沖縄旅行記2020年秋-⑨
旅行期間:2020年11月11日~14日(3泊4日)
(View of the remnants of the main hall of Shuri Castle, which burned down in 2019 [Okinawa Travelogue 9])
城の残骸
さて那覇市の観光名所である首里城も、守礼門から5個ぐらいの門を抜けてやっと本殿のある最後の「奉神門(ほうしんもん)」まで辿り着きます。首里城もここまでは無料で散策する事が出来ますが、この門から先は有料ゾーンとなっているので入場券を購入する必要があります。
首里城にて
ここから先の入場料は大人400円/高校生300円/小中学生160円となっている。更には年間パスポートも2回分の入場料を払えば購入できるようで、年間に2回以上この首里城を見学するのであればお得なチケットになるようだ。
最近はコロナ禍もあってキャッシュレス決済が増えているので、自動券売機でもクレジットカードなどが使える所が増えているような気がする。日本という国は現金主義の国だけど、最近はスマホの普及もあってスマホ決済などが増えてきて、これからは現金を触る機会が減っていく事だろう。
首里城本殿の入口となっている奉神門は、2019年の火災の際に一部分の屋根が消失してしまったので、ここを訪れた時点ではまだ修復作業中となっていた。しかしこのブログが公開されている頃にはその修復が終わって、元通りの姿になっている事だろう。
早速入場券を購入して首里城本殿のあった中庭へと向かう事にするが、約13年前にここを訪れた時にこの本殿を眺めた記憶が全く甦らない。確か昔の社員旅行の時にこの首里城を訪れたのだと思うが、昔の記憶の大半はもう断捨離済なので、そんな昔の記憶が無ければ、また新しい思い出を記憶していくだけ。
この奉神門は15世紀前後に造られた物が明治時代の終わりに老朽化もあって取り壊されて、その後1992年に他の建物などと一緒に復元されている。なのでこの門自体はそこまでは古い物という訳でもなかった。
こちらは奉神門の前に鎮座していたシーサー像であるが、首里城には門毎にシーサー像が置かれていたけど、それぞれに全く同じ像ではなくて、少しずつ造形が異なっている像が置かれていた。こちらにはサッカーをしているかのように、足元にボールを踏んでいるポーズの像になっていた。
首里城の中庭に入る!
そして奉神門で入場券を見せて中に進んで行くと、工事現場のように柵で覆われた景色が目に飛び込んで来る。首里城本殿は2019年10月に起きた火災で出火元になった為に、激しく燃えてしまって跡形もほぼ無く焼失してしまった。なので前まではこの中庭に入ったら奥に本殿が見えていたのであるが、今ではこのように後片付け中の様子やプレハブ小屋などが見られる景色となっている。
中庭で見られる景色 動画
奉神門を入ると目の前に広がる広場のような場所は「御庭(うなー)」と呼ばれていて、日本の城では本丸内に相当する場所だったようだ。この広場では中国からの使者などをもてなしたりされていた場所であるが、明治時代には首里城は払い下げられて学校ともなっていた時期があり、その時にはこの中庭で体育を行っていたという。
首里城本殿で勉強できるなんて、豪勢な学校よね!
このように中庭を囲むように回廊が繋がっていた首里城。ただ2019年の火災では本殿近くに他の建物があった事で、風に乗って飛火して火災の被害が大きくなってしまった。
この中庭には建造物が無かったので、今では焼失した本殿などの残骸が積められた袋などが置かれている。これら焼失した建物の残骸も、使える物は再利用する為に簡単に捨てる訳ではなくて、時間を掛けて選別作業を行っていたので、焼失してから約1年が経っていたこの時でもまだ残骸が置かれていたのである。
こちらは2019年に首里城本殿が消失する前の姿であるが、このような豪華な建造物が一夜にして焼失してしまうとは考えられない。しかしこの世の中では今日ある物が明日もあるという保証はないので、何が起ころうと不思議ではないのであるが。。
この首里城は沖縄県民にとってのシンボル的な遺跡だったので、第二次世界大戦で焼失した後に復元されてからは沖縄県民の心の拠り所とされていた。だからそんな首里城がメラメラと夜中に燃えるニュースは、衝撃的だった事だろう。
このように中庭には焼失した残骸の袋が沢山置かれていたけど、火災から約1年が経過してもまだまだ簡単には復興作業が進んでいない状況を目の当たりにする。新しい建物を再建する時に簡単な鉄筋コンクリート造りにするのであればそこまで手間でもないかもしれないけど、また忠実に元通りにする為には焼失した部品などでも使える物を探して、それを修復して使うので想像以上に手間が掛かるのだろう。
そしてこのような何かがこの上に設置されていただろうという地面が見られる。本殿の前にはシーサー像代わりに龍頭像が一対設置されていたが、その龍頭像は火災では焼失せずに残存したが、復旧工事の為に撤去されているようだ。
焼失してしまった首里城本殿だけど、その様子はこのようにして公開されている。沖縄を代表する建造物が焼失してしまった事はとても残念な事だけど、火災という物は木造建築物には付き物であり、またこのようなもぬけの殻になったような首里城も今でしか見れない景色で何年かすれば首里城が再建されるので見れなくなってしまう。
ただこの本殿近くにあった建物も全部が燃えてしまった訳ではなくて、火災当時の風向きに助けられて火が乗り移らなかった建物は、なんとか焼失を逃れている。火災はその燃えている炎と共にその炎が出す放射熱によっても周りに火が移るが、幸いこれら奥に見える建物は少し距離が空いていた事が幸いしたようだ。
こちらは火災直後の現場写真であるが、見事に首里城本殿は綺麗に焼失してしまっているのが分かる。これだけ綺麗に燃えてしまっているという事が、この本殿が木造建築物だったという事を証明しているようにも思える。
こちらには像の中に金属の枠組みが組まれていた残骸も横たわっている。普段銅像を造る工程などを見る機会がないだけにてっきり像の中までパンパンにコンクリートが埋まっているのかと思っていたけど、近年はこのように内部は鉄骨で造られている物が多いようだ。
他の残骸は整理されていたけど、こちらの像の残骸はそのまま放置されているという所だけ見れば、これらは再利用されないから観光用に放置されていたのかな?!確かに何も残っていない火災現場よりも、少しは生々しさを感じられる残骸が置かれている方がその雰囲気を感じやすいように思える。
復旧現場にはこのようにクレーン車などの姿も見えて、どこから運び込まれたかと思うような光景になっていた。このような歴史的な建造物の復元には、材料を再利用する為に思った程簡単には事は運ばない。
残骸が残る中庭 動画
世界遺産の「首里城正殿跡」にて
この首里城は世界遺産に認定されていると、ここ沖縄にやって来る観光客の人はそう思い込んでいると思うけど、正確には2019年に焼失してしまった首里城本殿の建物などは世界遺産には認定されていない。では沖縄県で『琉球王国のグスク及び関連遺産群』として世界遺産に認定されている一部に首里城と記載があったが、それは戦後に復元された建物ではなくて、実はその建物下に見つかったもっと昔の首里城遺構跡の方なのである。
ここは首里城本殿の建物があった場所に新しくプレハブ小屋が建てられており、中には入れないが窓ガラスから中の様子を見学する事が出来る。その首里城で世界遺産に認定されているのが、この下側に見える遺構跡なのである。
だから復元してから焼失した首里城本殿の建物は、この世界遺産の遺構跡の上に建てられていた物だったのである。その当時から床にはガラス張りでこの遺構跡が見られるようになっていたらしいけど、逆に本殿が焼失した後の方がこのようにハッキリとその世界遺産に認定されている遺構跡を見学できるようになっている。
ただ今回の火事で焼失した本殿を再び復元した場合には、この目の前に見えている本殿遺構跡がまた隠れてしまう事になるのだろう。せっかくだからこの遺構跡に被さらないように本殿を建てる案も検討されたハズだと思うけど、本殿を建てる位置を変更すると忠実通りにはならないので、悩み所なのであろう。
歴史通りに忠実に復元すれば、その土台だった遺構跡は隠れてしまう。だから何でもかんでも復元した建物を造ればいい訳でもないけど、世界遺産に認定されてしまった遺構跡だと余計に気を遣ってしまうのかもしれない。
本殿などの建物に使われていた赤い瓦は、沖縄独自の瓦で簡単に発注して入手できる物ではない。本殿があった場所にはテントが張られており、焼け跡の残骸の中から使えそうな瓦を再利用する為に選別したり汚れを落としたりというボランティア活動をしているようだ。
この首里城を訪れたのが夕方に近い時間帯だという事もあって、その瓦選別の作業もこの日は終了していたようだ。しかし火災から約1年が経過しているのに、未だにまだ瓦の選別などをしている事を考えると、再建には途方もない時間が費やされるのだろう。
この瓦の選別には基本的にボランティア活動なので、地元の沖縄県民たちが地元のシンボルである首里城の復興を手伝っている。また沖縄では色んな所で首里城復興工事の支援金を募っていたりして、県民が団結して首里城を復興させようという気持ちが感じ取れた。
ただ中にはこのように粉々に砕け散ってしまっている瓦もあり、火事の壮絶さを感じさせる。再建される首里城はより防火対策を強化した建物になるだろうが、そんな建物が完成するまでには長い道のりが待ち受けているように感じたのである。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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