東北旅行記2020年冬-⑭:青森編
旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(Asunaro Bridge” along the Kawauchi River, found while driving along the Kamoshika Line in the Shimokita Peninsula. [Tohoku Travelogue 14])
翌檜=アスナロ
さて下北半島まで足を延ばしてやって来た青森県で、大湊の海望館や歴史的な水道施設を見学した後に向かったのが、下北半島でもマサカリの形をしている刃の部分に位置する仏ヶ浦。なお、冬場は下北半島の道路も一部通行止めになっており、仏ヶ浦までは「かもしかライン」と命名されている道路をひたすら進んで行きます。
「翌檜(あすなろ)橋」にて休憩!
そのかもしかライン(青森県道46号川内佐井線)に沿って北上している途中に、ちょっとした駐車スペースを見つけて休憩しようと停まったら、そこに「川内川渓谷遊歩道:あすなろ橋」という橋を見つけた。せっかくなんでその橋を渡ってみる事にしたのである。
住所:青森県むつ市
この翌檜橋は川内川町を流れる川内川沿いに渓谷遊歩道を設置して、暖かい時期などにはウォーキングなどしている人もいるような場所だけど、このように雪が積もって寒いシーズンには人の姿など見られそうにもない場所。ちなみにこの反対側には「ふれあい温泉:川内」という熱い湯に浸かれる温泉もあるみたいで、ウォーキングついでに立ち寄る人も多そうだ。
ここに文字のある「翌檜橋」とは、正直読む事が出来なかった。この漢字は「アスナロ」と読み、ヒノキ科アスナロ属の常緑針葉樹を差す言葉である。このアスナロは「アスヒ(明日檜)」とも呼ばれているそうだ。名前の意味合いとしては”明日はヒノキになろう”というのが籠められているらしく、また文学作品では”檜になりたくてもなれない哀れな木”という扱いが多いとか。。
檜に似ているだけで、ボロカス言われてるべ!
この橋の下を流れているのは「川内川」という二級河川で、この上流にはダムがあってそこに溜められてから放水された水が流れてくる川のようだ。ちなみに「川内川」という川は九州南部にも同じ名前の川があるけど、勿論その川と繋がっている訳ではない。
この翌檜橋の上には綺麗に雪の絨毯が敷き詰められていて、足跡らしき物も見受けられない。というのも現在はこの橋の奥にある遊歩道で落石の危険がある為に通行止めとなっているので、この翌檜橋に足を踏みしめようという考えの人間がボク以外居なかったという訳である。
この周辺に整備されている川内川渓谷遊歩道では、川内川に架る他の2つの「あじさい橋」や「セキレイ橋」などをウォーキングして、マイナスイオンをたっぷり浴びれるコースになっているようだ。だから冬場に来るとそのような遊歩道を散策するのは難しいけど、暖かい時期に来ればそういったウォーキングでも楽しめそうな下北半島。
こちらは翌檜橋から見た川内川で、穏やかな水流で下流に流れていく様子が見られる。なおこの水流はこのまま川を下っていき、先程見えていた陸奥湾に合流していく。
ここからの景色は枯れた木々と、岩肌に微妙に雪化粧された、何とも言えない微妙な景観だった。もっと雪が降ればそれなりに冬っぽい景色となるのだろうが、今の12月は雪もそこまでなく、単に寒いだけ。しかもその寒さというのは写真ではなかなか伝わらず、寒さを可視する方法は雪の量を見せるのが一番なのである。
なお上流の方には「東北電力株式会社:岩谷沢発電所」のダムが設置されていて、水が豪快に流れ落ちていく景色が見られる。このように単に川が流れているだけではなくて、ダムから豪快に水が流れ落ちているので、普通の川よりはマイナスイオンが発生していそうな雰囲気にも感じるが、人間の体はマイナスイオンを実感できないのであくまでも雰囲気を楽しむだけであるが。。
高さ10m程のダムから流れ落ちる水を見ていると、この川を遡上する魚が登れないだろうと思うけど、写真の左側に「岩谷沢魚道」という『デニール式魚道(Denil fishway)』が設置されている。この聞き慣れない『デニール式魚道』というのは、1908年にベルギー人のG・デニールさんが開発した凹凸のある魚道。
それまでの魚道よりも『デニール式魚道』は凹凸を造る事によって、底部分の水流が弱まる為に魚が遡上しやすい特徴があるという。その為に急勾配の川にも用いる事が出来るようだ。なお、『デニール式魚道』が日本に初めて設置されたのは、1976年に宮城県大郷町にある吉田川だという。
デニーロとちゃうの??(笑)
デニーロじゃなく、デニール!!(怒)
この翌檜橋は反対側の遊歩道側までは行けないようになっているけど、橋の途中までは渡れたのでそこの欄干から眺めてみた。すると橋の欄干にはこのようにツキノワグマらしい熊のデザインが施されており、心なしか笑っている顔のように見える。
こちらはカモシカらしい姿となっているが、この下北半島は人間を覗く霊長類や動物などの北限となっていて、まさに北の端っこというイメージがする場所。激しい海流の津軽海峡もすぐ目の前に反対側の北海道が見えているのだが、今までの長い歴史の中で多くの動物が泳いでチャレンジしていったが、生き残った動物が居なかったという事だろう。
翌檜橋から眺める川内川! 動画
しかしこんな山の中にまでダムを造るなんて、人間のする事は冷静に考えると凄すぎる。しかしこの岩谷沢発電所は小さなダムにしか過ぎず、この川内川を遡上していくともっと大きなダムが待ち構えているのであるが。。
川の反対側には誰も足を踏み入れていないように見える、真っ白の遊歩道が見えている。人間が遊歩道を踏みしめていないのはいいけど、万が一ツキノワグマの足跡が見られれば、急いで車に駆け戻らないといけないのである。。
何気なく立ち寄った翌檜橋だったけど、「翌檜(あすなろ)」という言葉と、『デニール式魚道』という画期的な魚道についての知識を得る事が出来たのである。そう思うと単なる寄り道でも、常に何かに興味を持ってアンテナを立てているだけで、色んな事を勉強する事ができるのだ。
もっと小さい頃から、それ位熱心に勉強してくれればね・・・
親不知沢橋脇の展望台にて
そして再び仏ヶ浦を目指して青森県道46号川内佐井線(かもしかライン)を進んで行くも、その先にある湯の川温泉街から奥は通行止めとなっているので、西側へ進む県道253号を走っていくとこちらの「親不知沢橋」が見えてきた。
単なる橋が見えたから停まった訳ではなく、こちらの「展望所」という文字に反応して停まったのである。昨今の旅ではブログ用に写真を撮りたい為に、車でドライブ中にこのような展望所を見つけると、かなりの確率で立ち寄りたくなってしまうので、なかなか前に進まないのである。。
展望所と言ってもそこまで整備された場所という訳ではなく、ちょっと高台になっている場所に階段とかが設置されているだけの簡単な展望所。
Googleマップにはこの展望所が出てこないけど、この川内ダムの手前側にある。
そこまで費用を掛けて設置した展望所ではないけど、ちゃんと足場もレンガなどが敷き詰められていて、転落防止用にちゃんと手摺まで整備してくれている。ただ冬場にはこの展望所にわざわざ車を停めて立ち寄ろうと、考える人も少なそうに思える場所だったが。。
この展望所から見えるのは、こちらの案内板にもあるように「川内ダム」という、”本州で最北端に造られているダム”だ。なお、この更に北側の大間付近に「奥戸ダム」の建設計画が挙がっているが、ダムが本当に必要かという見直しを受けて、その建造計画が暗礁に乗り上げて未定となっているようだ。だから、その奥戸ダムがもし造られてしまうと、この川内ダムは本州最北端のダムではなくなるようだ。
こちらがその「川内ダム」で、堤高の高さは約55mとなっていて、水量の多い時期は豪快に放流している景色が楽しめそうだ。この川内ダムは1975年にダム建設が着手されて、竣工したのは1993年と約20年の歳月をかけて完成したダム。
それまでは豪雨が降るとその都度、川内川が氾濫してその被害を受けていたそうだが、このダムが完成した事によって水量をコントロールする事が出来て氾濫の被害を抑える事が出来ているという。
川内ダムをちょっと見学!
まずは展望所で少し姿を眺めてから、車を走らせてその川内ダムの見学を行う。この川内ダムにはさっきの展望所よりは広く駐車場が設けられているので、楽に車を停める事が出来たが他に停まっている車は無かったのだが。。
この先の方に、先程立ち寄った「親不知沢橋」があって、その袂に展望所があった場所。全国的にもマイナーなダムだけど、やっぱり展望所を設置すると少なくとも1日1人ぐらいの観光客が立ち寄るスポットとなっているのかな?!
川内ダムに来たものの、特にダムが好きという訳でもなく、普段からそこまでじっくりダムを見る機会もないので、今回はちょっとじっくり目に眺めてみる事にした。ただダムも人手が必要な訳でもなく、誰も居ないような無人の雰囲気が漂っていたが。。
川内ダムの案内板には「3密を避けましょう!」との張り紙も見えたが、誰も居ない場所では3密すらならなくて、常に1密状態であった。。
ただ個人的には観光客が誰でも訪れるような場所よりも、このような想像力を大いに働かせないと楽しめないようなマイナーな場所の方が好きなのである。
相変わらずの変態やけ!(笑)
川内川水流と文字が彫られているけど、湯野川温泉街がある方から流れてくる湯ノ川も合流して来ている。だから純類に川内川という訳でもなさそうだけど、そういう細かい区分をし出すと水に名前が付いている訳でもないだけに、どっちでもいいように思えるのであるが。
水豊か 人栄ゆ
by 北村正哉
と彫られた文字が見える。この文字は10~13代青森県知事だった北村正哉氏の物で、この川内ダムが完成した時に青森県知事だった人物である。この北村正哉氏は1979年から青森県知事に就任し、東北新幹線の青森延伸に尽力し、地元では”ミスター新幹線”とも呼ばれていたとか。
ちなみに青森県三沢市の三沢市役所前には、この北村正哉氏が設置されているそうです。
こちらは川内ダムによって出来た人造湖「かわうち湖」で、財団法人ダム水源地環境整備センターという団体が選定した『ダム湖百選』にも選ばれているそうだ。
今日は近代水道百選やら、ダム湖百選やら、勉強になるネ!
川内ダムの眺め! 動画
もう少しダムの堤防の奥まで進みたかったけど、このように冬は人気がないからか、それとも雪が積もって危険な為か、鎖がしてあって中に進めないようになっていたが。。
こんな旅はまた次回に続きます!
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