山形県立博物館の「奇妙で変てこな生き物達展」で、生物の生態を学ぶ【東北旅行記73】

東北旅行記2020年冬-73:山形編

旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(Learn about the ecology of living things at the Yamagata Prefectural Museum’s “Strange and Odd Creatures” exhibition.  [Tohoku Travelogue 73])

生き物についても勉強!

山形県の歴史が沢山学べる「山形県立博物館」で、最後に訪れたコーナーはこちらの『奇妙で変てこな生き物達展』という、この2020年12月訪問時に開催されていた生き物の生態を学べる場所だった。

 

【山形県立博物館】

住所:山形県山形市霞城町1-8(霞城公園内)
営業時間:9時~16時30分頃(※定休日:月曜日)
電話番号:023-645-1111
入館料:大人300円/学生150円(※高校生以下無料)

 

 

 

『奇妙で変てこな生き物達展』にて

山形県立博物館内の見学をしている最中にはあまり見学客の姿を見かけなかったけど、この『奇妙で変てこな生き物達展』だけは意外と見学客の姿を見かけた。常設展示の山形の歴史などは地元市民からすれば退屈な展示だけど、このような特別展示を見学する為に訪問していた人も多かったのかもしれない。

 

そんなブースの入口には、こちらの「ベンガルトラ」の剥製が大きな口を開けてお出迎えしてくれていた。このベンガルトラは19~20世紀に人口が急増した為にその生息域に人間が侵入してきた事もあって、年々生息数が減少して一時は絶滅危惧された種だった。

 

インドやバングラディシュ地方で生息していたベンガルトラは、近年の保護活動の影響もあって個体数が回復しつつあるようだ。ちなみにベンガルトラはネコ科の動物で、”大きくて牙の生えた肉食の猫”とも言える存在でもある。

オカン
オカン

ペットとしては飼われへんな!(笑)

 

こちらは魚採りで使う銛の形にも似ているように見える「オウサマオオエダナナフシ」という、”世界一長い昆虫(33cm)”だそうだ。ちなみに足を延ばした際には全長56cmほどになり、東南アジアのボルネオ島で発見された昆虫。

 

このナナフシという昆虫も飛べる種から全く飛べない種もあって、飛べない種は翅が退化した過程だと考えられている。またナナフシは自分の体の重さの約40倍近くの重量物を運べる為に、その生態を分析して荷物運搬ロボットの研究に生かされているとか。

 

森の中で生活している昆虫には、”擬態”という周りの景色に体を同化させる能力を持っている種が多い。こちらの箱の中には枯れ葉と共に、何匹かの昆虫も一緒に入れられているというが、パッと見た感じでは8匹ほどはそれらしい昆虫が確認できた。

 

ただ一口に”擬態”と言っても、大きく2種類に分類されるようだ。1つ目は周囲の景色に同化して、背景と見分けが付かないようにして捕食者から見えなくして身を守るという方法。2つ目はハチなどの毒を持つ昆虫の色や形に模様を変えて、それで捕食者を追い払うという方法。

オカン
オカン

怪しい色をしているキノコもそうやな!

 

こちらは「ヨナグニサン(与那国蚕/学名:Attacus atlas ryukyuensis)という、世界的にも翅の面積が2番目に大きい蛾の種類。名前は与那国島で初めて発見された事からこのような名前が付けられているようだが、与那国島周辺の島々でも生息している。

 

 

かつては”世界で最も翅の面積が大きい蛾”との称号があったが、近年になってオセアニア地方に分布する大型の蛾が発見された為に世界で2番目の地位に甘んじる事になった。ただこの世界的な大きさはあくまで「蛾」の分類内であり、蝶の種類ではもっと大きな種が沢山存在しているそうだ。

 

キリンという生物は他の動物と違って、その首の長さがとても珍しい動物である。だから動物園などでは子供に大人気なのであるが、逆に首が長いと心臓から血液を頭に送り込むのが大変で、血圧は人間の倍もあるそうだ。そしてキリンの首を支える頸椎は、その長さの割にたった7個しかないが、1つ1つの頸椎自体がとても長いそうだ。

 

 

こちらはとても硬そうな鎧を身に着けているような外観をしている「ココノオビアルマジロ(学名:Dasypus novemcinctus)というアルマジロ。ちなみにこの展示されているココノオビアルマジロという種類は、川で泳ぐ時に腸を膨らませて浮かぶ事が出来る唯一の動物なんだとか。また水中では5分程息を止めた状態で、川底を走る事も出来るとか。

 

 

そしてアルマジロって聞くと、みんな亀のように丸まってボール状になって身を守るのかと思っていたけど、そのように丸くなってガード出来る種はたった2種類のアルマジロだけで、このココノオビアルマジロは丸くなってのガードが出来ないようだ。

青森ンゴ
青森ンゴ

同じような個体に見えて、種類が違えば特徴も違うんだね!

直江クン
直江クン

それぞれに独自の進化をしている訳だね!

 

こちらは「オウムガイ」という軟体動物で、タコやイカと同じ部類に入る”頭足類”の生き物でもある。ただタコやイカは元々あった殻を使わなくなって、進化の過程で快適に海中を泳げるために動いている魚などを捕らえる事が出来るが、このオウムガイは大きく硬い殻に身を包んでいるので機敏な動きが出来ずに、海底に落ちている死骸や殻の残骸などを食べるという。

 

オウムガイは深海で暮らしているイメージを持つ人もいるかもしれないけど、800m以上の深海では水圧によって殻が割れてしまうので、それより浅い場所で暮らしている。またオウムガイは殻内の区切られた空間内にガスを溜めて浮上したりする特性があり、英語名では水夫や船舶の意味であるギリシャ語の「ノーチラス(Nautilus)という名前が付けられている。

 

またフランスの有名な作家:ジュール・ヴェルヌは、世界的にヒットした作品『海底二万里』で登場する潜水艦に、このオウムガイの意味が付けられている「ノーチラス号」と名付けている。

 

 

そしてアホウドリと同様に、何とも見下された名前が付けられているナマケモノ。こちらに飾られていたのは「ミユビナマケモノ」というブラジルに生息していた種が剥製にされた物だが、ナマケモノはこの①ミユビナマケモノ②フタユビナマケモノの2つに大きく分類されている。

 

 

名前からも分かるように①ミユビナマケモノは前後両足の指が3本”となっていて、②フタユビナマケモノは前足の指が2本”(後足の指は3本)となっている。ここに飾られているミユビナマケモノは、日常生活時の大半の時間は木の上で過ごして、排便・排尿の際だけ地上に降りてくるという。

 

またミユビナマケモノはアマゾンのジャングルに生息している事もあって、雨季には水だらけになる為に泳げるという。逆にフタユビナマケモノは、泳ぐ際に頭が水の上に出ないから水の中を泳ぐ事が出来ないとか。

 

ナマケモノの凄い所は殆ど動かない為に、僅かな食糧で生き延びる事が出来る。そして哺乳類では珍しい”変温動物”(外気温によって体温が変化する)なので、基礎代謝量を非常に低く抑える事に成功しているのだ。だから怠け者というよりは、極力活動を抑えて環境に負荷を与えない生活をしているとも言えるのである。

オカン
オカン

それを「怠け者」って言うんじゃないの?!(笑)

 

ただしそんな超低カロリー生活をしているナマケモノも外敵が居て、このような「オウギワシ(扇鷲)という大型の動物食のワシには簡単に捕獲されてしまうという。なお、こちらに展示されていたのは「ヒゲワシ(髭鷲)という翼を広げると、その長さが3m近くもある大型のワシ。このヒゲワシは食べ残された骨を丸呑みして、強力な胃酸で溶かして消化するという特性がある。

 

こちらは「アネハヅル(姉羽鶴)」という、全長約90cmのツル科の中でも小さい部類に入る鶴。そしてこのツルが凄いのが、何と高度5,000~8,000mという酸素が少ない場所も軽々と飛べる能力である。1956年にヒマラヤ山脈登山隊が、その道中に初めてヒマラヤ越えをして飛んでいく鳥を映像で捉えたのが、このアネハヅルだったという。

 

こちらは”世界で一番大きな二枚貝”「オオシャコガイ(大硨磲貝)で、大きな物は体長1m以上、重さは200kgのオオシャコガイが発見されているようだ。そして寿命は100年以上とされているが、中には400年近く生息している個体もいるんだとか。

 

このオオシャコガイは一応肉食だそうだが、一般的にはプランクトンを摂取して生きている。ただし生息地が熱帯でプランクトンの生息数が少ない海域では、体内に自生する数十億とも言われる共生する藻が光合成をした際に発する栄養素を分けてもらって生きているという。

直江クン
直江クン

人間が腸で色んな菌を持っているようなモンだね!

 

こちらは「カブトガニ(甲蟹)」”生きた化石”とも言われる程に古代から生き残ってきた硬い甲羅を持っている海の生物だが、見た目には甲殻類に思えるけど、クモやサソリなどの鋏角類(きょうかくるい)に分類される。また最近の遺伝子解析によると、”クモに近い”のではなく、”クモ網に属する”クモの一種だと判明したようだ。

という事で海から上がってきた生物が再び海に戻って、独自の進化をしたクモがカブトガニだったという訳みたいだ。

オカン
オカン

そしたら「カブトグモ」に名前変えなアカンな!(笑)

 

日本国内では昔から瀬戸内海で多くのカブトガニが生息していたが、近年は環境汚染などの影響で個体数が激減しているようだ。またカブトガニの活動時間の殆どは”休憩”に充てられているらしく、「カブトガニ」改め「ナマケカブトグモ」と名前が変わる日も来るのかもしれない。

 

というように最後に知っている動物の生態系も詳しく勉強して、山形県立博物館見学は大満足だった。動物園や水族館で今まで見てきた事のある生き物達も、こうやってその生態系を深堀するだけで今まで知らなかった知識が沢山手に入るので、これからも”博物見学では手を抜けない”と感じた、今日この頃である。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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