東北旅行記2020年冬-70:山形編
旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
( Giant marine fossils seen at the Yamagata Prefectural Museum are proof that Yamagata was once an ocean. [Tohoku Travelogue 70])
昔は海!
ここは山形市内の中心部にかつて山形藩の居城があった、山形城跡敷地内の一角に造られている「山形県立博物館」。旅先では名所の写真や名物の郷土料理を楽しむだけではなく、その場所の歴史をキチンと学ぶことによって、より現地を身近に感じる事が出来るので、このような地元の博物館見学は欠かせない。
住所:山形県山形市霞城町1-8(霞城公園内)
営業時間:9時~16時30分頃(※定休日:月曜日)
電話番号:023-645-1111
入館料:大人300円/学生150円(※高校生以下無料)
「山形県立博物館」の見学!
しかしこのような博物館の見学者も割安な料金で見学できる割には、意外と少ないように感じる。というボクも歴史に興味が出てきたのは最近で、以前までなら、このような博物館の見学は積極的に行いたいという気持ちすら無かったのだが・・・。
第1展示室「豊かな自然とその恵み」にて
最初に見学したコーナーは鉱石とか置かれていたけど、2階に登ってくるとこの第1展示室「豊かな自然とその恵み」が待ち受けている。ただ一言に「博物館」と言っても、場所によってはそのフォーカスしている年代がマチマチに違う。その博物館に所蔵されている品物によって、それが適した展示物となる時代のブースが変わるからだろう。
こちらはカメラのフラッシュではなく、「ストロボ使用禁止!」という張り紙を見かけた。本格的なカメラには大きなストロボという撮影時に光を放つ道具が付き物だけど、スマホ全盛の時代には「ストロボ」という言葉よりも「フラッシュ」という表現の方が判り易いような。。
意味が通じればエエんやないか?!
さてこちらのコーナーに足を踏み入れると、大きな生物の化石も展示されているのが見える。このように博物館見学も混んでいる時には楽しめないが、これぐらい空いている時の方がじっくり見学が出来るので、空いている頃を目掛けて訪問するのがオススメである。
こちらは大きい「ヒトデの化石」(山形県指定天然記念物)で、今から約1200万年も前に生きたヒトデと推定されている。これ程の大きなヒトデの化石は、日本国内でも珍しい大きさらしく、天然記念物にも指定されている程。大正時代に山近くの川から発見されて、それ以降は近くの小学校で保存されていたけど、その小学校が廃校になった為にここに移されてきたという。
そしてこちらはそれなりに大きな恐竜のようにも思える、「ヤマガタダイカイギュウ(学名:Dusisiren dewana)」という約1000万年もの大昔に存在していた海洋生物の化石だそうだ。このような大きな化石を見ると獰猛な生物だったように思えるけど、後ろの絵にもあるようにジュゴンみたいな海藻を食べる穏やかな種だったと考えられている。
この化石は山形県の中央部に位置する大江町で、夏休み中の小学生が最上川で見つけた物となっている。そしてその噂を聞いた博物館側が発掘調査を行い、古カイギュウ研究の世界的権威の学者を日本に呼んで分析してもらった所、新種のカイギュウと認定された。
この「海牛目」とは、ジュゴンの祖先のような生物。基本的には水中で生息する哺乳類に属する生き物で、陸上であまり歩く事が無くなった為に前脚がドンドン小さくなっていった。ただジュゴンに比べると、かなり前脚が大きいように思うけど、水中で長い事生活していると、前脚を活用する機会がそこまで無かったのだろう。
この古カイギュウは日本国内だけでも、約30箇所で骨が出土している。その国内で出土した骨の大半が北海道に位置しており、寒冷地の気候に特化して大型化していった種類の系統だと考えられている。陸上生物だけではなく、海の中に住む生物も沢山の脂肪を蓄える事によって、寒さを耐えていたようだ。
今の山形では、東北地方の中でも比較的中央に位置する場所から、太古の海洋生物の化石が発見されるとは考えにくい。しかし上の地図は約1500万年前の時代を想像した物となっていて、大昔はこの辺も海の底だったようだ。
なので普通に陸地から海洋生物の化石が見つかるという事も、冷静に考えれば特段不思議ではなく、ただ単に自分が無知なだけなのかもしれない。元々は水に囲まれた環境だった地球だけに、どこで海洋生物の化石が出ても驚く事ではない。
そして山形県が海の底だった遠い遠い大昔の時代に、このような沢山の生命体の死骸が海底に溜まり、それが蓄積していって生まれ変わるように出来たのが、今人類が活用している化石燃料である。だから大昔の生命体の命を再活用している化石燃料と言っても、過言ではない。
こちらは「ナウマンゾウ」の歯とされており、日本では約2万年前まで生息していたとされているアジアゾウの一種。明治時代になって発見されたナウマンゾウの化石だが、この名前の由来は当時ゾウの化石を分析した人物の名前が付けられているようだ。
明治時代にドイツから招聘された地質学者「ハインリヒ・エドムント・ナウマン(Heinrich Edmund Naumann)」の名前が付けられており、ナウマンゾウ以外にも”フォッサマグナ(Fossa magna)”という日本列島に走る巨大な地溝帯を発見した人物でもある。またこのナウマンは、現在の東京大学の地質学の初代教授でもある。
こちらには山形県内の名所に、存在している岩が展示されている。このような岩も興味を持って観察すると、太古に地球上に存在していた物質が、長年に渡って熟成されて出来てきた物という事が分かる。
こちらは「山形県地形模型」で、左上の日本海側に広がる平地の庄内・酒田地域から、右側にある新庄を経て南下し、狭い平野盆地に合わせて下って行くと、この山形市に辿り着く。このように山形県を上から眺めた気分で考えてみると、人は山を切り開いた訳ではなく、その脇に沿って移動して住み着いていた様子が分かる。
こちらは「ニホンツキノワグマ」の剥製が展示されている。ブラキストン線より南側に生息しているツキノワグマだが、人類との生息地争いに負けて、また東北では狩猟対象になっている事もあって、近年は急激に個体数を減らしている。
こちらは”鳥の王者”とも言われている「イヌワシ(犬鷲)」。上空でゆったり漂っているワシの姿はたまに地方で見かけるけど、それはただ単に空中に浮かんでいるだけではなく、”獲物”を常に探して飛んでいるのだ。だからワシもよく見ると、鋭い爪をしており、また嘴も確実に捕らえた獲物を離さない形状になっている。
一口に鳥といっても、このように嘴から足や羽も、その鳥の長い年月の進化を経た独自の形になっているのが、また趣深く感じる。魚を食べる鳥はそれに特化した嘴となっているし、翼も飛ぶスピードや滞空時間などによって、それに適した形となっている。
鳥を観察しているだけでも楽しめる!
ただこのイヌワシも幼い家畜を狙う事もあって、人類からは敬遠され駆除の対象にもなった為に近年は個体数が減っている。またイヌワシの生息には切り開かれた草原などが適しているが、国内では放牧地などが減っている為に、イヌワシの生息できる環境が年々国内では少なくなっているようだ。
このように人類の個体数が急激に増加した20世紀には、地球上にそれまで生きてきた動物の個体数が大きく減って、絶滅危惧種が逆に大きく増える事になってしまった。ある生物が繫栄を築くと、それまで繁栄してきた生物が衰退されていくのはダーウィンの進化論でも説明されているけど、あまりにも人類が爆発的に増え過ぎているのも地球からしたら迷惑な話なのかもしれない。
日本列島は北は北海道から南は沖縄まで縦長構造だが、それぞれの地域を訪れた際に、その地域で見られる植物などを観察しているだけでも色んな発見をする事が出来る。ここに記されているように、動物と同じように植物もその地域の気候に大きく影響を受けており、寒い地域や暑い地域に特化した植物もその地に特化して生きてきた歴史が見られる。
自然に出来た森も、いきなり出来た訳ではなくて、長い年月を経て徐々に形成されている。まずは原っぱのように何も無い状態から始まり、まずは雑草などの種子が運ばれてきて草むらとなり、次第に背の高い木が育っていって、”太陽光の奪い合い”のような生態システムになっている。
だがそんな植物が色んな所に増えていく際に、その役目を果たしているのがこのような昆虫から動物達である。彼らは木の実などを食べて育ち、その木の実を食べた昆虫を食べた動物が、更にワシなどの肉食動物に食べられる。しかし木の実の中にあった種は消化されずに、糞として排出される。その糞として出た種は、ワシなどが長距離移動する為に広範囲に渡って移動できるという訳である。
自然のシステムほど、凄いモンはないですね!
今までの世界では海に囲まれた島国では、遠い外国に存在している種が入ってくる事は無かったが、19~20世紀になって船や飛行機が発達した事によって、多くの外来種が島国にもたらされる事になる。しかし、島国の外来種が攻め込んで来なかった環境に長い事甘んじていた在来種は、外敵に対しての戦闘能力が低い種が多く、程なく淘汰される事になってしまう。
こちらは「オオハクチョウ(大白鳥)」の剥製。普段はロシアの広大な領土があるユーラシア大陸北部で繁殖し、冬になると南下してきて中国大陸や日本・韓国などで越冬する。雪が降る東北でも、アイスランドとかの冬を考えれば、まだ暖かいのかもしれない。
東北の寒さも中々ですよ!
こちらには沢山のトンボの標本が展示されていた。地方の田舎で育った子供達からすれば普通に接してきたトンボも、都会育ちで自然とあまり触れ合っていない子供からすれば、”あまり見かけた事のない昆虫”という分類に思われているかもしれない。
こちらは蝶々の標本で、”擬態”という身を守る為に周りの景色を体の模様に取り込んだ蝶の進化は凄いと思ってしまう。中には景色ではなくて”動物の眼”の模様を取り入れた柄の蝶も居て、生物の多様性を眺めているだけでも楽しめる。
こちらは男の子が小さい頃に夢中になった物の代表格でもあるカブトムシやクワガタだけど、古代エジプトではフンコロガシが神様の使いとして崇められていただけに、このような昆虫に憧れてしまうDNAが人体に刻み込まれているのかもしれない。
こんな旅はまた次回に続きます!
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