為には、裏側でアルファベットだらけのコードなどを書いて表現する。
だが、このようなアナログの世界では、地球の重力や紐の耐久性なども考慮して、設計する必要がある。
こちらは19世紀にドイツで製作された、「ギター弾き人形時計」という目の部分がキョロキョロと動く時計。
当時の黒人奴隷がアメリカでギターなどを演奏して、楽しんでいる様子を再現したのかもしれないが、黒人差別問題の影響で現代には再現しにくい作品である。。
こちらは19世紀のイギリスで製作された「天文水晶振子両面置時計」。
磨き上げた水晶の玉が振り子となっており、上部の文字盤は半円形で12時間分を表示している。
左に見えている可愛いフクロウの形をした「フクロウ時計」は、昭和時代に日本で製作された時計のようだ。
昭和の時代になると、時計も多くの家庭に普及していったので、外観の差別化が進み、このフクロウは”可愛い動物系”の括りとなっていたのだろう。
こちらはスイス製の「フライパン時計」。
見た目そのままのフライパンの裏側に時計が取り付けられた物だが、この時計をよ~~く観察してみると、文字盤がローマ数字にも関わらず、「Ⅳ」の部分がそのまま「Ⅳ」で表示されている珍しい時計でもある。
さすが、スイス製!
こちらは19世紀のフランスで製作された、見た目そのままの「ステンドグラス時計」。ヨーロッパの教会では、必ずと言っていい程にステンドグラスが窓枠に嵌め込まれていて、太陽の光が当たると綺麗に見える。
しかし、このようにステンドグラス自体に時計を埋め込んだ窓は見た事がなく、実用性はあったものの、教会では時計を見かける機会が無いので、あまり普及しなかったのかもしれない。
こちらは頭蓋骨を模った「ドクロ形懐中時計」で、下あご部分が開くようになっていて、その開いた中に文字盤が埋め込まれている。
時計としては、棒天符が中に入っており、また付属の鍵を差し込んで巻く時計となっているようだ。
左側の懐中時計は「ミステリー・クロック」とも称される時計で、文字盤が表裏ガラスになってその間の機械部分が全く見えない透明になっている。
その為に長針と短針が浮いているように見えるが、実は表裏ガラス部分にそれぞれ長針と短針が取り付けられて、そのガラス全体が針と共に回転して一緒に動く為に、目の錯覚を利用した「ミステリー・クロック」となっているようだ。
時計職人からマジシャンに転身した人が考案した「ミステリー・クロック」だな!
【Cartier Rotonde Mystery Watch】動画
こちらは19世紀のイギリスで製作された、ポケットに入れれない大き目のサイズとなっていた「大型懐中時計」。
本来懐中時計というとポケットの中にしまって、外出先などで時間を確認する道具なのであるが、ポケットに入らない程の大きなサイズだったので、付き人に持たせていたと考えられている。
なお、時報が鳴る時計となっていて、しかもその時報前に前奏として鈴が鳴る仕組みになっていたという。
このように人類がこれまでに生み出して来た発明品の素晴らしさを、目の当たりに出来る「松本市時計博物館」。
時計マニアやコレクターにしか興味が無さそうな博物館にも思えるけど、実際に訪れてみると、このような奇想天外な発明品の数々に出会えるので、時計にそこまで興味ない人でも楽しめる場所となっていた。
こちらは19世紀のフランスで製作された、「エジプト美術置時計」というエジプト風のイメージに装飾された時計。フランスは1798年に将軍ナポレオンが『エジプト遠征』を行い、オスマン帝国の統治下にあった首都:カイロの占領に成功した。
それを受けてフランス国内では”エジプトブーム”が起こり、このようなエジプト風の時計なども生み出されたという。
ちなみにこのナポレオンのエジプト遠征時に、かの有名な『ロゼッタ・ストーン』が発見されている。
ただし、この戦いでネルソン提督率いるイギリス海軍に敗北し、フランス軍はカイロに閉じ込められてしまう。
そしてナポレオンはフランス本土も窮地に陥った為に単独で脱出しフランスに戻ったが、残された兵士達はイギリスに降伏した。
その為にフランス軍が見つけたロゼッタストーンは、勝利したイギリス軍の手に渡り、大英博物館に保管される事になったのである。
こちらは18世紀のフランスで製作された、「ビクトリア風燭台付置時計」という金キラの装飾が美しい時計である。
時計と共に燭台がセットになっていて、金が鮮やかなデザインとなっていたので、金持ちの貴族の家に飾られていた事だろう。
こちらは19世紀のフランスで製作された、「シャンデリア時計」というロウソクを付けた照明器具と時計が一体化になった物。
貴族や王族が暮らしていた宮殿の部屋には、だいたいこのようなシャンデリアが飾られていたので、「どうせなら、シャンデリアと時計をくっ付けてしまえ!」という発想だったのかもしれない。
しかし、上を見上げないと見れない角度の時計だった事もあって、不評であまり生産されずに終わったように思える。。
アイデアは面白いんだけどな・・・
こちらは20世紀に日本で作られた「振子回転置時計」。
ゼンマイを巻くと心棒が回転し、上から吊るされている振り子の先端に振れて、振り子自体も水平に回転する仕組みとなっているようだ。
なんでこんな動きするのか、イマイチ理解できん・・・
こちらはさっき見たブランコ時計の、”赤ちゃん首吊りVer時計”のようにも見える・・・。
南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・
こちらは19世紀の中国で製作された、燃焼時計の一種である「線香時計」。日本国内でも江戸時代に「線香時計」が使われていたけど、この中国の線香時計はちょっと違っている。
こちらは2つの錘を紐で結んで龍の置物に引っ掛け、その錘を数個引っ掛けた糸の上に燃える線香を置き、線香が燃える熱で糸が切れて錘が落ちるというタイマー代わりに使われていたそうだ。
この方式だと毎回焼き切った糸を結び直す手間が掛かるけど、錘が落ちた際に下の受け皿で衝撃によって音が鳴り、周囲にその合図を知らせるのに向いていそうな構造である。
同じ「線香時計」という部類でも、その使われるシチュエーションによって、全く構造が異なるのも面白い。
こちらは日本国内だけではなく、世界的に有名な時計メーカーへと成長した「精工舎」が大正時代頃に製作したと考えられている「大型掛時計」。
枠の部分に向日葵の彫刻が施されている為に、『ヒマワリ時計』とも呼ばれていたとか。
今では世界中に知らぬ者のいない「セイコー社(SEIKO)」は、正確な時を刻む時計として、大人気ブランドになっている。
こちらは18世紀にイギリスで製作された、大型の「グランドファーザー・クロック」。
その名の通り、大きな錘を内蔵して、威厳を感じさせてくれるデザインともなっている。
おじいさんの時計~~♪
この「グランドファーザー・クロック」の文字盤上部には、秒針と連動して動く、牛飼いや帆船などのギミックも用意されている。
このように単に時間だけを確認する時計ではなく、のんびり眺めながら楽しむ時計ともなっていたようだ。
見た事のない古時計ばかりで興奮気味に写真を撮りまくっていたけど、奥の部屋ではすっかり見学疲れが出て、ベンチに座り込んでいるオカンの姿が見えてきた。
もう疲れたので、終わったら言ってナ!
そして最後の部屋は、このように時計ではなく、レコードと蓄音機の展示となっていた。
時計の見学で力をだいぶ使ってしまっていたけど、最後の展示室でもあったので、残った力を振り絞るように最後まで見学を続ける事にする。
こんな旅はまた次回に続きます!
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