東北旅行記2020年冬-54:秋田編
旅行期間:2020年12月1日~8日(7泊8日)
(Walking around the ruins of Kubota Castle, the residence of the Kubota clan that ruled Akita during the Edo period. [Tohoku Travelogue 54])
冬場は閉鎖施設あり!
ここは江戸時代にこの秋田県一帯を治めていた、常陸地方から移封されてきた佐竹家の久保田藩の居城が造られていた「久保田城跡」。明治時代になって敷地内が公園として整備された事もあって、今では「千秋公園」として秋田市民の憩いの場になっている所。
久保田城跡/千秋公園にて
昨日の夜にもこの久保田城跡を訪れているけど、やっぱり明るい時間帯に訪問すると当然ながら敷地内の景色が全然違って見える。そして秋田市内でも緑が溢れる公園として整備されている事もあって、朝には散歩目的の人をそこそこに見かける事が出来た。
そして昨日得た知識を活かして、今日は久保田城跡の正門から城内に立ち入る事にしてみた。やっぱり城跡に入るには、横側の門から入るよりも正面に設置されている正門から入った方が、よりその城の荘厳さを感じる事が出来る。
このように本丸内へと足を踏み入れると、木が綺麗に植えられた景色が広がっていて、城跡という雰囲気はあまり感じられない。というのも明治時代になってからこの本丸に残っていた江戸時代の建物などが焼失してしまっており、江戸時代の雰囲気を残す建造物は残存していないのである。
その本丸内には、こちらの「八幡秋田神社」の社殿が造られており、八幡神と佐竹家の3人が祭神として祀られている神社でもある。この神社ではこの地を治めていた久保田藩の藩主であった佐竹家の人物も神様として祀られているが、その全員ではなく、
・久保田藩-9代藩主 「佐竹 義和(さたけ よしまさ)」
・久保田藩-12代藩主 「佐竹 義堯(さたけ よしたか)」
の3人だけが祀られている。
なお、こちらの「八幡秋田神社」は2005年に放火され、焼失してしまった事があるそうだ。どうやら賽銭泥棒がやって来たが、賽銭を盗めなかった腹いせに社殿に火を放ったという。そして今見られる社殿はその後に再建された物で、その再建費用に約1億6000万円掛かっているようだ。ちなみにその内5000万円は寄付金だという。。
神社に火を点けるなんて、地獄送りだゾ~!
木造の建物はどうしても火に弱いので全国の神社でも焼失した所も多いけど、放火で燃やされた神社というのもあまり見ないような気がする。しかも賽銭泥棒に火を付けられるなんて考えられないけど、実際には世の中には色んな人が居るから、そのような事も確率的には低いが起きる時には起きるのだろう。
この久保田城跡の本丸内には昨日は気付かなかったけど、このような銅像が造られている。こちらの銅像は周りに柵が付いた土台が造られているので、それなりに久保田藩では崇められていた人物のようだ。
その銅像の手前にあった扉には、この”扇に月丸”という佐竹家の家紋マークが見られる。この佐竹家の家紋は元々は無地だった所、源頼朝から自分の旗と紛らわしくて、区別する為にこのような扇子マークを入れさせたというのが起源・・・という話がある。
この本丸に設置されていた銅像のモデルは、さっき見た八幡秋田神社の祭神ともなっている、久保田藩:12代藩主で最後の藩主でもあった「佐竹 義堯(さたけ よしたか)」である。歴史マニアからすれば知った名前かもしれないけど、それ以外の一般人の知識レベルではまず聞いた事が無い名前かと。
この人は神様だゾ~!
この銅像は元々は大正4年(1915年)に戊辰の戦争後50年を記念して設置されたが、第二次世界大戦時に金属回収令によって持ち出されてしまって、長い間台座だけの時代を過ごすハメになった。その後市民から銅像の復活を期待する声が増え続け、平成元年になってから戦前の像と同サイズで復元されたのである。
昨日は暗い事もあってあまり本丸内を散策しなかったので、今日は見逃した物が無いかを確認する為に歩き回っていると、このように奥の方に天守閣のような建物が見えてきた。ちなみにこの久保田城は築城当時から天守閣と石垣が存在しなかったお城でもあるので、奥に見えている建造物が天守閣という訳でもなさそうだが。
この建物は「御隅櫓」という本丸の北西に造られていた櫓の建物を再現した物で、実際に存在していた建物を同じように再現して造った訳ではないようだ。こちらも平成元年に秋田市政100周年を記念して、天守閣の無い久保田城だけど観光客を惹きつける為に、見た目には天守閣のようにも見える立派な建物を造ったようだ。
そんな御隅櫓の方へ行こうかと思っていたら、秋田市内だけあって秋田犬らしきワンちゃんを散歩している人が居た。ただ見た目からも分かるように、秋田犬というのは大型犬の部類に入るけど、こちらのワンちゃんは小型犬の柴犬で、残念ながら秋田犬ではなかった。。
よくこの久保田城跡にワンちゃんを連れて散歩に来るという奥さんの話を聞いてみたら、このワンちゃんはかなりの臆病者らしく、初めて見たボクに対して凄い警戒心を抱いていたようだ。だから最初はボクが顔を近づけるだけで逃げてしまい、犬にも恥ずかしいとかあって、色んな性格があるようだ。
このビビりなワンちゃんを散歩していた奥様は、”秋田美人”・・・ではなく青森県出身だそうだ。この秋田市内での名所などを教えてもらおうと思っていたけど、そこまで紹介すべき場所はないとの事。そして名所ではなく「秋田に来たら食べた方が良いと思う食事は?」と聞いてみたら、『稲庭うどん!』との答えが返ってきた。
1人旅だとあまり人との触れ合いが少ない旅となってしまう事が多いけど、たまに気軽にお話できる人と出会えるのが何とも楽しい。なので常に自分の殻に閉じ籠った状態でいるのではなく、肩の力を抜いて誰とでも急にコミュニケーションが出来るようにリラックスしながら旅をする事も大事だと思う。
そして久保田城跡にあった、天守閣もどきの建物「御隅櫓」の入場見学をしようと向かったら、なんと『冬季休館』で閉鎖されていた。今回の冬の東北旅では青森県では色々と冬季閉鎖している施設があるのは調べていたけど、この秋田県や次に訪れる山形県も同様に12月から早々と閉鎖されている場所が意外と多かった。
この御隅櫓は元々はこの本丸の角っこの場所を守る櫓が実際に建っていた場所らしいけど、今では秋田市では数少ない観光資源を増やす意味合いもあってか、このように4階建の天守閣もどきが造られている。恐らく木造造りじゃない建物なので、中に入ってもそこまで城らしい雰囲気は感じられないだろうが、記念に中に入ってみたかった。
冬は秋田でも結構雪が積もるゾ~!
閉まっているのはどうしようもないので、とりあえず遠くから眺めてみる事にした。このように久保田城の歴史を知らない初めて訪れる観光客からすると、この建物を見たら「あっ、天守閣だ!」と勘違いしてしまう事だろう。史実に基づかない天守閣のような建物を建造している自治体からすれば、「何も無いよりは何かしらの城らしい建物が無いと、観光客もガッカリするだろうから・・・」という考えなのだろう。
正直、秋田市の観光名所と言ってもこの久保田城跡を除くと、そこまで有名な物が見当たらない。ただ単にボクが秋田の予習をしていなかった無知だという事もあったけど、観光資源に恵まれている自治体と違って、秋田市も観光客を呼び込む事に苦労しているのだろう。
オレが居るのにな・・・
秋田市内を散策!
あまり観光資源が無いように見えた秋田市で、メインである久保田城跡を見学した後は、歩いて行ける範囲にある赤レンガの銀行跡建物と、秋田地方での伝統的なお祭りの様子を学べる資料館へと向かう事にした。
久保田城跡の西側にある外堀としての役割があった旭川。明治時代以降にこの旭川の西側に、”花街”と呼ばれた芸者遊びできるお店が移転してきた事もあって、新しい街並みを形成してきた。しかし、今の時代はそんな芸者遊びする人達も減って、代わりに呑み屋さんなどばかりになっているようだ。
その途中に見えたこの建物は「秋田銘菓:高砂堂」という、創業120年以上の歴史を誇る『リンゴ羊羹』や『リンゴ餅』で地元では有名なお店のようだ。そして高砂堂の建物は今から約100年前の大正時代に造られた歴史的建造物でもあり、国の重要文化財にも指定されているという年代物。
この付近には明治~大正時代にかけて多くの商店が立ち並んで賑わった雰囲気を感じられるが、この正面中央に見えている昔の建物っぽいお店は、年代物ではなく平成に入ってから昔の建造物の雰囲気を醸し出すように建てられた物のようだ。
その奥には「旧金子家住宅」という、明治時代に建てられた呉服屋を営んでいた金子家が約40年程前まで実際に商売をしていた建物。今は秋田市に寄贈されており、有料の見学施設として一般開放されている。
「ねぶり流し館」の見学!
そしてこの近くにある「ねぶり流し館」を探していて、「確か旧金子家住宅の隣ってマップに記載があったのに見つからないな~~??」と思っていたら、この外装補修工事中の建物がその目的地である「ねぶり流し館」だったのである。
住所:秋田県秋田市大町1-3-30
営業時間:9時30分~16時30分頃(※年末年始休み)
電話番号:018-866-7091
入館料:大人100円/高校生以下⇒無料
※旧金子家住宅も入場可能
遠くから見ていると気付かなかったけど、入口付近に来たらちゃんと「ねぶり流し館」のプレートも見えた。なお、秋田市内の観光施設は入館料がたった100円で、しかも高校生以下は無料な場所が多い。今回はその施設を500円で全部巡れる周遊券を購入したけど、見たい施設だけ個別に100円ずつ支払った方が節約になったかもしれない・・・。
あんまりケチな事言わずに、秋田に金落とせ~!
そして館内に入ろうとしたら、入口のスタッフさんに「今テレビの撮影が来ているので、まずは上から見学してください!」と言われた。館内の1階部分では秋田のお祭りで使われる提灯が沢山付いた棒を持って、取材をしているアナウンサーのような女性が収録している真っ最中だった。
「ここで秋田美人のアナウンサーでも見れるか!」と思って、その収録が終わって引き揚げて来るアナウンサーのような女性を一目見ようと入口付近で待機していたら、収録を終えて出てきたのがあのアイススケート選手だった「浅田真央」だった。
どうやら『浅田真央サンクスツアー』という引退興行が日本全国で行われたが、この秋田では2020年3月にその公演を予定していたのだが、新型コロナウイルス感染が急速に広がった為に、この年末に日程振替になっていたようだ。そして施設を出て行こうとして浅田真央と目が合って、「何、この変なお兄さん?!」って言う感じの”ジロっ”とした目で見られたのであった。。
王子みたいな変態を見た人は、みんなそう思って当然やけ!(笑)
まさか浅田真央が来ているとは夢にも思わなかったので、写真や動画を撮る準備もしておらず、あっという間にタクシーに乗って消え去ってしまった。恐らく秋田市で後日開催される『浅田真央サンクスツアー』の宣伝の為にテレビ出演していたのだろうが、残念ながらその姿を捉える事に失敗したのであった。。
さてそんな失敗した記憶はさておき、気持ちを一新して目的の「ねぶり流し館」を見学していきます。こちらの絵は『秋田街道絵巻』で、荻津勝孝という江戸時代に活躍した”秋田蘭画”などを描いた画家の作品となっている。
こんな旅はまた次回に続きます!
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