福岡アジア美術館で見た、独創的なアート作品の数々【九州縦断秋旅行記⑤】

九州縦断旅行記(秋)2020年-⑤

 旅行期間:2020年10月24日~28日
(Creative artworks at the Fukuoka Asian Art Museum.)

これもアート作品!

ここは博多の街の中心部にあるビルの高層階に設置されている「福岡アジア美術館」。主にアジア人のアーティストの作品が展示されている美術館で1999年から福岡市が運営しており、アジア人の作品にこだわって収集されている美術館としても世界的にも有数の場所らしい。

 

【福岡アジア美術館】

住所:福岡市博多区下川端町3-1
リバレインセンタービル7~8階
営業時間:9時30分~19時30分頃(※定休日:水曜日)
電話番号:092-263-1100

 

 

 

福岡アジア美術館での見学は続く!

今までは絵画の作品がメインだったけど、それ以外にも造形作品なども沢山展示されているので、ここまであまり芸術に敏感じゃない人間でも充分楽しめる場所ともなっている。

 

次の作品は真っ白の芸風となっている物だけど、これもここに展示されているという事から分かるように勿論立派な芸術作品である・・・・と思う。。

 

こちらの韓国人画家による作品で日本にも滞在していた時期があり、この作品はそんな日本滞在時に制作されたものらしい。そして近寄って作品をじっくり見てみると、このように細かい破片が無数に貼られて仕上げられている作品のようだ。

 

エルミタージュ美術館に行った時は、この作品とは全く逆に真っ黒の絵を見たけど、一般人には理解しがたいセンスでなければこのような真っ白な作品は作れない。

 

こちらの作品は碁盤上に裁断してから、それを白く塗ってからは剥ぐという工程を何回も繰り返して作られたようだ。なので思っている以上に労力が掛けられている作品のようで、見ている側からは計り知れない程の苦労がこの白い絵の裏側に隠されているようだ。

 

そんな白い絵に比べてしまうと、こちらの絵は大したことのないように見えてしまう構図の絵。こちらの作者はバングラディッシュ人で、”バングラデシュの近代美術の開拓者の1人”とも称されている人物らしい。

 

こちらのバングラデシュ人の作者も日本に留学している時期があったようだ。このような画家なども生まれてから同じ場所でず~~っと生きているよりも、色んな世界に飛び出ていって、色んな世界を幅広く見ている人の方がより独創的な絵を描く事が出来るのだろうか?

 

お次の絵画も何か暗号が隠されているかもと思って疑ってしまうような絵にも見える。色鉛筆ケース内に入っている全部の色鉛筆を無理やり全部使って描いてみた絵画にも思えるけど、縦線と横線だけで独自の世界観を演出しているようだ。

 

 

遠くから見ると黄色などの明るい色が目立って見えていた印象があるけど、近寄ってみるとそんなに明るい色ばかりではないようだ。しかし遠ざかって見てみると個人的には明るい色しか目に付かない。それだけに真っ黄色の色の存在感が表れている絵なのかもしれない。

 

こちらの彫刻作品は椅子のようにも見えるし、椅子が人に擬人化したような作品にも見えるし、単なる灰皿かもしれないが・・・。

 

こちらの作品はインド芸術界で現代彫刻を代表する人物が制作したもので、小舟に乗る抽象化された膝を抱く人のイメージだそうだ。インドでは死んだ人をインダス川などに流す風習があるけど、まさにそんなインドらしさが表れている作品である。

 

次の作品は鮮やかな色遣いがされている作品で、ボクがよく着るTシャツの色合いに何となく似ているような気がする作品である。特に黄色や赤色というのは、とても印象を与え付ける色なので個人的には大好きな色である。

 

こちらの作者は大学で政治学やアジア史を学んだ後に絵を描き始めたという、珍しい文系の経歴を持つ人物だという。そして50か国以上を旅して、全国の民芸品などを組み合わせて世界の人々が交わっているような印象を与えてくれるような気がする作品のようだ。

 

次の作品もまた読解力が要りそうな作品となっている。こういう作品の場合は遠めで見るよりも、近くに寄ってじっくりと見物してみる方がその作品を読み解きやすいような感じがする。

絵心の無い人間が評しているので、適当に聞き流してください!

 

このように近くから眺めてみると、遠目からには全然分からなかったような細かい十字の線が沢山見えている。ただこちらの作者は上海在住の中国人らしく、キリスト教徒のように十字架に意味合いを見出している西洋人って訳ではなさそうだ。

 

この作者曰くは「十字とは、内容のない、絵画の象徴性の反対」にあるものだと言っているという。この作品も何重にも機械的に十字がペイントされているけど、基本的には金赤系の色が好きな人なんだろうか?

 

次の作品は一見アート作品のように見えないけど、これも立派な現代アート作品である。なおこの作者はパキスタン人で、建国記念日に行われた航空ショーを見ているパキスタン人の観客を再現している場面である。

 

こちらの絵は実はインド映画のワンシーンを何枚も繋ぎ合わせて、このように遠目から見たら写真のような景色に見える作品だという。映画のワンシーンを張り合わせたからと言って「このような写真に見える訳がないだろう!」と思うかもしれないけど、写真も50倍に拡大するルーペなどを使って見てみると、実は細かい色の付いた点の集合体なのである。

 

このようにアート作品は遠めで見た場合と、近くから見た場合でその作品がガラッと変わるものが多い。特にこの作品はその違いを用いて、パキスタン人の皮肉を作品内に籠めているという。

 

ここまで近寄って見てみると、さっきまで綺麗に人の顔に見ていたハズなのに、ここからだと何かバラバラの写真が貼られているように見える感じになってくる。

 

 

もっと近くまで寄ってみると、このように本当に映画のワンシーンを張り合わせて、さっきの写真のようなアート作品に見えていたのがハッキリと確認できる。人間の目で見えている物は意外とアテにはならなくて、実は不完全な情報しか見えていなくても人間は勝手に脳みそがその不完全な物を自分にとって意味合いのある物に変換してしまう、素晴らしい機能を備えているのだ。だから本当は写真のように見えないツギハギのシーンの塊が、如何にも人のように見えてしまうという訳でもある。

九州チャン
九州チャン

蜃気楼の幻が見えるのも、人間が欲している景色を脳が創り出しているからタイ!

 

なおこの作者がこの作品に籠めた皮肉というのは、パキスタン人を表している作品だけど、よ~~く見るとそれを構成しているのはインド人だという事。という事でパキスタン人もインド人も基本的には変わらない同じ人間だという事を、暗示しているようだ。というか今でこそパキスタンという国が存在していてパキスタン人と区別されているけど、イギリス植民地時代までは今のパキスタン人も同じインド人だったのである。

では何故インド人とパキスタン人に今は分かれているかというと、イギリスからの独立を目指してガンジーが興したインドの独立運動で見事独立を勝ち取ったインド人達であるが、そのインド人の中では大半がヒンズー教徒で少数がイスラム教徒であった。その独立運動の最中にもインド人少数派のイスラム教徒が同胞のヒンズー教徒インド人に差別されて迫害されたりしており、インド人のイスラム教徒代表が、インド人のイスラム教徒の為の国を別に建国したのである。その新しくインド人のイスラム教徒の為の国がパキスタンなので、他民族からすると信じる宗教が違うだけの同じインド人なのであるが・・・。

ブッダ君
ブッダ君

宗教の問題は大きく人を引き裂く事にも繋がるのじゃ!

 

こちらもインドの近くで内戦を長く経験したスリランカ人の作品。スリランカには2020年2月のコロナ禍騒動が大きくなる前に訪れたけど、スリランカに実際に足を運ばなければ彼らの国での内戦の理由を理解できる事は無かっただろう。

 

スリランカの場合はインドのパキスタン人との関係とは少し異なり、スリランカは元々シンハラ人というライオンから生まれた王様の血を引く民族が先住民だと考えられている。そんなスリランカには歴史的に紀元前からインド南部のタミル人が、海を渡って度々スリランカに攻め入って来ていた。

 

そんな歴史もあって島国であるスリランカには大半がシンハラ人だけど、少数のタミル人が一緒に暮らしていた。ただスリランカ人の大半を占めるシンハラ人は、タミル人を自分達より身分の低い民族と見る風潮が昔から続いていた。そんなスリランカは15世紀にポルトガルの植民地となり、その後はオランダ、イギリスと支配権が移っていった。

 

そしてイギリスの植民地となったスリランカでは、紅茶のプランテーション農園の過酷な働きとして、貧しいタミル人の多くが登用されるようになる。しかしタミル人は労働者ながらイギリス人と接している内に英語を習得し、イギリスの植民地化では勿論英語を話す者が重用されていき、重要な役職には英語を話せる人間しか付けないようになって、タミル人の立場が一気に上がる事になる。それに対してシンハラ人は昔からスリランカに居た民族というプライドもあり、この板に書かれているシンハラ語を頑なに守ったので、英語を話せないシンハラ人の政治的な居場所がドンドンとタミル人に奪われていったのである。

 

そのシンハラ人の長年のタミル人に対して持っている苛立ちや恨みが遂に爆発して、シンハラ人とタミル人の大規模な内戦に突入したのである。そのスリランカの内戦はナント20年以上も続く長い戦いとなり、多くのスリランカ人が内戦の被害となって死んでいったのである。そういった悲惨な内戦に対して、この作家の投げかけが表れている作品なのである。

 

日本の場合は歴史的に言うと、支配される側よりも他国を支配している時期の方が長かったし、同一民族国家なのでそういった内戦などについて疎い民族でもある。しかし世界中では日本人からしたら「些細な問題なのに・・・」と思うような事でも、血を争う戦いを現在もまだ繰り広げているのが現実なのである。

 

こちらはパキスタン人作家の作品で、こちらも政治的な主張が籠められている作品のようだ。ちなみにこの赤色はイスラムの祭りの際に殺したヤギの血だそうで、十字架に配置された写真のラインはキリスト教を暗示しているという。

 

義務教育の学校教育で教えられる歴史ってのは、あくまでも大まかな歴史であって、本当に知っておいた方が良いという知識は教えない事が多い。中世のヨーロッパで聖地奪還を合言葉に集まった十字軍だけど、実際には金で雇われた傭兵や罪人の集まりで、聖地を開放する名目よりも支配権を伸ばしてきていたイスラム人を虐殺する為の団体だったのでもある。

エロ坊主オジサン
エロ坊主
オジサン

そういった事は立場によって見方が異なるので、難しい問題やけ!

 

この作品もスリランカ人の作品で、内戦で子供を亡くした母親のイメージが描かれているようだ。特にスリランカの内戦をネットで調べていると、子供を亡くして号泣しているオバさんのような写真を何枚も見たけど、そのような写真もそれを載せている人が意図を持って載せているので、先入観を持ち過ぎて見てしまうのもあまり良くないのではあるが・・・。

 

この作品は絵画単体だけではなくて、足元にはドラム缶も用意されていて、どうやらそのドラム缶もセットになっている作品のようだ。

そのドラム缶の写真も撮っているけど、その写真は次の回に載せます。。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

よければ下記ブログ村のボタンをポチッとお願いします!

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 旅行ブログ 国内旅行へ

↓↓↓↓九州縦断(秋)旅行記:初回↓↓

再び始まる、福岡~佐賀~長崎~大分~熊本の九州旅【九州縦断秋旅行記①】
2020年10月下旬に訪れた、福岡県から開始して佐賀~長崎~大分~熊本を巡る旅の開始。なお今回は旅仲間と巡りますが、初日の福岡巡りは前乗りという事もあって、1人で巡ります!
タイトルとURLをコピーしました