石見銀山で採掘された銀を出荷していた、北前船の寄港地だった温泉津温泉【島根県旅行記30】

島根県旅行記2021年11月-30

旅行期間:2021年11月上旬(2泊3日旅)

最初は読めない漢字!

島根県大田市 温泉津町 看板

世界遺産の『石見銀山』見学を終えてその足でやって来たのは、こちらの「温泉津(ゆのつ)温泉」という温泉街だった。この町の名前の読み方を知らない人からすれば「温泉津(おんせんつ)温泉」と読んでしまいそうだが、意味的には「温泉の有る港」という意味だったので、特に大きな間違いにもならないのだが。

 

石見銀山からこの温泉津までは、車で約30分程、距離にして10数キロの場所となっている。

 

 

温泉津温泉街を散策!

島根県大田市 温泉津町 港跡

この温泉津はかつて北前船の寄港地として栄えた町で、かつ温泉が湧き出る町でもあったので「温泉津(ゆのつ)という名前が付けられたようだ。江戸時代中頃になって、西回りで大坂まで向かう北前船ルートが開発されたおかげで、日本海側からの物資を運ぶ事がそれまでの時代と比べて容易になっていった。

 

島根県大田市 温泉津町 港跡 景色

石見銀山で採れた銀は瀬戸内海の尾道まで運ばれて、そこから海路で大坂などに運ばれていたが、北前船の西廻り航路ができたおかげでその船便を活用して運搬が行われるようになっていった。特に銀という高価な物質は途中で荷物を奪われる危険性があった為に、海上の船便という襲われにくい運搬ルートの方が利点があったようだ。

 

島根県大田市 温泉津町 観光案内所

そんなかつては北前船の寄港地として賑わった町も、陸路の運送網が発展した現代では廃れてしまって、港跡しか残されていない。そんな場所にはこちらの観光案内所も設置されていたけど、ガラ~~ンと静かな雰囲気だった。

 

島根県大田市 温泉津町 観光案内所 マスコットキャラクター

北前船の寄港地としての港は廃れてしまったけど、昔から温泉街としても発展してきた温泉津なので、今では温泉街として生き延びている町である。逆に言えば、温泉の源泉が何かの事情で途絶えてしまえば、町が崩壊するという事でもあるが。。

 

島根県大田市 温泉津町 マンホール

江戸時代中頃に北前船が西廻り航路に進出した事は、当時の物流界にとっては大きな革命的な出来事だった事だろう。それまでは、東北地方からの荷物は近江商人が陸路で京や大坂の町まで運んでいたのだが、それには多額の手数料と荷物を紛失する可能性があったという。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み

しかし北前船が西廻り航路で瀬戸内海を経由して大坂まで辿り着けるようになると、そのような中間手数料や荷物の紛失の危険性を排除できた為に、大きく活用されていった。ただ、その代わりに昔から陸路での荷物運搬で儲けていた近江商人は、廃れていく運命となるのであったが。。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み2

そして観光案内所で車を置いて、この温泉津の町並みを見学する事にした。特に温泉に浸かりたいという気分ではなかったけど、昔からの町並みが残っているという事はそれだけ近代化から取り残されたという事の裏返しでもあるのだが。。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 古い建物

古くからの歴史ある日本家屋も、ちゃんと建物の手入れや補修を行っていれば綺麗に見られるけど、長年放置され続けている建物は汚くしか見えなくて、その景観を壊す事になってしまう。

 

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 古い建物 蔵

その自治体が資金をつぎ込んで壊れかけた建物の修復費を援助すればもう少しマシになるのだろうが、人口が少ない自治体ほどに使える予算が限られているので、建物の補修に回せる費用が少なくなる。その為にこういった壊れかけの建物が放置されてしまい、悪循環に繋がっている。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 古い建物 壊れかけた瓦屋根

なので本音からしたら昔からの日本家屋を残したいという住民の気持ちがあるのかもしれないが、実際には多額の補修費用などを払えずに解体してしまう建物も多い。過去の歴史的な建物を維持する事はとても大切な事だけど、ただ理想通りにはいかないのが現状のようだ。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街の景色

この温泉津町の人口は3,000人くらいが住んでいるらしいが、このように新しい外観の建物もそれなりに見られる。ある程度若い世代からすれば、いつ壊れるかも分からない昔の日本家屋に住むよりも、近代的な家に住みたいのだろう。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街の景色2

今の温泉津町は日本海側でも温泉湯治で人気の場所らしく、”温泉マニア”お気に入りの場所みたいだ。バルカン半島旅で出会った「ケニー」さんも、この温泉津の温泉街をとても気に入っているんだとか。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街の景色3

この温泉津の温泉街も昔の日本家屋の景観を維持・保存しているようで、こちらの見た目には普通の日本家屋の建物も、黄色い看板が付けられていて「SNACK檸檬」という、日本家屋には似合わない看板となっていた。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街に並ぶ建物

このような温泉街も2020年に世界的に蔓延した新型コロナウイルスの影響で廃れていると思っていたけど、何とか耐えて営業している古そうな旅館をチラホラと見かけた。温泉というものは古来の日本人から長い事愛されてきたものなので、新型コロナウイルス如きで消えてしまう文化でもないようだ。

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街に並ぶ建物2

この温泉街では見た目には古そうな外観の建物も、内装はリフォームして意外と綺麗な旅館というか、ホテル業をしている建物も見受けられた。なお、こちらの建物は「WATOWA」というドミトリータイプの宿泊施設で、キッチンなどが共有となっている施設だった。

 

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街に並ぶ建物3

昔の旅館のような場所に泊まりたくない現代の若者向けか、最新型のコインランドリーが多数設置されて、下手な大型ホテル顔負けの設備が用意されているようだ。

 

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 温泉街に並ぶ建物の新しいコインランドリー

旅をしだすと持ち歩く荷物を減らす為には、衣服を減らす必要がある。その旅に持って行く衣服を減らすには、現地で洗濯をして着替えを少なくする必要がある。その為には短時間で洗濯が出来るコインランドリーが有難い存在となっており、洗濯から乾燥まで一気に行ってくれるコインランドリーはとても重宝するのである。

 

 

島根県大田市 温泉津町の町並み 看板

昔から温泉街として人気の「温泉津温泉」だが、こちらの道路の上に設置されている看板の文字がほぼ消えてしまっている景色が、何とも哀愁を感じさせてくれる。今更敢えてこの看板の文字を新しく塗り直すよりも、このまま放置している方が逆に味わい深さを感じれていいように思うのだが。

 

島根県大田市 温泉津郷

この温泉街の町は一本道になっていて、昔の日本の町らしい風景を残している。車が1台通れる幅しかないけど、昔は車すら通らない狭い道ばかりだったので、古き良き昔の雰囲気が残されている場所でもあった。

 

島根県大田市 温泉津郷 薬師湯

その温泉街の道を歩いていると、右手にこちらの「薬師湯」という温泉が見えてきた。なかなかに良さそうな雰囲気の建物だったので温泉に浸からせてもらおうかと思ったけど、コロナ禍で密になるのを防ぐ為に入場数が制限されていて、残念ながら直ぐに入る事が出来なかったのでパスする事となった。。

 

 

島根県大田市 温泉津郷 湯治の湯

こちらはその薬師湯の先にあった「泉薬湯」という、これまた味わい深そうな温泉。地元民に愛されている雰囲気が滲み出ていた温泉っぽく感じたけど、さっき入場を断られた事もあってこの時には温泉に浸かりたいという気持ちが消えてしまっていたので、これまたパスする事に。。

シメ縄兎吉
シメ縄兎吉

しぇっかく温泉津まで来て、温泉に浸からんで往ぬとは・・・

 

島根県大田市 温泉津郷 妙好人 浅原才市の像

こちらには”頭に角が生えたハゲ坊主”のような石像が設置されているのが見えた。こちらは幕末にこの地に生まれた「浅原才市(あさはら さいち)という船大工だった人物で、後に下駄職人ともなって、仕事中に思いついた「口あい」と呼ばれた仏心の言葉を詠んだ詩を多数詠んだ人物でもあったようだ。

 

 

島根県大田市 温泉津郷 妙好人 浅原才市の像 説明2

その像の台座には、彼が詠んだとされる一文も描かれていた。特に仏教の信仰が厚かった人物でもなかっただけに、その豹変ぶりに周囲の人達は戸惑った事だろう。

 

島根県大田市 温泉津郷 妙好人 浅原才市の像 正面

そしてこの像に角が生えていたのは、彼が自分の肖像画に「鬼」のような角を入れて欲しいとリクエストしたからだそうだ。鬼というと昔の日本人からすれば、忌み嫌う存在だったが、浅原才市からすれば特別な存在に思っていたのかもしれない。

 

島根県大田市 温泉津郷 古い旅館の建物

沢山の観光客が訪れる温泉湯治というよりも、秘境感溢れる温泉街となっていた温泉津。全国の温泉を巡ってゆっくりと滞在したいと思っている人には、意外と人気な温泉街のようだ。

 

島根県大田市 温泉津郷 古い旅館の建物2

個人的には温泉に浸かるのはそこまで興味もなく、オカンも温泉には興味がないので、特にこの温泉津までわざわざ来ながら温泉に浸かる事なく帰ってしまったのである。。

エロ坊主オジサン
エロ坊主
オジサン

温泉津まで行って温泉浸からずに帰る奴を初めて見たけ!

 

島根県大田市 温泉津郷 西楽寺本堂

そんな温泉津温泉街の真ん中にあったのは、浄土真宗本願寺派の「西楽寺」というお寺だった。1521年に禅寺から浄土真宗に改宗した西楽寺の本堂は、江戸時代後半の1831年頃に再建されて残る建物だという。

 

 

島根県大田市 温泉津郷 西楽寺 山門

かつては北前船の寄港地として賑わった場所も、今では温泉マニアが集う穴場となっていて、ひっそりとした町となっている。しかし石見銀山の歴史を勉強する上で、採れた銀を出荷した大事な港となっていた場所なので、時間があれば石見銀山と共に訪れるべき場所となっている。

シメ縄兎吉
シメ縄兎吉

温泉津来たなら、温泉浸かって往にや!

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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