大分県の稲積水中鍾乳洞で、洞窟の天井に穴が空いている謎【九州縦断秋旅行記57】

九州縦断旅行記(秋)2020年-57

 旅行期間:2020年10月24日~28日
(Mystery of the hole in the ceiling of the cave at the Inazumi Underwater Cave in Oita Prefecture.)

水の力の凄さ!

ここは大分県の西側にある「稲積水中鍾乳洞」という、何億年も前に洞窟が出来た鍾乳洞。そしてその後に石灰岩の成分を含んだ水分が垂れてきて、それらが目の前に見えているような鍾乳石を形成していった。しかしこの稲積水中鍾乳洞の特徴的な所は、ここが普通の鍾乳洞ではなくて、鍾乳洞が形成された後に大量の湧き水が噴き出てきて、鍾乳洞内が水で満たされてしまった”水中鍾乳洞”となっている所である。

 

 

 

稲積水中鍾乳洞を進む!

普通の鍾乳洞はよく全国でも見られるけど、この水中鍾乳洞というのはあまり見かけない。そしてこの水中鍾乳洞は洞窟内を大量の水が流れていく事によって、その水の流れによって鍾乳石などが浸食されて削られていき、普通の鍾乳洞内とはひと味違う景観となっているのだ。

 

この稲積水中鍾乳洞が観光用として開発されたのは約40年程前の事。それまでは洞窟内には湧き水が大量に流れていて、普通に進むのも困難な具合で、潜水道具を付けたダイバーが洞窟内を調査した位に水が多かった場所。

 

この鍾乳洞内は一本道ではなくて、Y字になっている。まずは順路を無視して右側の「水中洞」を見て来たので、分岐路に戻ってきて反対側のコースへと向かう。

 

よく国内でも見られる鍾乳洞はもっと尖がった鍾乳石などを見かける事が出来る。ここ稲積水中鍾乳洞も湧き水が洞内に溢れるまではそのような鍾乳石の光景が見られたと考えられているが、その後に流れて来る水によってそんな鍾乳石の表面が削られていき、どちらかというと滑らかな外観の鍾乳石ばかりとなっている。

 

今でも1日に約7トンという湧き水が出てくる稲積水中鍾乳洞。約9万年も前に阿蘇山カルデラが大噴火した際に、噴き出てきた火砕流が近くの川に堆積した為に、そこを流れている水が行き場を無くして、地中に染み込んでたまたま近くにあったこの鍾乳洞内に湧き出てきたという。

 

それから約9万年間に渡って、この洞内には大量の水が溢れていたので、このように見られる鍾乳石の跡は、それ以前に形成されたものとされている。鍾乳石は水中では形成されないので、水が洞内に無い時代に造られたという訳である。

 

 

稲積水中鍾乳洞を進む① 動画

 

 

この洞窟が発見されたのはまだ最近の事で、江戸時代頃までは水嵩が減っていなかったので認識はされていた形跡があるけど、実際に水中に入っての調査が行えなかったのでそのまま放置されていた。しかし現代になって潜水道具などが開発された事もあって、潜水道具を身に着けたダイバーが潜水調査を行った所、全長1,000m以上に及ぶ穴が確認されたという。

 

この洞窟内の観光できる場所は歩きやすいようにあまり高低差が無いけど、この洞窟自体はそんな観光客用に合わせて約数億年前に造られたものではないので、所々に大きな穴が空いていて、そこから色んな方向に穴が伸びているのである。

 

普通の鍾乳石であれば、天井部分にツララのように尖がった鍾乳石が見られたりするけど、ここ稲積水中鍾乳洞ではそんなツララ状の鍾乳石は何万年もの長い間、流れて来る水に表面を削られ続けて、意外と見る事が出来ない。またこんな天井部分に穴が空いているのは、ここまで水が流れてきていたという証だという。

 

先日北九州市で訪れた「千仏鍾乳洞」では、奥の方は足元に水が流れて来ており、サンダルを履いて足首まで水に浸かりながら進んで行ける体験が出来たけど、ここではそんな少し楽しめる様なアクティビティはなくて、普通に鍾乳洞内を散策するだけとなっている。

 

 

こちらは「仏の里」という名前が付けられており、仏像のような物が置かれているのが見える。勿論これは鍾乳石ではなくて、普通の像のように見えるが。。

 

 

さらにはその仏像の手前には、賽銭箱が見えている。昔からある鍾乳洞では、色んな箇所にそれぞれの名前が付けられているけど、ここはそんなに古い鍾乳洞でもない割に色んな名前が付けられている箇所が見られた。

 

以前ポーランドの世界遺産である「ヴィエリチカ岩塩坑」を訪れた時には、洞窟内に造られている教会などを見かける事が出来た。ヴィエリチカ岩塩坑は自然に出来た洞窟ではなくて、人が何世紀にも渡って掘り続けてきた長くて深い採掘坑なので、採掘者の為の祈りの場所があるのは分かるけど、ここは自然に出来た洞窟なのでそういう意味合いではないのかもしれない。ここを訪れる人達に万が一の事が起きないようにという祈りを捧げる為のものだったかも。

 

 

このように通路は歩きやすいように地面は整えてくれているけど、天井部分はそのままになっているので、たまにはこのように身を屈まないと通れない場所もある。なのでよそ見ばかりしていると、このような岩に頭をブツけてしまう事になる。

 

このように洞窟天井には、所々に穴が空いているのが見える。これらもなんと流れ込んできた水が作った穴だというが、にわかには信じられない。洞窟の下側や壁部分だったら水の浸食で削れられるのも分かるけど、このような天井はどうやって水に削られて穴が空くのだろう。。

 

 

稲積水中鍾乳洞を進む② 動画

 

 

そして洞窟内にはこちらの壺が置かれていて、そこには沢山の硬貨が放り込まれているのが見える。見た所は1円~10円玉が殆どだけど、ここに来たお参り的な感じで壺に硬貨を投入していくのだろうか。

朋ちゃん
朋ちゃん

入場料金ぐらいは入っているかな~?!

 

この鍾乳洞はY路になっており、それぞれに200~300mとなっているけど、途中の景色などを足を停めて見たり写真を撮ったりしていると、奥まで辿り着くのに意外と10分前後を要する。

朋ちゃん
朋ちゃん

写真を撮り過ぎなのよ~!

 

この鍾乳洞は常に洞内16~17度程の温度になっており、夏場などには快適な場所となっている。このような岩場は夏場には涼しく、冬場には熱を持って温かいので、大昔の人は大岩をくり抜いて住居を造っていたりもしていたという。

 

そして進んで行くと、誰かが工作で作ったような貝殻で作った照明が見えてくる。貝殻も中に照明を入れて暗い場所で点灯すると、このような雰囲気ある照明に変わるようだ。貝殻というと有明海沿いの浜焼き屋で、食べ終わったヒオウギ貝の貝殻を持ち帰ったので、帰ってからそれで照明を作ろうとこの時は思っていたけど、結局家に帰るとそんな照明を作る気がなくなってしまって、貝殻もどこかに行ってしまったのである。。

朋ちゃん
朋ちゃん

旅行先ではいいなと思っても、いざ家に帰って面倒くさいと思うとダメよね~!

 

 

こちらは「名残りの池」という名前が付けられている。こちらの道はあまり池のように水が溜まっている箇所が見られなかったので、湧き水の大半が取り除かれてしまった場所だったかもしれない。

 

だから本来はこの辺り一面に水が流れていたのに対して、その名残りを残す池のような存在としての名前が付けられていたのかもしれない。

 

この鍾乳洞内も所々に照明が設置されていて、その照明の電源用ケーブルがそこら中に延びているので、その景色を見るとあまりいい雰囲気は感じない。。

 

しかしそれにしても面白い形が続く鍾乳洞。最近のスマホに搭載されている顔認証システムを使えば、誰かの顔として認識してしまいそうな顔のようにも見える様な。。

 

 

天井がボコボコに穴が空いた「ベルホール」

そして奥に進んで行くと「ベルホール」という、この鍾乳洞の中でも見せ場の場所に差し掛かる。この鍾乳洞内でも人気の場所らしく、照明が多めに取り付けられている様子が見えてくる。

 

ここは先程も見られたように天井に、丸いボコボコとした穴が多く見られるポイントとなっている。どうもこの洞内に流れ込んできた水流がこの辺りで渦を作って、その渦巻き状の水の流れで石灰岩にこのような丸い穴が空くんだとか。

 

 

水流もみんな同じ方向に行儀よく流れていく訳ではなくて、流れ込んできた場所によって流れるスピードなどがまちまちで、それら動きの違う水が絡まるとこんな洞内でも小さな渦潮が出来るようだ。

 

このような光景は普通の鍾乳洞では見られずに、この水中に沈んだ水中鍾乳洞だけでしか見る事が出来ない景色でもある。

朋ちゃん
朋ちゃん

わざわざここまで来た甲斐、あったでしょ!

 

しかしそんな穴もこのようにブルーライトで照らすだけで、なんとなく神秘的な感じに見えてくる。人間という生き物は視覚で捉えた色によって、自分の感情が動かされてしまうという。だから赤いTシャツを着ていると血の気が上がったり、黄色のTシャツを着ていると幸運な感じの印象を受けるようだ。

 

大昔の人達がこの鍾乳洞内の景色を見ていたら、「神様が創った穴」という風に崇めた場所になっていたかもしれないけど、科学の発達した現代ではそんな神様というまやかし話は根拠のない物として相手されずに、冷静に渦潮が出来て削られた穴と鑑定されているのである。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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2020年10月下旬に訪れた、福岡県から開始して佐賀~長崎~大分~熊本を巡る旅の開始。なお今回は旅仲間と巡りますが、初日の福岡巡りは前乗りという事もあって、1人で巡ります!
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