九州縦断旅行記(秋)2020年-㉟
旅行期間:2020年10月24日~28日
(At high tide, three underwater torii gates appear to float in the Ariake Sea.)
車のカギは掛けましょう!
佐賀県鹿島市の祐徳稲荷神社を出発し、佐賀県でも有明海に沿って南下する国道207線を走っていると、干潮時刻頃で水かさが少なくなっている有明海の様子が左手に見えてきます。
佐賀県太良町の海岸にて
この有明海(南側は島原湾とも呼ばれる)は九州で最も大きい湾になっていて、福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県と4つの県に跨っており、九州の中でもとても存在感のある場所となっている。そしてこの佐賀県太良町付近では、干潮時に最大6mぐらいも水面が低下するらしく、ちょうど訪れた時にはこのように干潮時で海底が露出している光景に出くわす。
有明海は大きな内海だけど、九州で最大の川でもある筑紫川など色んな川が流れ込んで来るのもあって、塩分濃度が海に比べると薄くて、海とは違った生態系になっている場所。
そして有明海の奥を見ると沢山の船が並べられており、これらはこの有明海名物の海苔を採る為の船だという。その奥に見えている海中に立っている柱はノリ網の支柱群で、有明海で採れる海苔は日本国内の約4割に当たる生産量だそうだ。
そして”北九州市の小便小僧”と別名を持っていそうなエロ坊主オジサンが、そんな有明海に向けて放水作業を行っていた。エロ坊主オジサンの放水作業はよく見かけるシーンだけど、この綺麗に晴れ渡る空と有明海をバックにすると、より芸術的な絵にも見えなくもないような・・・。
う~~ん、どうやっても下品なオジサンにしか見えない・・・
大魚神社の海中鳥居
それから有明海を左手に見ながら海岸線を南下して車を進めていると、海岸沿いに立ち並ぶ赤い鳥居を発見したので、ここで少し寄り道をしてみる。こちらは「大魚神社の海中鳥居」という、普段は水中に半分以上浸かっている鳥居が、干潮時にこのように姿を現す場所だそうだ。
ここにあった鳥居は勿論神社の鳥居で、国道207号線の反対側には「大魚神社」があって、その鳥居のようだ。この鳥居が並んでいる先の方には「沖ノ島」という小さな島があるようだけど、その島は有明海が満潮時には水面下に沈む島でもあり、その沖ノ島が昔からこの地域の人達の信仰の対象になっていたという。
そんな沖ノ島には「沖の神」という神様が宿っていると、昔の人々は信じていた。またこの沖ノ島は男島と女島という2つの岩礁に分かれており、男島は女人禁制だとされている。
大魚神社の海中鳥居 動画①
この鳥居のある大魚神社の由来は、ある説によるとこの地方に居た悪代官を懲らしめる為に地元の住民がその悪代官を沖ノ島まで連れて行って、そこで接待の宴会を開いた。そして酔っ払った悪代官を置き去りにして作戦通り孤立させたが、困った悪代官は龍神様に助けを求めた。すると沖ノ島に大魚(イルカの一種)が表れて、その背中にしがみ付いてこの海岸まで逃れてきた。その後悪代官は命を助けてもらった大魚に感謝して大魚神社を建立し、更には沖ノ島に向かって鳥居を設置したとか。
ここは鳥居だけではなくて、奥に見えている道も干潮時にのみ顔を出す道路となっている。この道の奥に漁場があるらしく、そこを行き来するだけの道となっていて、勿論満潮時には海に浸かって電柱の上側しか顔を出さない道路となっているようだ。
この有明海では牡蠣の養殖なども盛んな為に、足元はご覧のように貝だらけとなっている。
昼飯はこの辺りにある屋台で、焼き牡蠣を食べようや!
有明海は平均4~5mは干潮満潮時の水位に差があるらしいけど、この干潮時の景色だけ見ているとこの鳥居の大部分が水に沈むとは思いにくい光景。
こちらが実際に満潮時に水中に浸かってしまっている、大魚神社の海中鳥居の写真。これも知識が無いと有明海の奥に向かって続いているようにしか見えないけど、実際にはこの先にある沖ノ島の方向を向いて鳥居が設置されているのである。
こちらはこの脇にあった水上道路で、こちらも満潮時になってくるとこのように水位が上がってきて通行禁止となる。しかしこんな場所にでも人間は道路を造って、しかも電柱まで立てて電力を奥の方に送っているのはさすがだと思ってしまう。
そんな大魚神社の海中鳥居の写真や動画を撮りながら景色を見ている間に、エネルギッシュな朋ちゃんは既にこの鳥居の先まで行ってから折り返して戻って来ていた。
もう奥まで行って、見てきちゃったよ~!
それにしても人類はこんな海中にまで鳥居を設置しようと思う発想が凄いと感じる。しかしそれだけ昔の人達が神様に対する信仰心が強かったという証拠でもあるのだろう。
この先にある沖ノ島は干潮時のみ姿を現して、満潮になるとその姿が水面下に消えてしまう。なので現れては消えるという、簡単に捉えられない存在だったので、それを神様と同一視して単なる島を神様が宿る島にしてしまったのだろうか。
今では太良町の写真スポットにもなっている、この大魚神社の海中鳥居。昨今流行りのインスタ映えスポットとしても、若者達にも人気の場所となっているようで、この時も若い世代が訪れている姿を多く見かけた。
大魚神社の海中鳥居 動画②
普段都会に住んでいると、海には潮の満ち引きがあって水位がこれだけ大きく変動するとは想像も出来ない。特に内海の有明海でもこの太良町周辺は、有明海の中でも一番潮の満ち引き差が大きい場所。
旧約聖書で預言者モーセがヘブライの民を連れて約束の地カナンで向かう際に、紅海を背に追撃してきたエジプト軍に襲い掛かられる寸前に、モーセが神の力によって海を割ってその道をヘブライの民が通って逃げたという有名な話があるけど、それもこんな潮の満ち引きが影響していたのかもしれないな。
潮が満ちてくるとこの辺りは海底となる場所なので、何か普段見れない物が落ちているのかもしれない。奥ではそんな地面を見ながら、キャ~キャ~と騒いで楽しそうにしている女子達を見かける。
鳥居というのは神様の通り道というけど、実際にこの鳥居を神様が通り抜けている光景を見かけた人はいないし、そういう事を科学的に裏付ける証拠もない。だけど信仰深い人は鳥居などは神様の通り道として、真ん中を通らずに端っこをわざわざ通り抜ける人もいる。
この潮の満ち引きというのは、地球が起こしている自然現象ではなくて、地球から遠く離れている月の引力によって起きている現象である。あれだけ遠く離れている月の引力が、ここ地球上の海の水を引っ張っているという。なので「人は1人で生きている訳じゃない!」という言葉をたまに耳にする機会があるけど、この地球も地球だけで存在している訳ではなくて、遠く離れた月や太陽の影響を大きく受けているのである。
そんな干潮時に現れた海底には、このようなカエルの顔をしたような岩が顔を覗かせていた。干潮時にしか見れない岩だけど、満潮時に別にここを移動している訳でもない。ただ水面下に行ってしまうだけで見えないだけなのである。
既に海中鳥居の奥まで到達して帰ってきていた朋ちゃんは、時間を持て余すように周囲の写真を撮っていた。
そしてそんな朋ちゃんが撮った写真が、こちらの有明海の干潮時にひょっこりと現れた、派手でカラフルな服に身を包んだ吞気な男が写っている。派手なデザインやカラフルな服を普段から来ていると、その利点に気付く。というのもそのような服を着ていると、遠くから目立つという事だ。だからボクを探してもらう場合でも簡単に見つける事が出来る。だから過去に海外ツアーで知らない街を巡っている時でも、ボクのカラフルな服を見てツアー参加者さん達がボクを目印に付いて来ていた事があった。
そして散々海中鳥居の写真を撮り終わって車の方に戻ると、この旅で一番記憶に残ったハプニングシーンと出くわす。全然写真を撮らないエロ坊主オジサンが先に車に戻っていたのだけど、実はこの車はボクらが借りていたレンタカーではなくて、全く他人が乗って来ている車だったからだ。
ホンマか、てっきりこの車だと思い込んでたけ、北九州市ナンバーやし!
この決定的なシーンを更にエロ坊主オジサンの顔をアップにして、切り抜いてみた。全く知らない他人の車に乗り込んだクセに、悪びれない顔で笑顔を見せていたエロ坊主オジサン。
我ながらこの珍場面を写真に収めた自分を褒めてあげたい!
みんな鍵を掛けずに車を離れるんやね~!
こちらは今回借りて走り回っているレンタカーだけど、気を付けていればそう簡単に間違えないような気はするけども。。まあ同じコンパクトカーで似たような色系統だし、鍵も掛かっていなかったので他人がもし乗り込んでいたとしても、それはドライバー側の問題だろうし・・・。
もし私がこの車の持ち主だったら、警察に通報してるわよ!
という事で何とか警察に通報される前にエロ坊主オジサンを連れ出す事に成功したのだったが、逆にそのままエロ坊主オジサンを放置して、この車の持ち主が帰ってきた時にどういったリアクションをしていたかを見る機会を失ったとも言えるのであった。。
オレが善良な市民なのは、見ただけで分かるけ!
こんな旅はまた次回に続きます!
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