尾道(広島)&岡山旅行記2021年3月-⑫
旅行期間:2021年3月某日(3泊4日旅)
文学の街!
ここは尾道にある千光寺の裏側に造られている、「文学のこみち」という尾道ゆかりの小説家達の文学碑が設置されている道。文学が好きな人にとっては楽しめる道だろうけど、逆に文学に興味が無い人からすれば、普通に登り坂となっている場所でもある。
「文学のこみち」にて
文学のこみちでは、このように大きな岩などに文字が彫られた文学碑が20個以上設置されている。特に銅像などはなく、このような文学碑や歌碑などがズラリと並んでいる。
志賀直哉はこの尾道に短い間だけ滞在していた事があり、”文学の街”とも称される尾道では、ダントツの一番推しのような存在である。志賀直哉が尾道に滞在していた時は、この千光寺のある山の中腹に住んでいた事もあって、その代表作『暗夜行路』の中でも尾道の様子が出てくるようだ。
志賀直哉の代表作『暗夜行路』の名前は聞いた事があるけど、実際に目を通した事は一度もない。青森では太宰治など、それぞれ全国に有名な文学者を輩出した街があるが、我々世代はそういった小説などの文学はあまり読んだ事がなく、時代としてはドラゴンボールなどの漫画世代である。
既に千光寺山ロープウェイは営業時間を終了して最終便が終わっていたけど、空のゴンドラが動いているのを見かける。このロープウェイは1台のゴンドラしか用意されておらず、この1台のゴンドラがピストン運航をしている。
こちらは尾道出身「林 芙美子(ふみこ)」の文学碑。この林芙美子も明治中頃から昭和前半にかけて生きた小説家であるが、現代に生きる小説家よりも、昔に亡くなった小説家の方がより価値が出るというか、有難みが出るのだろう。
尾道は小さい街ながらも、目の前に海があったり、近くに山があったりで環境が整った場所でもある。そして瀬戸内海の中でも内海に当たる場所なので、波も穏やかで嵐でもあまり影響がない場所。そういった場所で生まれ育つと、尾道らしい性格となるのだろう。

尾道らしい性格って???
こちらの仏像もしっかりそれぞれにマスクが付けられている。呼吸をしない仏像にマスクを付けてあげても全く効果がないのだが、人間というのはそれを頭で理解しつつもこのような解せない行動をとる事が多いのである。。
尾道の人気撮影スポットにて
千光寺裏から宿泊予定のホテルまで行けなかった(※実は行ける道があったが見つけられなかっただけ・・・)ので、とりあえず階段を降りて再び下の街まで戻る事にした。ただその階段を降りたおかげで、尾道の中でも一番人気の撮影スポットを発見する事が出来た。
こちらには「平山郁夫画伯」の『しまなみ海道五十三次スケッチポイント』というレリーフが飾られていた。「平山 郁夫(いくお)」は広島出身の画家で東京芸術大学名誉教授にもなった人物で、1999年に開通した「瀬戸内しまなみ海道」を祝って、その要所をスケッチしたもの。
そんな場所にもこのように猫ちゃんが、目の前をトコトコと歩いている様子が見られる。野良猫ばかりの街とは違って、地域猫として温かく見守られている尾道だけあって、猫ちゃんも堂々と歩いている姿となっている。
絶景スポットを歩く猫! 動画
そしてここからの景色が尾道を紹介するテレビやパンフレットでも、度々目にする光景となっていた。尾道の街について詳しくはなかったけど、ここからの景色は必ずと言っていい程に写される景色なので見た記憶があった。
そして眼前には室町時代に建立されて、国の重要文化財にも指定されている「天寧寺(てんねんじ)の三重塔」が見えている。室町時代を支配していた足利氏を後ろ盾として、当初は今の三重塔ではなく五重塔になっていたという。しかし後に老朽化もあって、五重塔の2階を外して三重塔に変えられたようだ。
猫好きな人間からしたら、地域猫が沢山可愛がられている尾道の街は聖地にも思える。都会になる程に嫌がられる野良猫が、場所が代われば地域住民達に保護されて育てられている地域猫となる。猫も人間のペットとして飼われていたものが捨てられて野良猫となった猫ちゃんも多く、人類に昔から振り回されている猫でもある。
この辺りの建物では、猫ちゃんが身近な存在となっている様子が見られる。このように猫を意識した装飾が施されている家が多く、この近くには「猫の細道」なる猫好きにはたまらない道も造られている。
ただ地域猫として大事にされている猫も、当然その管理にはそれなりの費用が掛かっている。地域猫の多くは去勢手術が行われているが、その去勢手術を行うにも一匹数万円の費用が発生する。それらの費用が発生しても猫を大事にしてあげたいという気持ちを持っている人が居るので、このような募金やお店などにも立ち寄って多少は献金する必要があるのかもしれない。
それにしても中々の階段ばかりで、この坂道に住んでいる人は毎日この坂道を昇り降りしているので、それなりに足腰が鍛えられていそうに思える。歳を取れば取る程にこのような階段がシンドクなるのだろうが、歳を取っても元気な年配の人達は山登りなどに興じて、自ら足腰を鍛えて元気に生きているイメージがあるが。
この尾道では沢山寺が密集している事もあって、「古寺巡り」というコースも整備されていたけど、個人的には「猫の細道」の方が気になる。都会では嫌われやすい野良猫も、一方で保護猫として管理されていると逆に観光資源になるので、何事も考え様で大きく変わるのである。
尾道の坂道の街では、2000年代に入ってから空き家をリフォームして再開発が行われているようだが、実際には多くの空き家の一部だけしかリフォームされておらず、このようにボロボロの空き家が未だ多く見受けられる。リフォームして再開発するには、その場所にやって来る人が必要であり、新しい需要が発生しない限り、空き家は改装されない。
近年は地球温暖化の影響からか、大型台風やゲリラ豪雨という、今までにあまり発生しなかった天災が増えてきている。それによって放置されて長い年月が経った民家が被災しても、空き家だとそれが修繕される事もなく、そのまま放置されてしまう。
空き家が放置されると犯罪者が逃げ込む場所として使われたり以外にも、このように家屋が崩れてしまって、通行人がその廃材で怪我をする可能性が出てくる。これは尾道に限らず少子高齢化社会となっている日本全国で問題になっているが、その空き家はこれから増々増えていくと考えられている。

早めに子供を増やす施策をしないと手遅れになるぞ!

もう、手遅れかも・・・
天寧寺にて
そしてさっき上から見ていた三重塔のある「天寧寺(てんねんじ)」に向かう。この重要文化財にもなっている三重塔は、室町時代の1388年頃に造られた木造建築物。戦争の時に空襲の被害に遭わなかった尾道だけあって、昔の木造建築物がこのように現代まで残っている。
大きな寺などはだいたいその裏に援助した大物の影が隠れている事が多い。この天寧寺は室町時代に日本を支配していた足利氏ゆかりの寺として発展し、その当時は大きな権力を誇っていたようだ。
このようにただ目の前に見える大きな建造物を眺めるだけではなく、その建物が今に至る背景などについて考察してみると、それはそれで楽しめる。ヨーロッパで勃興したルネサンス文化なども、裏で大金持ちがパトロンとなって資金を捻出していたおかげで、あれだけ発展する事になったのだ。

芸術と浪費は紙一重だけども・・・
こちらは三重塔の内部で、このような仏像が安置されているのが見えた。数百年に渡ってこの尾道の地を眺め続けてきた仏像だけど、その無表情な顔が何とも言えない静けさを醸し出していたような気がした・・・。
さてこの三重塔近くにあるという「猫の細道」へ向かう事にしたが、適当に歩いていても発見する事が出来ずに、そのまま下まで降りてしまった。この坂道の路地は真っ直ぐな道は殆どなく、その大概が曲がったり入り組んでいるので、迷子になり易い道でもある。
そして適当に歩いていると、このようなパンダの顔のデザインとなっている門が見えてきた。パンダの顔にしてもそこそこに適当なデザインに見えたけど、どうやら幼稚園の建物のようだ。
この幼稚園の窓には「ありがとう!また逢う日まで 365 ONOMICHI」と書かれていた。活気が感じられない建物だったので、どうやら閉鎖となってしまった幼稚園のようだった。観光客が増えている尾道ではあるが、年々人口が減少し続けており、このような幼稚園や小学校もどんどん統廃合されていっているようだ。
そして更に進んで行くと、既に閉まっているが「千光寺山ロープウェイ」の乗り場が見えてくる。千光寺まで疲れずに簡単に登りたい人は、ここからロープウェイに乗っていく場所のようだ。なお、このロープウェイ乗り場には観光案内所も併設されているが、ロープウェイの営業が終わる頃に合わせて閉まっていた。
そのロープウェイ乗り場の隣には、「艮(うしとら)神社」という尾道の中でも最も古い部類に入る神社があった。
この神社が印象的だったのは、樹齢900年近くとも言われる大きな楠木よりも、この神社境内の上を千光寺山ロープウェイが通過している事であった。しかも1000年以上も歴史ある古い神社でありながら、よくこの上空をロープウェイが通る事を許可したものだ。
ロープウェイが近くを通過する事によって、そこまで騒音が発生する訳でもないけど、やっぱり敷地内の上空を移動する乗り物があると嫌な感じがすると思う。これは勝手な憶測だけど、ひょっとしたら上空をロープウェイが通過するのに、その対価をもらっているのかもしれない。そうでなければ、尾道の発展の為に身を削って貢献しているのだろうか?
こんな旅はまた次回に続きます!
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