廃線を再活用して観光客を楽しませる、高千穂鉄道の駅を訪れる【宮崎旅行記㉓】

宮崎県旅行記2020年-㉓

 旅行期間:2020年10月18日~22日

かつて栄えた場所

ここは1972年に延岡とこの宮崎県高千穂との間が開通した(元々は1935年に延岡周辺で開業)、高千穂鉄道の「高千穂駅」だった場所。しかしその後高度経済成長期を経て、少子高齢化問題や都会への人口流出などによって人口が減った宮崎県。その影響をモロに受けて、高千穂鉄道の利用者が激減した為に2008年をもって廃線となってしまった。

 

 

高千穂あまてらす鉄道:高千穂駅を訪問

しかしそんな過疎化にあえぐ高千穂を救うために、この廃線となった高千穂鉄道の一部路線を利用して「グランド・スーパーカート」と呼ばれるトロッコ列車を運行する高千穂あまてらす鉄道が新たに設立された。

 

【高千穂あまてらす鉄道】

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1425-1
営業時間:9時40分~15時40分 1日10便(※定休日:毎月第3木曜日/他)
電話番号:0982-72-3216

 

 

この高千穂の人達が行動を起こさなかったら、今頃は廃墟になっていたハズの高千穂鉄道の駅。元々は日清戦争の時に軍需物資を宮崎県から熊本県へと運ぶ目的で敷設された鉄道だったけど、第二次世界大戦の激化による予算不足で敷設計画は頓挫し、第二次世界大戦後に再び計画が持ち上がるも熊本県阿蘇市の高森駅までのトンネル掘削中(約6500m)に、誤って地下水脈を削ってしまい周囲の住宅に届いていた湧き水が枯れてしまった。この問題があって周囲の住民らに補償を支払いし、結局トンネル掘削計画は途中でヤメになってしまった。

 

今では観光ガイドにも載っていて観光客を集めている高千穂あまてらす鉄道のグランド・スーパーカートだけど、屋根が付いていないカートに乗車するので悪天候の時は運行が中止になるという。なのでこれ目当てに高千穂峡を訪れる人は、事前に天気予報を確認しておく必要がありそうだ。

 

まずは駅の受付でグランド・スーパーカートの乗車体験料金1,500円(大人)を支払う。なお1便辺り30人と乗車人数が決まっているので、もし大勢の観光客がやって来て鉢合わせしたら乗れないタイミングも出てきそうだ。しかし臨時便も用意されているので、団体客がやって来た際は増便される事だろう。

 

日本全国でも過疎化になって苦しむ地方では、人口が少なくなって鉄道の利用客もそれに合わせて減少し、廃線となっていく路線が多い。九州地方ではJR九州が国鉄を引き継いで路線を継承しているが、路線自体は赤字の場所が多く、仕方なしに経費を切り詰めて無人駅やワンマンカーで1日の本数も減らして何とか存続しているというギリギリの状態。

日向夏男
日向夏男

JR九州はテナント収入があるからプラスだけど、JR四国や北海道は壊滅的だね。。

 

今の高千穂駅は人を輸送する鉄道としてではなく、ここを目当てに訪れる観光客を楽しませる場所に生まれ変わっている。なのでこちらでは高千穂鉄道の帽子や上着などを着て記念写真が撮れるコーナーなども用意されているし、職員のオジサンなども気軽に記念写真に応じてくれていたりした。

 

こちらが2008年に廃線となった高千穂鉄道の線路。地方ではよく見かける単線の線路で、駅近くから二股線路になって駅で上下線が入れ替わるようになっている。

 

こちらがグランド・スーパーカート用乗車券で、乗車時間は往復でおよそ30分間。短い距離での運行で1500円とはそれなりの価格だけど、かつて日本一水面から高かった橋の上を渡れるという体験も含まれている。ただし風が強かったらそんな高い橋の上を通行できないので、その時は橋の手前で折り返して戻り500円程返金してくれるとか。

 

 

こちらの案内には切符の種類によって、2つある乗り場が異なると記載されている。といってもホームは1つしかないので、それの右側か左側かの違いだけである。今回の切符は右側に色が付いていない「1号車」用の切符であった。

 

ちょっと高千穂峡や高千穂神社からは離れているけど、思っていた以上にグランド・スーパーカートを乗りにチラホラと観光客が集まって来る。というのも今回の旅用に事前に購入したガイドブック『るぶぶ宮崎』の中にも、この高千穂あまてらす鉄道がしっかりと2ページを使って案内されていた。

と言うボクもその記事を見て来たのですが。。

 

この高千穂駅は1972年に開業した駅で、この高千穂鉄道で延岡以外では唯一の有人駅だったという。それだけ宮崎県の中でも観光客が多く訪れる場所だったけど、人口が年々少なくなる日本、そして宮崎県も年々人口が大きく減っている状態の中では廃線となるのも時間の問題だったのであろう。

 

あまり幅の広くないホームには、このように1号車に乗る人用の案内板が設置されている。しかし発車まではまだ20分近くあるし列車もホームには用意されていない。

 

なのでまだ同じ時間の列車に乗る人達もホームには並ばずに、この廃線跡をフラフラと散策している様子が見える。なお線路の奥には車両基地が造られているので、その建物内も自由に見学できるようになっているとの事。

 

こちらには昔使われていたと思われる黒いトロッコ列車が置かれている。2006年3月に廃線となった線路を活用すべく、地元の民間会社などが協力し「神話高千穂トロッコ鉄道」を設立し、その後に軽トラックを改造して造った「高千穂あまてらす鉄道オリジナルスーパーカート」が最近まで使われていた。そしてこちらの黒いスーパーカートは『初代スーパーカート「天空号」蒸気機関車型』で、ダイハツ製軽トラを改造して造られている。

 

高千穂駅の車両基地にて

さて時間潰しとばかりにこの車両基地も訪れてみる。このコロナ禍では知らない観光客同士でもあまり会話をしてはいけない雰囲気になっていたので、見知らぬ土地での見知らぬ人達との交流があまり出来なくなって、少し寂しさを感じた1年でもあった。

 

この高千穂町は大昔の日本神話を長年語り継いできた町。なので至る場所にこのような高千穂夜神楽で踊られる様子が描かれていたりするのを見かける。こちらも何も描かれていないよりは、このようなペイントを施す事によって観光客向けの写真スポットに変わるのである。

 

こちらは2008年に廃線となった旧:高千穂鉄道で、実際に使用されていた車両「高千穂鉄道TR-200形気動車」が置かれている。なおこの電車は置物ではなくて、今でも不定期に観光用に運行している。それも運転を体験させてくれるようで、事前申し込みが必要だけど参加料金は1人10,000円だそうだ。

 

そんな車両基地にはこのような外観がボロボロで、廃車後数十年が経過したように見える古い車も置かれていた。ナンバープレートは外されていたので今では公道で乗る事が出来ないけど、ここに置かれているという事はもしかしたらまだ動くかもしれない。

 

それ以外にも高千穂鉄道で使われていた、鉄道マニア向けの骨とう品などが置かれているのが見える。昔の人からすると当時は時代の最先端を走っていた黒電話だったけど、今ではまず見る事の出来ない物となってしまっている。

 

このような列車の取り付けられていた看板が展示されていて、鉄道マニアからしたら堪らない場所のようだけど、それ以外の人からしたら”古き良き時代”を感じさせる哀愁が漂う空間となっていた。

 

 

日本では明治時代になってヨーロッパから輸入されてきた鉄道が全国に敷設されて、経済成長を著しく助長させた。しかし今ではその役割もこのような地方では薄くなり、路線の保守メンテナンス費用が掛かる事もあって、代替えのバス移動に切り替わって線路は廃線となっている。

 

こちらは先程古民家カフェ「ねこのしっぽ」に行く途中に見かけたマンホールとは違うデザインになっており、山脈の上に突き抜けるように立っている大きな鳥居の中に、お日様らしきものが顔を覗かせるデザインとなっていた。

 

ここは車両基地なので、このように電車の下に潜れるような構造になっていた。なお先程見た旧:高千穂鉄道時代に使用していたディーゼルカーの下にも入る事が出来て、下から電車の底部分を見れるけど、一応近くに置かれているヘルメットを着用してからの見学となっている。

 

前まで何回か一緒に旅をした甥っ子ちゃんは、昔は熱烈な電車マニアだったのでこういった場所もその当時に来ていたら喜んだのだろうけど、今ではそんな記憶が無いかのように飛行機マニアに変貌を遂げている。ボクからすれば鉄道にも飛行機にも興味が無いので、そこまで夢中になる理由が分からないけど、それだけ興味をソソるものが彼らには見えているようだ。。

 

そして高千穂駅内を散策していると、線路の向こう側から観光用のカートがゆっくりと駅に戻ってくる様子が見えてくる。どうやらこのカートがピストン運行しており、約40分間隔で動いているようだ。

 

 

駅に戻ってくるカート 動画

 

 

こちらがトラクターを改造して造られた「グランドスーパーカート」で、2017年から運行が開始されている車両である。なお元々は1車両定員30名だったが、その後に改良を加えて今では2車両で定員60名となっているようだ(今はコロナの影響で定員30名に減少)

 

この「グランドスーパーカート」は、ご覧のように屋根が無いので雨が降ったら思いっ切り濡れるし、夏の日差しが強い時は直射日光を遮るものがない為に日焼けをする可能性が高い。なので事前にそれを考慮にしたうえで、乗る準備をした方が良さそうだ。

 

そして「グランドスーパーカート」が駅に到着すると、15~20名ほどの乗客がゾロゾロと列車を降りてくる。その様子だけを見ていると、あまりハシャいでいる姿を見ないので「意外と面白くなかったのかな?!」と疑ってしまった。。

 

そしてすぐには列車には乗れずに、乗客が降りた後に新型コロナウイルス対策の一環で消毒スプレーが撒かれていた。このように普通の鉄道ではなく観光客向けの電車の為に、万が一ここから感染者を出したら営業停止となりかねないので、感染対策を徹底していた高千穂あまてらす鉄道であった。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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