弘前市のリンゴ公園で、聞いた事もないリンゴ品種を知った日【東北旅行記㊹】

東北旅行記2020年冬-㊹:青森編

旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(The day I learned about an apple variety I had never heard of at an apple park in Hirosaki City. [Tohoku Travelogue 44])

リンゴ図鑑が欲しい!

12月上旬の冬が始まった頃に訪れた、弘前市にある「リンゴ公園」。ここ弘前市は日本で一番生産量が多いという”リンゴの街”だけにリンゴを求めてここを訪れたが、冬の時期になると収穫時が終わってしまっているので、リンゴの実がそこら中に実っているという景色は残念ながら見る事が出来なかったが。。

 

【弘前市:リンゴ公園】

住所:青森県弘前市大字清水富田字寺沢125
営業時間:9時~17時頃(※園内の施設)
電話番号:0172-36-7439

 

 

 

リンゴ公園内の施設にて

という事で期待していたリンゴだらけの景色は諦めて、リンゴ公園内の中心部に造られていた施設の中に入る。するとまずはリンゴに関連するお土産品が沢山陳列されていて、買うつもりはないけど、どんな商品が販売されているかだけ物色していく。

 

こちらには『カルヴァドス・ポム・ド・イヴ』という、フランスのノルマンディー地方で作られたリンゴの実が1個まるまる瓶の中に入っているブランデーである。このような瓶の中に帆船の模型が入れられているのはよく見る事があるけど、リンゴの実が瓶の中にそのまま入っている光景はなかなかに見る事が出来ないだけに、思わず見惚れてしまった。。

青森ンゴ
青森ンゴ

見た目にも楽しめるリンゴのお酒ヨ!

 

そしてどうやって瓶の中にこれだけ大きなリンゴの実を入れたかというと、まだリンゴの実が小さくて瓶の入口から入るサイズの時にこの瓶を枝に取り付けて、それからリンゴの実が発育して成熟する段階まで瓶を枝に取り付けているという方法のようだ。

 

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こちらのコーナーにはリンゴの成分が入ったフェイスマスクが販売されていて、リンゴ好きの女子にとっては食べるだけではなく、体でリンゴの良さを体感できるグッズとして飛びつきたくなる程の商品かもしれない。ただ冷静に考えるとリンゴ成分が人間の皮膚にどれだけの効果をもたらすか分からないだけに、あくまでも自分の都合で”リンゴが肌を綺麗にする”という理想で買ってしまう事だろう。。

 

こちらには青りんごの雰囲気がよく出ているガラスのお皿も販売されていて、思わず欲しくなってしまう。このようなリンゴの雰囲気が出ているデザインのお皿でリンゴを提供されれば美味しく思えてしまうが、逆にリンゴ以外のフルーツを提供しにくいお皿のようにも感じたが。。

 

世界のリンゴを勉強!

さてお土産品コーナーを一通り見学した後は、施設の奥の方にちょっとした展示スペースがあったので、そこを見学する事にしてみる。せっかく弘前中心部から約40分かけて歩いてやって来たリンゴ公園だけに、吸収できそうな事は何でも興味を持って見てみる事にしたのである。

ネプちゃん
ネプちゃん

勉強熱心なのは、良い事だべさ!

 

リンゴって日本に昔から存在していたと思っていたけど、現実には中国大陸や欧米から伝わってきた果物。というか日本独特の物って少なくて、日本を代表する米とか殆どの物は中国大陸や他の地域から伝わった物が多いのである。

 

リンゴの形をしたオブジェの中には、このようにアクリルケースに入れられた多種多様なリンゴの数々が展示されていた。旅先でよく訪れる博物館ではあまり果物については見る事がないだけに、果物について勉強できる少ない機会を逃す訳にはいかない。

 

こちらには「紅魁(べにさきがけ)「北斗(ほくと)「紅絞(べにしぼり)「マヘ7」などという聞いた事もないリンゴの数々が並んでいた。普段は単に「リンゴ」として1つのイメージしか思い浮かべないけど、実際には数え切れない位のリンゴがこの世には存在しているようだ。。

 

紅魁・・・ロシアのアストラカン村という場所が原産のリンゴで、明治時代に開拓使がアメリカより取り寄せて、当時の”青森県のりんご7大品種”の1つだったという。しかしあまり美味しいリンゴではなく食感も良くなかった為に、昭和時代になってから殆ど栽培されなくなっていったそうだ。

 

 

北斗・・・昭和後半に青森で交配され開発されたリンゴ。リンゴの代表品種である「ふじ」と「印度」を掛け合わせて作られた種類で、数あるリンゴの品種の中でも特に美味しいリンゴの1つともされているとか。

 

 

紅絞・・・この津軽地方では”玉簪(たまかんざし)のようなリンゴだった事から略して「タマカン」と呼ばれているリンゴで、紅魁と同様に明治初期に開拓使が北米から導入したリンゴ。こちらも”青森県のりんご7大品種”の1つとされているが、今の国内では殆ど流通していないようだ。

 

 

マヘ7・・・1950~1960年代に青森で【印度×ゴールデン デリシャス】の掛け合わせ品種に「旭」を交配させて開発されたという。果汁が多くて甘さもあってとそれなりに好まれる味のリンゴだったが、栽培する時に手間が掛かる点と、収穫直後は硬くてあまり美味しくない事から農家に敬遠され少なくなっていった。ただその味の良さから栽培される種よりも、交配される親種として人気があったようだ。

 

 

 

こちらは「ネロ26号」「ハックナイン(HAC-9)「はつあき」「花祝(はないわい)という、これらも初耳のリンゴだらけである。昔のサイボーグ漫画に出て来るような名前が付けられているのもあり、どうせなら面白い名前を付けた方がインパクトがあって良さそうにも感じる。

 

ネロ26号・・・1950~1960年代に【紅玉×ゴールデンデリシャス】から生まれた種(45号)とリチャードデリシャスを交配して開発されたリンゴの種類。酸味が少なくて着色が他の種類に比べて良好なので、それもあってか未熟なうちに収穫され販売されてしまう事もあるという。10月頃が収穫時らしいが、9月頃と早く収穫された物は早熟な事もあって美味しくないとか。

 

 

ハックナイン・・・北海道中央農業試験場で1970年代に【ふじ×つがる】の交配で開発された、”北海道産りんご品種の第一号”とされているリンゴ。このリンゴの系統番号が『HAC9(Hokkaido Apple Clone)』と名付けられて、その英語の響きを気に入って「ハックナイン」という呼び名になったとか。

 

 

はつあき・・・こちらは盛岡で【紅玉×ゴールデン デリシャス】を交配して開発されたリンゴ。盛岡地方での成熟期は9月上旬となっていて、実自体は酸味が強いので食用よりは加工用として使われる事が多いようだ。

 

 

花祝・・・こちらは青森で1930年代に【花嫁×祝】を交配させて開発されたリンゴ。栽培されだした初期頃には皮が裂ける事が多かった為に、袋に入れて栽培が行われるようになっていった。すると袋に入れた効果もあって着色が良くなり、当初は緑色のリンゴというイメージが強かったが、ここに展示されているように赤い着色のリンゴへと変貌を遂げる。このリンゴも酸味が強いので、あまり市場には出回らずに加工用に用いられる事が多いようだ。

 

 

こちらは「陸奥(むつ)「恵(めぐみ)という、日本らしい名前が付けられているリンゴが展示されている。

 

陸奥・・・こちらは1930年代に青森で【ゴールデンデリシャス×印度】と交配させて開発された、青森らしい名前が付けられたリンゴ。袋無しで普通に栽培すると黄緑色の薄い皮色となるが、袋を被せて栽培すると一転綺麗な赤色の皮のリンゴに変身する。昔は袋に入れて栽培された赤い陸奥が高価で取引されており、袋在り栽培の陸奥1個と袋無し栽培の陸奥1箱が同値段だったという。またイギリスでも人気が高い品種で、イギリス品評会では「King of apples」「Crispin」などとも呼ばれているようだ。

 

 

・・・こちらも1930年代に青森で【国光×紅玉】を交配して開発されたリンゴで、甘味も酸味も強くて濃厚な味のようだ。また一般的なリンゴと違って自家受粉するので、人の手を掛けずとも昆虫がやってくればそのうちにリンゴの実ができるという。

 

 

 

展示されているリンゴの数々! 動画

 

 

こちらは「紅月(こうげつ)「高徳(こうとく)というリンゴが見える。

 

紅月・・・1950年代に【ゴールデンデリシャス×紅玉】を交配して開発された非常に甘いリンゴで、元々は「和香」という名前が付けられていたという。

 

 

こちらは「高徳(こうとく)という名前のリンゴだけど、この高徳という名前を見ると、先日訪れた鎌倉で有名な大仏像が置かれている「高徳院」と共に、サラリーマン時代に働いていた会社にこの高徳という名前の先輩が在籍していた事を思い出すのであった。

 

高徳・・・自然交雑した【東光】の種を撒いて、その育った実から厳選された種のリンゴ。糖度が高くて果肉が蜜のように黄色くなっているのが特徴だが、その代わりに小ぶりだった為に農家から敬遠されていた種でもあった。しかし生産者の努力の甲斐あって改善を続けて生産が行われて、今では高価なリンゴに分類される人気のリンゴとなっている。

 

 

 

【高徳りんご:動画】 浜中屋 果物百貨店

 

 

そしてその沢山展示されているリンゴの奥には、このようにリンゴ栽培時に欠かせない道具なども陳列されている。普段リンゴをよく食べる人も、このような農家が使う剪定道具などを滅多に目にする機会がないだけに、貴重な品々が展示されている。

 

こちらの剪定鋸は腰元に付けるタイプで、この津軽で生み出されたピストル型となっていて「津軽型」という名前が付けられている。この剪定鋸は主に太めの枝を切り落とす為の鋸(ノコギリ)で、自然のままに生える枝をそのまま放置していると、全ての実に栄養素が充分に行き渡らない為に剪定(枝を切り落とす)作業が必要となっている。

 

こちらは細い枝を切り落とす剪定鋏で、国内で使われているハサミ以外にも、ドイツやスイスなどで使われている海外のハサミも置かれていた。同じような剪定に使われるハサミも、使われる地方でそれぞれに違う特徴を持っていたようだ。

 

リンゴの特産地でもある津軽での剪定鋏の製作者として有名なのが、こちらのパネルにもある「三國定吉」という打刃物師である。”リンゴの神様”とも称される外崎嘉七が三國定吉に剪定鋏製作を依頼したのが始まりともされており、また剪定鋏1個製作するのに約3年の歳月を費やしたとか。

青森ンゴ
青森ンゴ

美味しいリンゴの裏には、このような職人の技術の蓄積があるのヨ!

 

この弘前の街は江戸時代に城下町だった事もあって鍛冶職人が多数住んでおり、それら鍛冶職人の技術を生かして剪定鋏などが開発されていった。そして先述した三國定吉が開発した剪定鋏は1918年に『薬師堂国定』で登録商標を行って、全国に広まっていったという。

 

 

 

機械による大量生産された剪定鋏とは違って、昔ながらの伝統技術を継承した職人の手作り品という事もあって、ちゃんと手入れすれば何十年でも使えるという鋏。昭和前半には製鉄産業が繁栄した事もあって剪定鋏の需要が増えて、三國定吉の元に数人の弟子が育てられて暖簾分けされていった。

 

こちらのサイトには津軽型剪定鋏の元祖:三國剪定鋏製作所を継承する、三代目:三國定吉さんの元を訪れた際の記録が残されている。伝統的な技術を継承してきた三代目:三國定吉さんだけど、残念ながら2019年に90歳でお亡くなりになったそうだ。。

青森ンゴ
青森ンゴ

寂しいね、このような伝統技術を持つ職人が居なくなってしまうのガ。。

 

こちらにはリンゴ型の卓上ライトが展示されていて、よく砂浜に落ちている珊瑚の死骸などを集めてランプにしているのを見るけど、こちらはリンゴ型。リンゴというとやっぱり赤色のイメージが強いけど、マックのパソコンやiPhoneを生み出したAPPLE社のロゴみたく白いリンゴとなっていた。

 

このようなランプが家の中にあるだけで、リンゴらしい雰囲気が感じられるような気がする。リンゴの実はなくとも、このランプさえあれば、いつでもリンゴと一緒になれているような気分を感じる事ができるのかもしれない。

 

こちらは『津軽塗』という、この津軽地方で生産される伝統漆器の塗り方で造られたリンゴの置物が見える。この津軽塗とは正式名称ではなく総称のようだが、何回にも渡って塗っては研いでを繰り返して2ヶ月以上の手間を掛けて作られるようだ。

 

 

そしてこちらは「ワリンゴ(和林檎)」という、昔から日本国内で栽培されてきた種のリンゴのようだ。昔に中国大陸から伝来したリンゴの一種として考えられており、明治時代に西洋から導入されたリンゴと区別する為なのか、日本らしく「和」という名前が加えられたリンゴとなっていた。

 

 

そしてその一角には、こちらの今流行りの二次元キャラクターのねぷた人形も展示されていた。こちらのキャラクターを調べてみると、『Re:ゼロから始める異世界生活』というライトノベルのアニメ化されたキャラクターのようだ。

 

 

こちらのねぷた人形は2019年8月に青森県五所川原市で行われた『五所川原立:佞武多祭り』で実際に使われた物で、本来は使用後廃棄されるねぷた人形をレンタルして展示していたようだ。

 

 

最近ではガンダムのねぷた人形やこのような二次元キャラクターのねぷた人形が造られたりと、21世紀らしいねぷた人形の伝統が新しく生まれて根付いていくのかもしれない。数十年後のねぷた祭りでは、昔ながらの怖い顔をした人のねぷた人形ではなくて、このような可愛らしい顔のキャラクターばかりになっているのかもしれないな。。

ネプちゃん
ネプちゃん

時代に応じてねぷたも変化していくべきだべ!

 

じっくりとリンゴ園の施設を見学して、手ぶらで帰るのも申し訳ないような気がしたので、荷物にならないようにとその場で食べれるリンゴを2つ購入してみた。そしてその2個のリンゴを先程も見た、こちらのリンゴの沢山詰まったカゴを持ち上げる女の子の像の籠にさり気なく置いてみたけど、何も反応が無かったので新たにリンゴが置かれた事に気付かなかったのかもしれない。

オカン
オカン

んな訳、ないだろ~~!

 

そのままカジろうかと思ったけど、とりあえずトイレの手洗い場で軽く水を流して洗って、それから食べる前に雪の上で記念撮影を行う。このリンゴの名前を全然気にしなくて購入してしまったけど、籠に大量に入って販売されていた安価なリンゴだったので、一般的に流通していたリンゴだと思う。

青森ンゴ
青森ンゴ

せっかくリンゴの品種を勉強したんだから、もっとリンゴに貪欲になってネ!

 

そしてその購入したリンゴをカジりながら、また弘前市内へと向けて約40分徒歩で歩いて戻る事に。途中にバス停が何箇所か設置されていたけど、「どうせすぐバスなんて来ないだろう!」と思って通り過ぎたが、しばらくして歩いている脇をバスが通り過ぎていった。冬の人が少ない弘前でも、市民の足となっているバスはそれなりに運行していたようだった。

 

こんな旅はまた次回に続きます!

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