五所川原市の立佞武多館で、巨大な光る立佞武多の山車に見惚れる【東北旅行記④】

東北旅行記2020年冬-④:青森編

 旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(Admiring the giant glowing Tachineputa floats at the Tachineputa Museum in Goshogawara City. [Tohoku Travelogue 4])

20mを越える大きさ!

さて青森県でやって来たのは”青森三大佞武多”の1つとしても有名な『五所川原立佞武多』で使われる、高さ20mを超える山車が保管/展示されている「立佞武多の館」。入場料を支払って中に入ると、早速このような大きな山車が入ってきた客を踏み潰すかのような姿を披露しているのが見えてくる。

 

【立佞武多の館】

住所:青森県五所川原市大町506-10
営業時間:(※休み:年末年始)
・【4~9月】9時~19時頃
・【10~3月】9時~17時頃
電話番号:0173-38-3232
入場料金:立佞武多展示室のみ 大人650円/高校生500円/中学生300円

 

 

 

「立佞武多の館」の見学!

この「立佞武多の館」では実際に祭に使われる巨大な山車が保管されていて、今では約3年サイクルで製作されて破棄されているようだ。だからここに保管されている山車も、年々新しい物が展示されて、古い物は解体されるので、見学する年によって見られる山車が変わってくるのである。

 

いきなり館内で見た大きな立佞武多の山車に気を取られてしまったけど、その手前に置かれていたのは『茨木童子と渡辺綱』という戦いをテーマにしたねぷた祭りでも人気の山車で、青森ねぷた名人だった北川啓三氏の作品だそうだ。

 

この北川啓三氏は、青森ねぶた:初代名人として有名だった北川金三郎氏の息子で、昭和時代に活躍した人物。その初代名人だった父親と共にねぷた製作に取り組み、それまで骨組みを竹で製作し中の燈火が蝋燭だった山車を、針金組みの電球と蛍光灯の山車に変えてねぷた革命を起こした人物でもある。

ネプちゃん
ネプちゃん

ねぷたの構造も時代と共に変化してるだべ!

 

 

 

いきなり出迎える巨大な山車! 動画

 

 

そして館内の見学は1階から見ていくのではなく、まずエレベーターで4階まで上がってそこから降りながら観覧していくシステムになっている。そして館内では30分に1回のペースで特別映像が放映されるので、それに合わせて4階に登るのがベターなようだ。

 

このように特別映像は30分間隔で、朝からず~~っと行われている。このような資料館みたいな場所では、やっぱり映像を見て勉強するのが手っ取り早いので、この映像が流れる時間に合わせて鑑賞すべきだろう。

 

館内に入ってきた時にはその足元から見上げていた巨大な山車だけど、このように4階まで登ってくるとその景色が全然違って見える。さっきまでは自分の方を見下ろしているかのような怖い顔が、ここからだと下を見下ろしているのがよく分かる。

 

このように高さ20mを超える山車だけど、基本的には地上に立っている人の高さにそのねぷた人形の目線を合わせているので、これぐらい高い場所から見られる事は想定して製作していないのだろう。

 

 

4階から佞武多を見下ろす! 動画

 

 

その30分間に1回放映される特別映像はここ4階からだとそのスクリーンを正面に見られるけど、下のフロアには特別に観覧席が用意されているので、特等席はこの下に見える階のようだ。だから放映時間ギリギリにやって来た人は、4階ではなく3階で降りた方が良さそうだ。

 

 

こちらの作品は2018年7月に完成した『稽古照今(けいこしょうこん)/ 神武天皇、金の鵄(とび)を得る』という、高さ約23mで重さは約17トンという大作。神武天皇は言わずと知れた日本で初代の天皇で、日本神話の人物。下から見るのと上から見下ろすのではその大きさが全然違って見えるけど、かなりの大きさである。

 

 

こちらの立佞武多はその神武天皇の1年前に造られた『纏(まとい)』という、火事場で火消しをする昔の消防団員的な人達の活躍の様子を描写した内容となっている。五所川原市では1944年~1946年の2度に掛けて大火が発生して、街中の建物が焼け落ちてしまった。そしてその火事場で大活躍したのがこの火消しで、大火事から復興した五所川原の街を印象付けるイメージとして選ばれたようだ。

 

ただこの『纏』は2020年がコロナ禍という事もあって解体が1年先延ばしになったのでこの時に見学できたけど、去年2021年7月に残念ながら解体されてしまっており、今ではもう実物を見る事が出来なくなっている。

ネプちゃん
ネプちゃん

普通なら3年の命なのに、コロナのおかげで1年延命したんだべ!

 

そしてもう一体展示されていた大きな立佞武多は、2019年に造られた『かぐや』。日本人なら誰でも知っている「竹取物語」に出てくる御姫様で、涙を流しながら天へと向かって帰っていく姿をイメージして製作された物。

 

この立佞武多は基本的には下から見られる事が多いけど、このように上から見るとかぐや姫の顔や流れるように後ろにたなびく髪の毛の描写など、細かい部分まで分かる。なおこのかぐや姫は歴代の立佞武多の中でも、今まで一番顔を小さくなるよう設計されており、女性らしく小顔に作り上げているそうだ。

 

約10ヶ月の製作期間を経て、この立佞武多の館の中で最終組み立てされる立佞武多。このかぐや姫も顔は小さいものの、全体としては約23mの高さの作品となっているので、かなりの手間を掛けて製作されている感じが伝わってくる。

ネプちゃん
ネプちゃん

ねぷた職人が命を懸けて作っているだべ!

 

この”五所川原立佞武多”では基本的に外でねぷたが製作されて、最終組み立てだけこの館内で行われる。そして最終組み立てが完成すると、毎年8月上旬に行われる祭の際にはこの建物から出陣して五所川原の街中を練り歩く。なのでその出陣して出ていく際には、海に架かる跳ね橋のようにこの館内の橋が開いて、この目の前をねぷたが行進していくようだ。

 

なので今保管されているねぷたは、次のお祭りの時期に使われる現役のねぷたである。何も知らないと祭に使われて役目を終えたねぷたがここに保管されていると思いがちだけど、そうじゃなくて、これから祭で使われるねぷたがその日を待っている館なのである。

 

立佞武多館から出陣-2010年

立佞武多館から出陣する様子-2010年

こちらは実際にこの「立佞武多の館」から祭りの本番に向けてねぷたが出陣していく時の様子だが、このように大きなガラス窓の戸がガガ~~と開いて出ていくようだ。すっかり青森名物ともなってしまった立佞武多だけど、残念ながら2020年と2021年は新型コロナウイルス感染防止の観点から祭りは中止となってしまった。

 

2020年と2021年の五所川原立佞武多が中止となってしまった為に、2021年8月の祭りに向けた新作はとりあえず造られたが、その代わりに今年2022年分の新作は製作が行われていないようだ。そして今年2022年の五所川原立佞武多が行われるかどうかは、このブログを作成時点では決まっていないが、この記事が公開されている頃には結果が出ているだろう。

ネプちゃん
ネプちゃん

勿論今年こそはやりたいけど、ウイルスには勝てんべ・・・

 

そして館内の通路はグルグルと回って、下に降りるようになっている。内側を見ると大きなねぷたが展示されているので近くからジックリ鑑賞できるし、壁側にはこのようにねぷたの歴史やその製作過程などが紹介されていて、勉強できるようになっている。

 

 

この青森では”青森三大佞武多”として『青森ねぶた』『弘前ねぷた』『五所川原立佞武多』が特に有名だけど、青森県内では約30箇所の市町村でねぷた祭が行われている。そしてその祭の由来の中でも一番有名なのが、征夷大将軍となる坂上田村麻呂が陸奥国を攻めに東北地方にやって来た時に、大きな燈籠などを造って笛などを吹いて敵を油断させたという説。

 

坂上田村麻呂というと奈良時代の終わりから平安時代の700年代に活躍した征夷大将軍にもなった有名な人物なので、本当にその時代から代々語り継がれているものかは分からないけど、こういった由来の話はどこかの時点で勝手に尾ひれが付いて大きくなりやすいもの。

ネプちゃん
ネプちゃん

坂上田村麻呂が始めたと言えば、どの時代でもみんな納得するべ!

 

元々はそこまで大きなねぷたが使われていなかったようだが、江戸時代の後半に差し掛かると町や村がその大きさや華やかさを競い合うようになっていき、その競争の末に高さ約15m前後の大きさまで造られるようになっていったようだ。

 

こちらはさっき上から見た2019年に完成した「かぐや」だけど、この3階付近から眺める様子だと、また違った顔が見えてくる。こちらは背中側に当たり、このねぷたは正面だけではなくて、このようにちゃんと裏側も作り込まれているのが分かる。

 

 

立佞武多館内を鑑賞する! 動画

 

 

このかぐや姫のねぷたも約10ヶ月に渡る製作期間が掛かっているので、このように360度のどの角度からも見られていいような装飾となっている。こちらは竹の中に入っている幼いかぐや姫だけど、遠くから見るだけだと良く分からないけど、このように近くから眺めるとその眠っている顔までハッキリ眺める事が出来る。

 

この立佞武多の館では大きな立佞武多は毎年1体作成されてそれが3年間に渡って使われるので、合計3体しか置かれていない。そして大きいねぷたオンリーではなく、このように普通サイズのねぷたも数体用意されている。

 

こちらは大きな矢や刀を持っていた『神武天皇』の背中部分で、正面側の神武天皇の鬼気迫る迫力には少し負けるものの、裏側には天岩戸の洞窟に引き籠ってしまった天照大御神を引きずり出す「天鈿女命(あまのうずめ の みこと)「天手力男命(あまのたぢからお の みこと)の姿も見える。

 

この天照大御神が隠れたとされる天岩戸は、宮崎県高千穂にある。引き籠り対策としては、陽気な外の世界感を伝えてドアに近づいてきた所を怪力の男が強引に引っ張りだすという作戦が今も昔も通じるのかもしれない。。

ハゲる前君
ハゲる前君

オレが行ってケツ叩けば、一発で解決するゼ!

 

こちらには古そうな立佞武多の設計図らしきラフスケッチも展示されている。恐らくそれなりに古い時代に描かれたスケッチのようだけど、現代みたいに凝った装飾が昔から施されていたという訳でもないような感じが見られる。

 

こちらは天照大御神を引き籠る洞窟から引っ張り出した、張本人の2人。世界を創ったけど引き籠る全能の神に難儀して、我慢できずに強引な手を使ったのかもしれない。天照大御神が洞窟に引き籠ると世界中に闇が訪れたので、一刻の猶予もなかったので、勝負に出たのだろう。

 

こちらは日本神話で全能の神と崇められる天照大御神だが、そんな全能の神様でも嫌な事があると洞窟に引き籠ってしまうので、現代に増えている引き籠り問題も今に始まった問題ではなさそうに思うが。。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

よければ下記ブログ村のボタンをポチッとお願いします!

にほんブログ村 旅行ブログへ にほんブログ村 旅行ブログ 国内旅行へ

↓↓↓↓東北旅行記:初回↓↓

雪一面の青森空港に降り立ち、東北地方横断の旅が始まる【東北旅行記①】
2020年12月1日に降り立った、雪一面の景色が広がる青森空港。その白い大地を踏みしめて、7泊8日に渡る東北地方の旅が始まりを告げるのであった。。
タイトルとURLをコピーしました