波で自然に削られた緑色凝灰岩が、極楽浄土のように見える下北半島の仏ヶ浦【東北旅行記⑯】

東北旅行記2020年冬-⑯:青森編

 旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(Hotokegaura on the Shimokita Peninsula, where green tuff naturally chipped away by waves looks like a paradise.
[Tohoku Travelogue 16])

仏教徒の想像力!

ここは青森県でも右上の方にある下北半島という斧のような形をした半島の、その中でも真ん中左端にある「仏ヶ浦」という場所。この仏ヶ浦という場所は簡単に言うと普通の海岸なんだけど、大昔に海底火山が噴火した時のマグマが固まった大岩が隆起した後に、長い年月を経て打ち寄せる波に削られ続けて、仏教徒からすると佛関係の形に見える事からその名前が付けられたという。

 

 

 

下北半島の「仏ヶ浦」にて

そんな仏ヶ浦で極楽浜と名付けられているという海岸まで降りるには階段をある程度降りて行かないといけないが、その道中に至難の業が待ち構えている。それはこちらの立て札を見れば分かるように「スズメバチに注意!」と書かれており、ツキノワグマだけではなく、新たにスズメバチの恐怖とも向き合わないといけない。

 

恐る恐る上の方を見上げると、奇形な岩のエグれた部分に上手い事スズメバチの巣がブラ下がっているのが見えている。立て札には「刺激を与えないように!」と書かれているけど、天邪鬼な人間はこのメッセージを見ると、無意識にその逆の行為を想像してしまうのであるが。。

 

まだ下の海岸までは20~30m程あるのだが、この時点で既に奇形な岩の高さがこちらを上回っているのが見える。海から打ち寄せる波に浸食された海蝕崖などは結構目にする事が出来るけど、これだけの高さがある岩もなかなかお目に掛かれないように思う。

 

そしてそんな大岩の下に空いていた隙間には、このようにしっかり地蔵が置かれているのが見える。こんな大岩の下の小さな隙間にお地蔵さんを入れて、万が一岩が崩れてきた時にどうするのかと思ってしまう場所に配置されている。そう思うと地蔵さんも自分の好きな場所に置かれているという訳でもないので、内心は大変な事が多いのだろうと想像する。。

ネプちゃん
ネプちゃん

文句を言えないという事ほど辛い事はないだべさ!

 

そして約9分程掛かって下に降りてくると、ここにも小さな社殿のような建物が見られる。ただここの横にあった建物も閉まっていて、またこの海岸レベルに設置されていたトイレも閉鎖されているので、車でやって来た時にはまず駐車場のトイレで用を足してから下に降りた方がいい。

 

仏ヶ浦の極楽浜にて

そして下に降りてきたけど、特に説明の看板などは見受けられず。また下に降りると1組の熟年夫婦の姿が見られたが、なんと旦那さんが立ちションをしている姿を目撃してしまった。

「下にあったトイレが閉鎖になっていたので、仕方なしに・・・」みたいな事を呟いていたが・・・。

 

昔の人達が浄土のような場所だと思っていた所で、立ちションをするとは何と肝っ玉の座ったというか、大胆な旦那さん。こういった事もあるので上の駐車場を降りたら、まず下に向かう前に駐車場に設置されている公衆トイレで水分を絞り切ってから、下に向かおう。

ハゲる前君
ハゲる前君

ここはトイレじゃないんだゾ!

 

そして下にはコンクリート舗装された道が造られていて、その道を進もうとすると、まず待ち受けているように見える大きな岩が正面に見える「屏風岩」と呼ばれている岩。ただ個人的には上の方に鳩が乗っている姿にも見えるので、「鳩乗り岩」と新たに命名しても良さそうに思うが。

 

こちらはさっきの小さな社殿というか祠のような建物があった、階段を降りて来た場所付近の景色。この丘というか山の斜面には保安林という、大雨などで土砂が流れ降ちるのを防ぐ為に植えられている木の葉っぱが枯れているので、何とも寂しい雰囲気にも感じる景色だった。

 

 

仏ヶ浦の景観!① 動画

 

 

ここで見られる奇形な岩は、今から約1000~1500万年も前に海底火山から噴火してきたマグマが固まった緑色凝灰岩という材質の岩。そしてそんな岩場が隆起して海上に顔を出してきたが、モロい材質の凝灰岩は雨や風や打ち寄せる波にどんどん削られていき、このような先が尖がった形になってしまったようだ。

 

そんな昔の人が浄土のような景色に思って信仰の場としていた場所も、このように今では鉄筋コンクリート造りの桟橋が造られている。この桟橋は暖かい時期にこの仏ヶ浦の観光遊覧船が停泊する為の桟橋だが、この冬の時期には遊覧船が運航停止しているので、無用の長物となっている。

 

 

この海の奥に見えているのは北海道ではなくて、左隣にある昨日訪れた津軽半島。津軽半島側からも暖かい時期にはフェリーが出ているので楽に来る事が出来るけど、冬場はグル~~っと陸奥湾を回り込んで来ないといけないので大変である。

 

ただ11月頃の下北半島ツアーでは、旅行会社がフェリーを手配してくれて効率よく下北半島を巡れるそうだが、風や波が強くてフェリーが欠航になってしまったら、バスで陸路をグル~~と大回りして帰らないといけないそうだ。なので、バスの運転手さんからすると、フェリーが運航するかどうかで、大きくその日の労力が変わるようだ。

 

今では簡単に車を走らせれば数時間でこの下北半島:仏ヶ浦までやって来る事が出来るが、昔の参拝者たちはその殆どが徒歩でやって来ていた事だろう。そう思うと車を数時間走らせて徒歩よりも早く辿り着けるだけ、まだマシと考えた方が良さそうだ。

 

こちら中央奥の断崖に剥き出しになっている岩肌が「五百羅漢」と呼ばれている岩で、仏教の寺などでよく目にする仏陀の弟子だった500人を象徴した物。仏陀という教祖が居なくなると、次にその弟子にフォーカスが当たる。そしてその弟子から後継者が現れて、宗教が継がれていく。ただしその継がれた宗教には教祖の教えが厳格に守られるという訳でもなく、場合によっては今までと考え方の路線が変わっていく事も多々あったようだ。

 

 

仏ヶ浦の景観!② 動画

 

 

宗教というのは人類の歴史と切り離せない位に親密な関係にあるが、ただその宗教が人類の科学の発展を大きく阻害するという悪影響も与えている。宗教では正義と悪という存在を勝手に生み出し、間違った行為や考えを容認しない姿勢であった為に、権力者による一方的な意見が押し付けられて、それに反故するだけで罪人扱いされてしまう事もあった。

 

キリスト教では地球は神様が創ったとされているが、現代化学では神様が創った訳ではなく、何十億年という長い年月を経て今の形になっているのが判明している。しかし科学には目を向けずに今まで盲信のように信じ続けてきた事から離れられない為に、今でも厳格なキリスト教徒は地球を創ったのは神様だと信じて、間違った事を教える学校に子供を行かせないという。

ブッダ君
ブッダ君

信仰は自由だけど、盲信は危ないんじゃ!

 

 

仏ヶ浦の景観!③ 動画

 

 

この冬のシーズンは無用の長物となっている桟橋は、打ち寄せる波しぶきが掛かって、常にビショビショに濡れている姿が見られる。昔の人達が浄土の景色に見えた霊場のように思える場所も、現代人にかかれば単なる観光地となって、このような景観を崩す人工的な桟橋が造られてしまうのである。

 

青森は北海道のように冬シーズンと暖かいシーズンで、その土地の景色が全く違って見える。今回は冬に訪れた青森県だけど、次は暖かい時期にまた戻って来たいと強く思った場所である。しかし、個人的には同じ地方に戻ってくるよりも、まだ行った事のない新しい土地に足を運びたいという気持ちと、葛藤を続けている日々である。。

オカン
オカン

両方行けばエエねん!

 

この仏ヶ浦の下の極楽浜と呼ばれる場所に降りて来た際に、先に来ていた60代夫婦のお父さんが周りに誰も居なかったからか、この手前の岩付近で立ちションをしていた。どうせするなら、このような人が多く通りそうな場所ではなく、もう少し木が生えている丘側ですればいいと思うのだが、周りの目が無いと大胆な行動をしてしまうのだろう。。

 

しかし人間の想像力というのは本当に豊かで、このような波や風で削られた岩などを何かに見立てて名前を付けているのは凄いと思う。もし仏ヶ浦のこのような岩などに浄土に存在する物の名前が付けられていなかったとしたら、この仏ヶ浦を観光案内する時に現地を説明するネタが少なくなっていた事だろう。。

 

この仏ヶ浦を1人で歩いていると、そんな大きな岩よりも、このような地面の岩肌の方に目が行ってしまう。苔が生えた表面に陸奥湾の波しぶきが打ち寄せられて、そこに太陽光が当たって反射しキラキラとしている。

 

 

この仏ヶ浦を案内する現地の人達も、このような地面をわざわざ説明して注意を向ける人も殆ど居ないかもしれない。しかし、このように水と太陽の存在に生かされている地球上の生物を代表して、感謝を捧げたい気持ちになるような光景である。

 

こちらの岩は「ペンギン岩」と名付けてみた。このような岩を何も考えずに眺めているだけだと特に何も感じないだろうけど、「ペンギン岩」という情報が頭の中に入るだけで自然とペンギンの頭の形をした岩に見えてくるのだ。

ハゲる前君
ハゲる前君

人間って都合のいい生き物だからな!

 

このような大きな岩の下に出来ている隙間にお地蔵様を設置するなんて、なかなかに大胆な発想である。周囲をガッチリと固定されている岩でもないように見えるので、次の地震が発生した際にこの大岩が傾いて、下にあるお地蔵様がペシャンコになる姿を思わず想像してしまうのである。。

ネプちゃん
ネプちゃん

なかなかの想像力だべ!

 

さてほぼボク1人の貸し切り状態で見学出来た仏ヶ浦。昔の人達が浄土に見えた場所も信仰心が無い人間には、単なる削られた岩がゴロゴロとしているだけの寂しい場所にしか思えなかったが。。

 

さて帰り道も熊が出てこないかを警戒しながら戻っていきます。ちなみに熊やイノシシなどは前足が短いから、登り坂を登るのは早いけど、逆に下り坂を降りるのは比較的遅いという。そんなアテになるか?ならないか?の情報を元に、万が一熊に遭遇した時は今来た道を駆け下りるという事をイメージ・トレーニングしながら、落ち葉だらけの道を戻るのであった。。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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