世界的絵画を猫に置き換えた、シュー・ヤマモトの「CAT ART展」Part3【仙台旅行記㉑】

仙台旅行記2020年秋-㉑

 旅行期間:2020年11月3日~5日
(Shu Yamamoto’s “CAT ART Exhibition” Replaces World-Famous Paintings with Cats)

ニャンブラント!

今回も引き続き、宮城県石巻市にある石ノ森章太郎氏の記念館でもある石ノ森萬画館で、この時に企画展示として行われていたシュー・ヤマモトの「CAT ART展」を鑑賞していきます。

ブッダ君
ブッダ君

今回は【CAT ART展】、パート3じゃ!

 

【石ノ森萬画館】

住所:宮城県石巻市中瀬2-7
営業時間:9時~18時頃(シーズンによって時間・休み変動あり)
電話番号:0225-96-5055
入場料:大人840円/中高生520円/小学生210円

 

 

 

【CAT ART展】の鑑賞は続く!

『トルコ風呂』
by ドミニク・ニャングル

こちらの作品は作猫ドミニク・ニャングルが82歳という高齢の時に描いた作品だけど、ハーレム内にあった女性だけのトルコ風呂内の様子を描いた官能的な作品ともなっている。日本人からすると風呂という言葉を聞くと熱いお湯に浸かるイメージしかないけど、トルコ風呂というのは熱い水蒸気が溜まった部屋の中で、汗を掻いた後に体を洗う乾燥浴だった。

 

そんなサウナ的な風呂だったトルコ風呂だけど、実は日本でも昔は温泉でも地熱を利用した乾燥浴の方が一般的だった時代もある。どちらにしろ体を温めて体温を上げる行為には、からだにバイ菌が入った時に体の温度を上げて菌を退治しようとする自浄作用の効果があるので、からだを癒す事に繋がるのだろう。

 

『着衣のニャハ』
by フランシスコ・ゴニャ

こちらはスペイン猫画家:フランシスコ・ゴニャが描いた、彼の代表作でもある絵で今はスペインのプラド美術館に納められている。こちらもスペイン旅行した際に目の前で観賞したハズの作品であるが、プラド美術館内は写真撮影が禁止だったので、その見たという証拠が残っていないのが残念である。

 

この『着衣のニャハ』の似たような構図で服を着ていない裸バージョンもあるけど、やっぱり人間の脳みそは素っ裸を見るよりも、その体のラインが出ている薄着姿の方がそそられる。多分猫からしてもそういった本能があって、人間と一部は似たような脳みそになっているのかもしれない。

 

『民猫を率いる自由の猫神』
by ウジューヌ・ドラネコワ

こちらは1830年に勃発したフランス革命のワンシーンを描いた有名な作品である。『レ・ミゼラブル』の映画で出てくる盗人のような少年は、真ん中に立つ女性の右側に居る少年をモデルにしているとも言われている。

 

世界中では長く王制政治が続けられてきたけど、近年になって王家の個人的な傲慢さが政策に表れて、脆弱な王制政治に対して民猫の怒りが爆発して色んな所で革命運動が起きた。各地での革命運動では多くの血が流されたけど、その亡くなった人達の想いが通じて、今では自由な国となっているのである。

 

中世時代の絵画で残されている物は、その製作費を払うパトロンが自分の描いて欲しい絵を描かせた物が多い。しかし時代が近世に近づくにつれて、画家という職業の人数も増えて、次第に作品に描く内容が多様化してくる。中世時代にはパトロンたちの信仰するキリスト教などの神話に纏わるストーリーが多かったけど、この「写実主義(リアリズム)」では普段の生活の様子が描かれる事が多い。

 

『イークベさん こんにちは』
by ギュスターヴ・イークベ

こうやって絵画を時代毎に鑑賞していくと、その時代背景なども含めてどういった考え方が当時流行していたのか、どういった事に重きを置いていたのかなどが分かる感じがする。今までだったら旧約聖書や新約聖書に載っているストーリーの一場面ばかりであったのに、この時代になると何気ない普段の生活のワンシーンとなっている。

 

単に路上で知人に出会って挨拶をしているシーンなのであるが、これも時代が経つにつれて芸術性が広がってきた証拠でもある。作品が多様化する事によって色んな技法が生まれたり、色んな構図が描かれたりと絵画が進化していくのである。

 

 

『マタタビ拾い』
by ジャン・フランソワ・ファミー

このように老猫が落穂ではなく、マタタビを拾っている姿が描かれている有名な作品。歳を取って体の色んな箇所が悲鳴を上げつつあるのに、こうやって腰を落とさない中途半端な態勢で地面に向き合うと、ギックリ腰の原因ともなるので注意が必要であるが。。

 

猫も人間から見たら、1日中寝転んで毛繕いをしているイメージしかない。しかし猫は人に見えない所に抜けだして、このように真面目に畑仕事などをこなしているようだ。

 

『晩鐘』
by ジャン・フランソワ・ファミー

こちらもフランスの画家で農民たちの絵を多く描いた、ジャン・フランソワ・ファミーの作品。人間界のモデルとなった絵は後ろに川はなく、収穫されたのも魚ではなく、農作物となっている。猫パロディー作品だけに農作物を食べる猫というイメージよりも、魚を食べるイメージが猫にピッタリだと思ったのかもしれない。

 

当時は今みたいに腕時計などは無いので、農作業などをしていて終わりの時間を知らせるのに、教会の鐘が時計代わりに突かれて、その仕事の終わりの時間を知らせていた。そして収穫された獲物と、その日一日を無事過ごせた事に感謝し、神猫に祈りを捧げる日々だったようだ。

 

お次のブースは「印象派」となっていて、ただ目の前に見えるシーンを忠実に描くのではなくて、そのシーンを見た猫がより記憶に残るぐらいに印象的な作品に仕上げた時代の物となっている。

 

『白のシンフォニーNo.2』
by ジェームス・ホイッスニャー

こちらはアメリカ猫画家:ジェームス・ホイッスニャーの作品であるが、パリで絵画の勉強をしたので当時時代の最先端走っていたパリらしい、芸術性が見て取れる。この女性は画家の彼女を描いたものとされているらしいが、この作品には当時フランスで大流行した『ジャポニズム(Japonism)』が表れている。暖炉の上には伊万里焼のような壺と、手には団扇を持っているのが分かる。

 

江戸時代の終わりにペリーの黒船来航によって仕方なしに開国した日本には、ヨーロッパの人達が一気に押し寄せた。そしてヨーロッパには全く見られない独自の文化を築いた日本の芸術品などを見て、それに驚いて国に持ち帰ったり、またロンドンやパリで行われた全国博覧会に日本が出展した事もあって、ヨーロッパで日本文化が一気にブームになったようだ。

 

『笛を吹く少年猫』
by エドワール・マネコ

フランスの画家だったエドワール・マネコはパリの娼婦を描いた自信作が世間に酷評された事もあって、スペインに逃げ込むように移り住んだ。そしてそのスペインで宮廷画家として有名なディエゴ・ネコスケスの作品を見て感化されて、このような透明感のある背景の絵に惚れ込んでしまう。

 

単に無地のような背景にも見えるけど、そこには色んな色彩で描かれており、色んな世界観が籠められているようにも見えてしまう。単純そうな背景に見える絵ほど、その背景を描く際に苦労したのではと思ってしまうのである。

 

『着物を着たミャネ夫人』
by クロード・ミャネ

こちらは日本の浮世絵を200枚近くも収集していたコレクターでもあった、フランスを代表する画家クロード・ミャネがその夫人を当時大流行していた『ジャポニズム(Japonism)』の世界観で描いた作品である。着物を着ていたり団扇を持っていたりするけど、奥さんっぽく金髪となっている。

 

この『ジャポニズム』が当時のパリで大流行していたのは、それだけパリが時代の最先端を走っていた芸術の都だったからでもある。なのでこの時代やその後の時代には画家はみんなパリへ修行しに行き、日本でも国を代表する芸術家である岡本太郎などもこのパリに行って最先端の芸術を勉強したのである。

 

 

『パラソルを持ったメス猫』
by クロード・ミャネ

こちらは青い空とそこに浮かぶ雲をバックにしてパラソルを持つ女性が描かれているが、この構図だけ見ると宮崎駿作品の映画『風立ちぬ』のワンシーンを思い出してしまう。ちなみにこの『風立ちぬ』の主人公で実在した零戦を開発した堀越二郎役を吹替えしていた人物は、あのヱヴァンゲリヲン作品を生み出した庵野秀明だった。

 

何も知らずに『風立ちぬ』を見ていた時は、「主人公の吹替の声、なんか違和感あるな~!」と思っていただけだったが、先日放送されていた庵野秀明のドキュメンタリーの中で彼が宮崎駿に依頼されて吹替を担当していた事を知ったのである。

 

この絵はクロード・ミャネの最初の奥さんと、子供を描いた物。本来は白色のドレスを着ている奥さんなんだけど、逆光もあってちょっと青っぽい服のイメージになっている。

 

このように【CAT ART展】は結構な量の作品が展示されており、それぞれの作品と共にその説明文まで写真撮影していくのは意外と大変な活動でもあった。しかしこのような絵画展では単に絵を眺めるだけでは理解できない事が、説明文で補足されている事が多いので、なるべくこのような説明文も見ていった方がいいのである。

 

『ラ・グランデジャテ島の寝てよう日』
by ジョルジュ・スーニャ

こちらはフランスの印象派を代表する有名な絵画で、セーヌ川の中州にあるラ・グランデジャテ島でのんびりとくつろぐ猫達を描いたもの。こちらの絵は作猫が意図して、色彩が鮮やかな色を多用しており、見た目にも華やかなイメージとなっている。

 

芸術の都でもあったパリでは、休みの日に近くの川辺で休息する時にも、正装しているのが普通だったのだろうか。休みの日にも正装するなんて、全然リラックス出来なかった事だろう。。

 

『ブニャンコ』
by ピエール・オーガスト・ネコワール

こちらもフランス印象派を代表するピエール・オーガスト・ネコワールの作品で、アトリエ近くにあった公園に設置されていたブランコの様子を描いたもの。なおこのブランコに乗っているメス猫は、ネコワールお気に入りのモデルで彼の絵に度々登場している。

 

この作品ではちょっと日陰になっている場所でブランコに乗るメス猫が描かれているけど、零れ陽がとても繊細に表現されている。印象派ではこのように単なる目の前で見られる景色を描くのではなく、そこにより強弱を付けてインパクトを与える絵になっている。

 

『パリ、雨の日』
by ギュスターヴ・カイユニャット

こちらは1877年頃に描かれた絵で、パリ市内の情景を描いたもの。この頃のパリ市内は都市整備計画によって、馬車などが通り易いように曲がった路地などを無くして大通りなどに造り替えられていったようだ。

 

このような歴史に名を残す有名な画家は、パトロンのようなお金持ちの支援がないと絵描きが続けられなかったイメージがあるけど、この作猫ギュスターヴ・カイユニャットは亡くなった父の遺産が入ってから、晩年には創作活動を殆ど行なわくなってしまった。晩年は庭園造りやヨットに興味が行ってしまったらしく、画家にとっては選べる選択肢が1つしかない猫の方がいいのかもしれない。。

 

『船上の昼食』
by ピエール・オーガスト・ネコワール

しかし裕福になった元画家のギュスターヴ・カイユニャットも、そのお金を有効に活用し、このピエール・オーガスト・ネコワールなどの芸術家を支援していた。だからギュスターヴ・カイユニャットが遺産を手にせずに自分の創作活動に没頭していたら、このようなネコワールの作品もここまでのレベルに到達出来なかったかもしれない。。

 

そう思うと芸術家にとって、また猫生にとって何がいいのかは分からないけど、少なくとも今見られる歴史にはそれぞれの繋がりがあり、ギュスターヴ・カイユニャットの父親が残した財産がネコワールの芸術を押し上げる原動力の1つになっていたという事である訳だ。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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