ムンクの叫びなどの19世紀末芸術から、パブロ・ピカソなど20世紀作品が登場【大塚国際美術館旅11】

大塚国際美術館旅行記 2022年6月-11

旅行期間:2022年6月上旬(当日旅)

世紀末!

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『死の島(Die Toteninsel)』

『死の島』(Die Toteninsel)
by アルノルト・ベックリン(Arnold Böcklin)
ライプツィヒ美術館(ドイツ)

広い広い大塚国際美術館の鑑賞は、まだまだ終わらない。ただやっとB1Fの近代絵画ゾーンにやって来て、それなりに見た事のある絵画が増えてきた印象を受ける。

そしてこちらの暗い雰囲気を放っている『死の島』も、ロシアのエルミタージュ美術館で同じ構図の絵を見た記憶が甦ってくる。

 

 

【大塚国際美術館】

住所:徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1
営業時間:9時30分~17時頃(※月曜定休日)
※ただし祝日の場合は営業し、代わりに翌日火曜日が休館
電話番号:088-687-3737
入館料:大人3,300円/大学生2,200円/小中高学生550円
(※前売券大人3,160円/大学生2,140円/小中高学生530円)

●美術館専用駐車場:無料 450台分あり

 

 

 

近代絵画ゾーンにて

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『宿命論(Fatalisme )』

『宿命論』(Fatalisme)
by ヤン・トーロップ(Jan Toorop)
クレラー=ミュラー美術館(オランダ)

こちらは当時オランダ領だったジャワ島出身で後にオランダに移り住んだ「ヤン・トーロップ」という、19世紀末前後に活躍したオランダ画家の作品である。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『三人の花嫁(The Three Brides)』

『三人の花嫁』(The Three Brides)
by ヤン・トーロップ(Jan Toorop)
クレラー=ミュラー美術館(オランダ)

ヤン・トーロップの作品に描かれる女性像は、ちょっと風変わりな雰囲気を醸し出していて、独特なオーラを出しているようにも感じた。幽霊ぽっく、人魚チックでもあり、また顔つきが芸者っぽいような印象を受けた。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『陰謀(The Intrigue)』

『陰謀』(The Intrigue)
by ジェームズ・アンソール(James Ensor)
アントウェルペン王立美術館(ベルギー)

こちらは19世紀末前後に活躍した、ベルギーの画家「ジェームズ・アンソール」の作品。

アンソールはブリュッセルの王立美術アカデミーで学んだ後は、実家に戻って屋根裏部屋をアトリエにして活動した。そして当時は”花の都”としても多くの芸術家が集まっていたパリなどには興味を示さず、ひたすら自分の世界観に没頭した。

 

その為に当時の流行った芸術作風などの影響を受けずに、アンソール独自の世界観が溢れる作品が多いという。

 

「ムンク」ゾーンにて

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『ムンク』コーナー

そして19世紀末前後に活躍した画家の中でも、左側に見える作品を制作した超有名画家作品が展示されているゾーンにやって来る。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『叫び(The Scream)』

『叫び』(The Scream)
by エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)
オスロ国立美術館(ノルウェー)

こちらが有名な1893年にノルウェーの画家「エドヴァルド・ムンク」によって制作された、世界的に有名な『叫び』である。

 

ムンクの『叫び』というと盗難事件に遭った事で有名になったが、この最初に描かれた油絵以外に、リトグラフやパステルなどで同じ構図の絵が計5点が描かれている。その中で盗難事件に遭ったのがこの油絵とテンペラ画で、実際には2度も盗難に遭ったようだ。

オカン
オカン

もっと普通の絵を盗めばエエのにな・・・

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『マドンナ(Madonna)』

『マドンナ』(Madonna)
by エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)
ムンク美術館(ノルウェー)

こちらもムンクの作品だが、この『マドンナ』という絵画は2004年にテンペラ画の『叫び』と共に、盗難に遭っている。

しかし、その盗難事件から約2年後に無事発見されて、今では再び元あったムンク美術館で展示されているという。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『思春期(Puberty)』

『思春期』(Puberty)
by エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)
オスロ国立美術館(ノルウェー)

美術館に預けているとその管理が行き届いていて安全に思ってしまうけど、意外と世界的な名画は盗難事件や破損事件などが多く起きている。特に絵画の破損事件はその作品に関連がないにも関わらず、犯人の社会的思考などのデモ抗議などに巻き込まれてしまう事が多い。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『生のダンス(The Dance of Life)』

『生のダンス』(The Dance of Life)
by エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)
オスロ国立美術館(ノルウェー)

ムンクは1890年代に流行った”世紀末芸術”を代表する画家で、それまで流行った”リアリズム”から離れて、”心の神秘性”を表す作風が増えていった。見た目をよりリアルに描く時代を経て、そこから人間の内面性を表現する流れになっていった。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『北欧の夏の宵(Nordisk sommarkväll)』

『北欧の夏の宵』(Nordisk sommarkväll)
by リッカルド・ベリ(Richard Bergh)
イェーテボリ美術館(スウェーデン)

絵は写真ではなく、それを描いた作者の心情などが表される絵画である。風景画などは基本的に写真のようにあるがままを写す作品であるが、描く人間によって、同じ物でも大きく描かれたりする。そういった違いが”個性”となり、その個性が大きく集まって、芸術になっていくのだ。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 中庭の景観

ここまでが近代絵画で、これから先の「現代の時代」は本館の地上階へと移動して、見学するようになる。

その際に再び大塚国際美術館の中庭が見えたが、さっき昼食時に高校生たちが群がっていたけど、この15時頃にはすっかり絵画を見飽きたようで、この中庭で時間を潰す姿が多く見られた。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 中庭の景観2

確かに高校生ぐらいの年頃だったら、世界的な名画を目の前にして、特にそこまでの思い入れも興味もないので、見学時間が余って仕方ないのだろう。それよりも、友達とお喋りなどをしている方が楽しいのかもしれない。。

大塚ナルト
大塚ナルト

高校生ぐらいが楽しめる芸術作品があればいいのにナルト!

 

本館2F「現代の時代」にて

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『自画像(Portrait)』

『自画像』(Portrait)
by パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)
ピカソ美術館(フランス)

そして本館2F「現代の時代」フロアにやって来ると、いきなり現代絵画の巨匠である「パブロ・ピカソ」の肖像画が見えてくる。この肖像画はピカソが20歳頃に描いた物らしく、まだキュビズムに目覚める前なので、普通の作風となっている。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『老いた王(The Old King)』

『老いた王』(The Old King)
by ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault)
カーネギー美術館(アメリカ)

こちらは19世紀末前後に活躍した、フランス人画家「ジョルジュ・ルオー」の作品。ルオーはフランスの国立美術学校である「エコール・デ・ボザール」に入学し、アンリ・マティスとも同期であった。

 

またその当時に指導に当たっていたのが「ギュスターヴ・モロー」で、自分の考えを押し付ける指導ではなく、生徒の良さを引き出す教え方をしていたという。それもあって、マティスやルオーは独自の作風を創り上げ、ルオーは後にギュスターヴ・モロー美術館:初代館長になったという。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『イングリッドの肖像(Ingrid, Swedish Daughter)』

『イングリッドの肖像』(Ingrid, Swedish Daughter)
by モイズ・キスリング(Moïse Kisling)
プティ・パレ美術館(スイス)

こちらはポーランドのクラクフ生まれのユダヤ人だった「モイズ・キスリング」の作品。20歳頃にフランスのパリに行って画家活動を始め、第一次世界大戦と第二次世界大戦に従軍するが、ナチスドイツ軍のユダヤ人迫害を逃れてアメリカに渡って、画家生活を続けた。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『マティスの肖像(Portrait of Matisse)』

『マティスの肖像』(Portrait of Matisse)
by アンドレ・ドラン(Andre Derain)
テート・ギャラリー(イギリス)

こちらは20世紀前半に活躍したフランスの画家「アンドレ・ドラン」の作品。

ドランはマティスと美術学校で知り合った事もあって、”野獣派”とも呼ばれる『フォーヴィスム』を代表する画家となった。なお、こちらの作品は親友マティスを描いた肖像画である。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『ポルトガル人(The Portuguese)』

『ポルトガル人』(The Portuguese)
by ジョルジュ・ブラック(Georges Braque)
バーゼル美術館(スイス)

こちらはピカソと共に『キュビズム(Cubism)の創始者の1人としても有名な、フランス人画家「ジョルジュ・ブラック」の作品。ジョルジュ・ブラックはピカソのアフリカ彫刻に惹かれて制作した『アヴィニョンの娘たち』を目の当たりにして、後にキュビズムに傾斜していったという。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『アトリエⅡ(The Studio Ⅱ)』

『アトリエⅡ』(The Studio Ⅱ)
by ジョルジュ・ブラック(Georges Braque)
ノルトライン=ヴェストファーレン美術館(ドイツ)

ピカソの生み出した『キュビズム』は当初、マティスやブラックなどから大きく批判され否定されてしまう。

しかし、後にブラックはその表現力を再認識してピカソに協力し、共同でキュビズムの作品を描くようになったという。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『ピカソ礼讚(Portrait of Pablo Picasso)』

『ピカソ礼讚』(Portrait of Pablo Picasso)
by フアン・グリス(Juan Gris)
シカゴ美術研究所(アメリカ)

スペインの画家「フアン・グリス」はパリに出て、キュビズムの作品を制作していたピカソとブラックのアトリエ近くに住んで、その技法を習得していった。そして、今ではキュビズムを代表する画家の1人となっている。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『赤いエッフェル塔(the Red Tower)』

『赤いエッフェル塔』(the Red Tower)
by ロベール・ドローネー(Robert Delaunay)
グッゲンハイム美術館(アメリカ)

こちらはフランス人画家「ロベール・ドローネー」の作品で、ドローネーは目立った美術学校での教育は受けずに、ゴーギャンやセザンヌなどの作品を参考に独学で学んでいった。そしてフランス人学者が提唱する”色彩理論”を取り入れ、キュビズムから抽象絵画へと作風が変化していった。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『読書する人(La Lecture)』

『読書する人』(La Lecture)
by フェルナン・レジェ(Fernand Léger)
ポンピドゥー・センター(フランス)

こちらはフランス人画家「フェルナン・レジェ」の作品で、キュビズム世代ではあったものの、その作風から後に脱却して、輪郭を太く描いて、明確な色彩を使った作風へと変化していった。

 

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『トランプ遊びをする人々(Soldiers playing cards)』

『トランプ遊びをする人々』(Soldiers playing cards)
by フェルナン・レジェ(Fernand Léger)
クレラー=ミュラー美術館(オランダ)

レジェが活躍していた時代のパリには、今では有名になっている画家が多くアトリエを置いており、パリに居るだけで知らずの内に当時の流行りの影響を受けていたようだ。その為にピカソとブラックが始めたキュビズムにも巻き込まれてその作品を残したが、後に自分らしさを表現する独自の世界観を生み出していく。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『余暇:ルイ・ダヴィッド礼讃( le beau est partout)』

『余暇:ルイ・ダヴィッド礼讃( le beau est partout)』(le beau est partout)
by フェルナン・レジェ(Fernand Léger)
ポンピドゥー・センター(フランス)

絵画もその画家が置かれている環境によって、周りの影響を受けている事が多い。特にパリには世界中から多くの芸術家志望者が集まっており、また今では有名な画家がそこら中にゴロゴロと住んでいただけに、否が応でも何かしらの影響を受けてしまう場所だったようだ。

 

大塚国際美術館 OtsukaArtMuseum 『カーンワイラーの肖像(Portrait Daniel Henry Kahnweiler)』

『カーンワイラーの肖像』(Portrait Daniel Henry Kahnweiler)
by パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)
シカゴ美術研究所(アメリカ)

そして、遂に『キュビズム』を代表するピカソの作品が見えてくる。

その世界でも新しい壁を乗り越えて進んで行ったパイオニアは、どれだけの苦難があっても、何とか這いつくばってでも進んで行ってやり遂げた人物である。

そんな『キュビズム』を生み出したピカソの作品を、これからジックリと見学していくのである。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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